あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

ナガバノスミレサイシンとシロバナナガバノスミレサイシン

日当たりのよい所はすっかり春模様です。より暖かい日向は暑い日に一気に花が咲きやすいです。
一方で日陰は毎年同じようなタイミングで花が咲くことが多い印象を受けます。
いよいよ日陰のほうも春の花たちが咲き始めました!今日は私の好きなスミレたちの紹介です!
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冒険の森より奥側のスギ林ではスミレが咲いています。しかしこのスミレは普通のスミレたちとは違うのです。
これはナガバノスミレサイシンと呼ばれる種類の恐らく白花種であると思われます。
シロバナナガバノスミレサイシンと呼ばれ、高尾山で見られることが有名かもしれません。
近場で見つけるスミレたちと違う点を挙げてみましょう。

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スミレの仲間には 距 と呼ぶ花の後ろ側に突き出た部分があります。スミレサイシンの仲間たちはこの部分が短くぼてっとしています。
左がスミレサイシン右がヒメスミレです。比べてみると全然違うのが分かると思います。
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葉の形にも注目してみてください。注目すべきはナガバノスミレサイシンの葉が、完全に開ききっておらず、一部巻いている所です。
スミレサイシンの仲間は花の時期に葉が完全に開ききらないものが多いです。中には葉を全く出さずに花だけを先に咲かせるものまでいます。
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花の中央に緑色の部分があるのが見えるでしょうか? スミレの仲間たちはここで見分けられるものも多いです。形を見てみてください。
まるでかまきりの頭のような形をしていますね。これもナガバノスミレサイシンの特徴の1つです。例えば公園内には似た色でうり二つのタチツボスミレが咲いています。
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花の中央を見てみるとどうでしょうか? タチツボスミレはこの部分が細い線のような形をしているのです。こうみてしまえば見分けるのが簡単ですね!
似た花だからこそ明確な見分けるポイントがあるのです! 皆様もぜひ足元に生えているスミレたちをじっくり見ながらあいかわ公園や家の近くを歩いてみてください。

サクラの花がそのまま落ちている?

サクラの季節です。上を見ながら歩いている方も多いのではないでしょうか。ところがあいかわ公園の桜の木の足元を見てみると?
なぜか5枚しっかりとくっついている桜の花が落ちているではありませんか!花びらが1枚づつ落ちていくのが桜の散り時ですよね。
これはいったい何でしょう。
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近づいてみました。見事に5枚の花がそろっていますね。まだ花粉の受け渡しもしていなさそうです。形もとても綺麗で、古くなったわけでもなさそうです。
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裏を見てみるとようやく不自然な部分が見えてきました。
どうやら桜の花の根元がちぎられているようです。筒のような桜の花の根元にはいったい何が入っているのでしょうか。
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切り口を見てみるとどうやら湿っているようです。

ここで答え合わせをしてみましょう。実は桜の木にはたくさんの鳥がやってきます。彼らはお腹を空かせており、桜の花にためられている蜜を舐めにサクラにやってきているのです。
種類としては、朝にぴーよぴーよと大声でなくヒヨドリや、目の周りが白いメジロ、それからスズメがよく来ています。
舌が長いヒヨドリは花が付いたまま蜜を舐められるのですが、舌の短いスズメたちは蜜を舐められません。そこで力業に出るのです。蜜の出る根元をちぎり、蜜を舐める。そのため、根元が切られた桜の花びらがたくさん地面に落ちていたんです。

皆様も鳥の気持ちになって桜の蜜を舐めてみてください。当たりはずれがありますが、結構甘いですよ。

ソメイヨシノにオオシマザクラ 園内を彩るサクラたち

あいかわ公園の桜たちもにぎやかになってきました。
公園を訪れた際には南駐車場に咲いている白と緑色が美しいオオシマザクラが目に入ると思います。
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サクラと言えばソメイヨシノが言うまでもなく有名ですが桜には実に様々な種類があります。
見分けはマニアックでかなり難しいですが、分かりやすいのは花が先か花と葉が同時に展開するかではないでしょうか。身近なソメイヨシノはまず花を咲かせるタイプです。花の季節にピンク一色に染まるイメージがあることでしょう。ところがオオシマザクラはどうですか?
写真を見ていただくと既に葉も広げているのが分かるかと思います。あいかわ公園ではそんな花の広げ方が異なる2種類を身近に観察することができるのです。

