秋になるとバッタなどを除いて一気に虫が少なくなってきますね。その中でもタテハチョウの仲間は成虫で冬を越すために今の季節に成虫になって出てくるものがいます。パークセンターの花が咲いている辺りを見て回ると遭遇できるかもしれませんよ。
写真は恐らくキタテハの秋型ではないかと思われます。秋型になるとより枯葉のような姿を見せてくれる面白い蝶なのです。上から見るとまだら模様で非常に目立ちますね。しかし羽の上側は明らかに欠けたような姿をしています。こういう羽なのです。この欠けた部分が横から見た時に驚きを与えてくれます。
ところで、キタテハを採るために網を振ったらどうやら一緒にこの葉を採ってしまったようです。葉が欠けていていかにも落葉らしい姿をしていますね。と、蝶の気持ちを代弁するかのように語ってみましたが、皆様はこれが蝶だと言うことに気が付けましたか?
一枚目の写真で見せた羽を広げた時の欠けや、端っこの部分の出っ張りは、このように横から見た時の枯葉度を高めるための戦略だったのですね。もしこの蝶が木にくっついていたら見つけられない人は多そうですね。
せっかくなので近くで見てみましょう。顔と触角を隠したら葉ですね。キタテハの秋型では羽の下側(写真では左上です)の所につく白いCをつぶしたような模様が入ります。キタテハ自体はありふれた種類なのですが、キタテハをさらに細い枯葉にしたような種類もいます。その子は白模様が明瞭なCマークなのでシータテハと呼ばれますが、数はずっと少ないようです。県外ではこの模様がL字のエルタテハなんてのもいるらしいですよ。面白いですね(笑)
タテハの仲間の中でもかなり見やすい種類であるキタテハを探して、タテハチョウの違いを比較してみると生き物の些細な違いに気が付けて驚くこと間違いなしですね。
ミスジチョウの仲間はどれもそっくり。 分かりやすいコミスジを見分ける
初夏から秋口にかけて園内を歩いているととても優雅にふわりふわりと舞う蝶を見かけることがあります。独特な飛び方をする蝶なのですが、捕まえてみないことには姿が分かりません。そして実際に捕まえてみると思っていたのとは違う種類だったりするのです。
今回捕まえたのはコミスジという蝶です。ミスジとは3本の線の事を指しているのですが、羽の模様をよく見てみると白い線状の模様が3本走っているのが分かると思います。これが2本ならフタスジチョウですし、1本のイチモンジチョウもいます。線の数が違えば分かりやすいのですが、ミスジの仲間は何種類かいるのです。ややこしいですね。そこで見るべきポイントが羽に走る3本の線の内一番上の線です!
ここの部分です。線模様がどのようになっているでしょうか?
見ての通り途中で途切れ、線が二つに分かれていますね。これがコミスジの特徴です。コミスジにそっくりなミスジチョウと言う蝶がいますが、ミスジチョウの場合は上の線と下の線がまるでくっついているかのようにつながります。1ヶ所の模様だけで蝶の種類が分けられると思うと面白いですね。
ちなみにミスジの仲間は飛んでいるときにはばたくというよりも滑空しているように見えます。羽を広げたまま器用に飛んでいるように見えるのです。ですので羽を閉じている姿と言うのはあまり見かけません。ミスジの仲間は羽の表側は黒いのですが、裏側は写真のように白いのです。自分より高い場所を飛んでいれば白く見え、低い所にいれば黒く見えます。飛んでいる最中に模様を判断するのは難しいですから、捕まえてみないと種類が分からないですね。
この模様を持つものの中には珍しい種類もいますから、見かけたらついつい捕まえざるを得ないわけです。
この記事の最初の写真が表でこちらの写真が裏側です。明るくなると結構印象が変わってきませんか?
見つけることは簡単でも捕まえたり種類を特定するのが難しいのがこのミスジの仲間たちです。皆様も見つけたら捕まえて、蝶の種類を絞ることに挑戦してみましょう。
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あいかわ公園植物図鑑にヒヨドリジョウゴ、ヤマクルマバナ、オトコエシ、カワミドリ、ウリクサ、イヌタデ、メドハギ、ママコノシリヌグイ、を追加しました。秋の花たちを更新中です!春も夏もあわせてご利用ください。
花には見えない変わった植物 カラスビシャク
冒険広場の上をの道路沿いを植物を探しながら歩いていると春から探していたとある植物を発見しました。不思議な植物で全く花のように見えないおかしな植物なのですが、恐らく知らない方が見たらほとんどの人が草だと思うのではないでしょうか。
こちらがその変わった花を持つ植物そのなもカラスビシャクです!なんとも語感のいい植物ですね。写真の箇所が花なのですがまったく鮮やかさもなければ虫にアピールするような模様もありません。この形自体は実は春に登場しています。長くこのブログを見て下さっている方には心当たりがあるかもしれませんね。
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それがミミガタテンナンショウという植物でした。スーパーにも並ぶサトイモの仲間で、サトイモ科と言うグループです。この仲間の特徴はまるでレインコートのようにしっかりと包み込んだ不思議な形の仏炎苞(ぶつえんほう)と言う大きな葉が変化した器官でしたね。カラスビシャクも同じように最初の写真の緑色の部分が仏炎苞なのです。つまり本当の花はこの筒形の中にあります。
その前にもう一つサトイモ科の特徴的な付属体(ふぞくたい)を見ていきましょう。付属体は本当の花にくっついている道しるべのようなものです。この仲間は特有の臭い香りでハエの仲間をおびき寄せるのですが、その虫が上がったり下がったりするための登り棒のようなものです。この部分に結構違いが現れるのでサトイモ科の仲間は面白いですよ。例えば春のウラシマソウは見事な付属体を持ちましたね。
これが長い付属体を浦島太郎の釣り竿に見立てたウラシマソウです。あいかわ公園の春によく見られます。においはなかなか臭いです。
話がサトイモの仲間全般にそれてしまいましたがこの仲間は花を守るためにしっかりとしたフードをかぶっています。姿をちゃんと見てみるとなかなかにかわいいですよ。
後から見てみました。バッチリ仏炎苞の筒の入り口部分を上から隠していますね。表側から見るのと裏側から見るのでここまで印象が変わる植物も少ないのではないでしょうか?