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左がソメイヨシノで右がオオシマザクラです。実は色も違います。実物を見ていただくと全然違うのですがソメイヨシノは薄いピンク、オオシマザクラは真っ白です。
ソメイヨシノはふれあい広場で、オオシマザクラは南駐車場が観察しやすいと思います。午前中ですと鳥が蜜を吸いにやってきているのを見ることができますよ。
もう1種類の桜も見ごろを迎えています。
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濃いピンク色のヨウコウです。遠目から見ても目立つ色合いなのですが、ヨウコウは工芸工房村のほうで目にすることができます。どの桜も枝が垂れ下がっているので一眼のような遠くが撮れるカメラでなくとも撮影することができます。
サクラと言えば先日紹介したトビモンオオエダシャクはサクラの葉を食べます。f:id:aikawa_park:20200320160004j:plainあいかわ公園では桜がたくさん植えられているからこそそれを食べる昆虫たちも見かけることができるんですね。

森のわたり橋付近では花と同時に赤色の葉を展開するヤマザクラと思われるサクラも咲いています。
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こうして写真で比べてみると意外と大きな違いがあることが分かってもらえると嬉しいです。ぜひ実物も見比べてみてくださいね!

山菜の季節 その2 美味しいヤブカンゾウと有毒植物

あいかわ公園で見られる食べられる植物たちを紹介しています。野食に挑戦しようと思う時には必ずその分野に詳しい人と一緒に採取し、しっかり自分でも似た植物たちとの見分けができるように判断して食べましょう。知識なく挑戦するのはやめましょう。

今日紹介するのは今が旬のカンゾウです。(ヤブカンゾウ、ノカンゾウがある。以下カンゾウと呼ぶ)
f:id:aikawa_park:20200318092509j:plain食べがいがあるので私も好きな部類の山菜です。
写真の物は小さいですが、ヤブカンゾウですと10cm位の食べがいのある大きさになります。もちろん環境にもよります。

カンゾウは日当たりのよい土手などに生えることが多いです。また、根の球根で増えるためたくさん生えていることが多いです。

見分けるポイントは根元から重なり合うように葉が折り合うところが分かりやすいですね。

下から計4枚の葉が折り重なっているのが分かるのではないかと思います。f:id:aikawa_park:20200318104643j:plain2枚目の写真では、根元が白くそこから葉が折り重なる様が分かりやすいのではないかと思います。

明るい色もしっかり見ておいてください。

カンゾウはネギ臭がなくなったネギのようで、折り重なった構造の通りネギに近い食感が楽しめます。なにより写真の付け根の白い部分に野菜ならではのほのかな甘みを感じることができるのです。

個人的にはてんぷらにしてざるそばと食べるのが好きです。大きいカンゾウなら食べ応え抜群で、ほのかな甘みとめんつゆのしょっぱさがベストマッチという感覚です。採取した際にはお勧めします。

しかしカンゾウの採取には気を付けてください。ユリ科ラン科など生え方が少し似ている植物が結構あります。

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よくみかけるパターンは写真の2パターンです。右のように重なり合うタイプは少ないですが、身近な植物です。食べると嘔吐などの症状が出るとされています。左のように根元が筒形で途中から分かれるタイプも要注意です。あいかわ公園の南駐車場とパークセンターの間で2種の比較ができるので挑戦してみてください。わからなければ手を出さないようにしましょう。


パークセンター入口付近ではイタドリも生えてきています。すかんぽという名で知っている方も多いのではないでしょうか?
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イタドリは以前紹介したスイバと同じく酸味を含む植物で、その酸味をうまく利用してあげるとおいしく食べられます。

スイバと同じくジャムにすると酸味と甘みのある変なジャムが作れます。このイタドリは大きくなると茎がかなり目立ちますがその部分を食べるのです。

スイバにせよイタドリにせよ茶色くなってしまうので見た目がよろしくないのが欠点です。しかしながらこの何とも言えない酸味は野生のもので作ったからこその風味なので興味が湧いたら挑戦してみてください。
実はイタドリはルバーブという食材の仲間なのです。ルバーブの仲間と聞くとなんだかいろいろ活用できそうな気がしてきますね!

あいかわ公園の自然に興味の湧いた方は、下のカテゴリーや月別の記事からたくさんの記事を読むことができるのでぜひ御覧ください。
黒い三角形を押すと色々なジャンル別に読めます。植物に興味の湧いた方は植物の黒三角をクリックすると園内の花や実の記事が読めますよ。
また、リンクからはツツジの図鑑や園内で見ることのできる花をまとめた大ボリュームの図鑑も見ることができます。

春しか見られない不思議な植物 ジロボウエンゴサク

植物は1年中観ることができるから気が向いたら見てみよう。そんな風に考えているとみることができない植物があります。
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それがこちらの奇妙な形の面白い花 ジロボウエンゴサクです。
この花のとても面白い所は花をつける時期になると葉を展開し始め、やがて花をつけ、花が終わると葉も全て枯れてしまう点です。
そして地中の根で再び来年の春に花を咲かせる時期を待つのです。忍耐深いですね。そんなジロボウエンゴサクが見せる美しい花を観賞できるのが今だけです。あいかわ公園の風の子橋付近で見ることができます。
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この何とも言えぬゲームに出てくるお化けのようなファンタジー感を思わせる花です。
先が紫で他の部分が白色なのがお化けっぽさを増しているかもしれませんね。
この仲間の一種が同じくふれあい広場やその橋の風の子橋で見つけられます。
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それがこの花 ムラサキケマン です。
ジロボウエンゴサクと比べてみるとどうでしょうか?まるでそっくりな花の形だとは思いませんか?
実はこの花たちはお友達同士なのです。ケシ科というグループに所属する仲間です。
同じ花の形で紫色や黄色を見ることができます。あいかわ公園では紫色しかありませんが探してみてください。

紫色つながりで今の季節に見られる花を紹介してしまいます。こちらは春~であればいつでも見られる身近な花です。
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写真を見てピンっときた方は多いのではないでしょうか。今の季節にあちらこちらで咲いていますね。
この花は上に2枚下に2枚の花を持つアブラナ科の花です。菜の花や大根が馴染み深い植物でしょうか。
この植物の面白い所として名前がたくさんつけられているところがあげられます。
ショカッサイ、ムラサキハナナ、オオアラセイトウと3つもの呼び名があります。個人的には五感でムラサキハナナが好きです。口にしたくなります。
今の季節ならではの紫色の花の数々をあいかわ公園で探してみてください。

山菜の季節 その1 ワラビ

春のあいかわ公園では、実に多くの食べられる植物を見ることができます。
神奈川県では多くは3月下旬~4月中旬が食べごろになります。食べられる植物を知っている人とともに山菜取りに挑戦してみるのも楽しいと思いますよ。
当然ながら知っている人と一緒に採っても毒を持つ植物との見分け方のポイントは調べておきましょう。また、敷地内にむやみに入ったり、欲を出して必要以上の量を取ることも避けなければなりません。場所にあるすべての物を採るのはやめましょう。

あいかわ公園では現在わらびが出ています。
f:id:aikawa_park:20200318090311j:plain芽生えたてのこの握りこぶしのような形を覚えておけばまず間違えることはありません。
食べる部分は細長い茎の部分なのでなるべく大きいものを採るといいですね。 そんなワラビですが探すコツがあります。まず一つは開けた日当たりのよい場所であることです。経験上ですが、直射日光が当たる場所が好きなようです。2つ目は斜面であることです。もちろん斜面でないところでも見つかるのですが個人的な経験としては斜面のほうがたくさん見つかります。
ワラビの面白い所は1つ見つけると辺りにたくさんのワラビを発見できることです。
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ここでも周りにはたくさんのワラビが生えていました!しかし、食べるには小さいサイズです。植物のことも考えてあげましょう。
ワラビと言えばわらび餅というお菓子を聞いたことはない方はいないでしょう。この握りこぶしの根っこが持つでんぷんを集めたものがワラビ粉です。
集めるのがとても大変な高級食材なのです。市販のわらび餅のほとんどはイモやタピオカなどのでんぷんにほんの少しのワラビ粉を練りこんだものなんです。わらび餅の色をご存じでしょうか?透明と考えたあなたは本物のわらび餅を口にしたことがないことになります。本物は茶色なんです。初めて食べるとあまりの違いに感動すると思います。
ワラビですが、そのままは食べられません。灰汁が強烈なのでしっかりあく抜きしましょう。おすすめは定番の重曹ですが小麦粉を使ってあく抜きをすることもできます。私は小麦粉と水でに出した後に水につける方法を取りましたが過去一度目はあく抜き時間が甘く失敗しました。頑張って食べられるような味ではなく、飲み込むのがつらいえぐみが残ります。せっかくとったならしっかりあく抜きしておいしく食べましょう。
ちなみにですが、写真くらいの大きさですと固くて食べられません。気をつけましょう。

続いて旬の植物情報です。
冒険の森横の沢沿いではただいま春を代表する花の1つであるアブラチャンが咲いています。
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ニックネームのようで可愛いですが本当にアブラチャンという名前なんですよ(笑)
木自体に油分が多く含まれていることから名付けられていますが、春先に写真のような黄色い花をつけるため綺麗で人気があります。
写真単体ですと地味な印象を受けるかもしれませんが、実際には数多くついているので木全体が黄色の衣をまとったような雰囲気を出しています。
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今の季節ならではのアブラチャンもぜひ見に来てみてください。

あいかわ公園 3月下旬自然散策のおすすめ

動くと汗をかいてしまうような日が続き、春本番といった感じですね。あいかわ公園3月下旬の自然情報をお届けします。
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ソメイヨシノはいよいよ咲き始めました。ふれあい広場を中心としたエリアではピンク色のソメイヨシノが見れます。花の斜面方面では濃い赤のヨウコウが、駐車場付近では白色のオオシマザクラがそれぞれ咲いたり蕾を開き始めています。

f:id:aikawa_park:20200318092326j:plain冒険の森入口からスギ林にかけてのところにミミガタテンナンショウが次々と出てきています。人の耳のような形をしているのですがその作りはとても面白く、知らなければ見過ごしてしまうような植物です。

ツツジも様々な種類がぽつぽつと咲き始めています。
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背の高いミツバツツジと思われるツツジが咲き始めています。ツツジはどれも同じように見えていまいち種類が分かりません。ですが綺麗です。

パークセンター前と冒険の森入口をつなぐ通路の植込みには見事なヒメスミレの群落ができています。
f:id:aikawa_park:20200318124345j:plain1cm位の花が集まっているとかなり派手な印象を受けます。

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ふれあい広場の奥では、薄黄色の花が輝かしいヒュウガミズキが見ごろを迎えています。
鈴のような花が連なるので迫力満載です。

冒険の森入口や花の斜面ではイロハモミジが葉を展開し花をつけようとしています。
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モミジが花をつけ、それを実際に見る機会というのはないのではないでしょうか?この仲間は4月頃に花をつけるのです。

あいかわ公園でも植物によって本格的に春が近づいていることを実感できます。桜、遊具だけでなく生えている植物たちにも注目して散策をしてみてください。