カラスビシャクは春に咲く植物なのですがまさか今の時期にひょっこり咲いているとは思いませんでした。皆様も自然散策をされる際には普段見ている場所でもじっくり目を凝らしてみると思わぬ発見をすることができると思いますよ。
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茶色いシジミチョウムラサキシジミ その翅には美しい紫の光沢がある!
今日は見やすく、捕まえやすく、シジミチョウが持つ美しさの感動も味わえる素敵なムラサキシジミを紹介しようと思います。皆様の持つシジミチョウへの印象がガラッと変わること間違いなしの種類だと思いますよ。
あいかわ公園では食草のアラカシがたくさん見られるので比較的見やすい種類です。この前も色の綺麗な子がいたので捕まえてみました。
ムラサキシジミは羽の裏側はとても落ち着いた色をしています。白色の印象が強いシジミチョウの中ではこの色なだけでもいい印象を残してくれますね。面白いのは羽の裏側の部分も太陽の光に当てると光を反射して輝くという点です。これは写真ではとれないのですが、茶色の光沢と言うのはどことなく上品な雰囲気で、秋の色合いともとてもあっています。野外で見かけるとつい目を奪われて眺めてしまいますね。そしてこの主張の少なさこそが彼らを引き立てるのだと私は思います。名前の由来である羽の表側を見てみましょう。
このとおり写真にも映るほどの鋭い紫色の光沢を持ちます。写真でこれほど写るということは実物はさらに輝いているということです。初めて見たときにはこの色合いにとても感動してしまいました。それ以来すっかりムラサキシジミのファンになってしまったのです。紫色の模様はもちろんのこと、そこに入る黒い羽の線がさらに紫の光沢を引き立てていますね。全体を紫にするのではないのもポイントが高いです。黒を端にまとうことで余計に輝きが増して見えているのです。
シジミチョウの仲間の世界に興味を持たせてくれた1匹ですね。
せっかくなので表と裏のギャップも味わってみてください。
彼らの真の面白さは色の個体差があるという所です。より紫が強いものもいれば薄いものもいます。自分の好きな塩梅を探していくことができるのでシジミチョウ探しは本当に飽きません。そこら中にいるヤマトシジミですら個性がかなり見られ面白いです。
ムラサキシジミはアラカシが好きなのでアラカシがあるエリアの近くのお花を見るとやってきていることがあります。シジミチョウの仲間の中でアラカシは主食ではないものの食べられたりしているのでこの仲間を探すときには参考にしてみるといいと思います。帽子に横線が入るドングリですよ。
おしゃれなムラサキシジミを皆様も探してみてくださいね。
人の周りを飛び回る白い蝶 ウラギンシジミの秘密とは?
秋の公園で非常に目立つのは白色と赤色がひらひらと目立つウラギンシジミと言う蝶です。シジミチョウの中では最大クラスの蝶で、ぱっと見はシジミチョウではありません。人の周りをふらふらと飛んだり見かける機会は多いものの、すばしっこいため捕まえるのは難しめです。
石小屋ダムの方面では食草がたくさんあるのでよく見かけます。
捕まえました。このように羽の裏側は真っ白になっています。これが日の光を受けると銀色のように見えるのです。蝶の羽は写真で見えている部分が裏なので裏が銀色のシジミでウラギンシジミですね。写真で見るよりだいぶ大きいです。ヤマトシジミの3倍くらいはありますね。
今の時期に見られるのは不思議ですが、このウラギンシジミは成虫で冬を越す面白いちょうちょなのです。
シジミチョウに限らず、蝶は1年の内複数回発生する種類がいます。その中には春、夏、冬で姿かたちが異なるものもいるのです。
ウラギンシジミには夏型と秋型があります。羽が丸みを帯びる夏型と、羽先がとがる秋型に分かれるのですが、どうも羽をピシッとは開いてはくれず、この写真で判断していくしかないのですが、見比べてみると秋型っぽいですね。
写真のように表側は♂の場合なかなかに綺麗なオレンジ色をしています。飛んでいるときにはこの真逆のような色合いが見られるため、とても分かりやすい種類です。
オレンジ色の部分は他のシジミチョウと同じく光沢を帯びています。ただし光具合は弱いですね。
先ほどのとがる部分の話はここです。私自身のウラギンシジミを捕まえて比較した経験が浅いため、夏型なのか秋型なのかいまいちわかりません。角度が急なので秋っぽいのですがね~
このウラギンシジミはツバメシジミと同じくマメ科の植物を食べますが、クズが好きです。同じ仲間であっても好みが違うのですね。
今週末は台風が直撃しそうです。その場合自然観察ガイドは行われないのでご注意ください。詳しい情報はあいかわ公園ホームページに掲載の予定です。
ヤマトシジミにオレンジ色の点がある? それはツバメシジミかもしれません。
秋の気配がかなり進んできたこの頃ですがまだ蝶の仲間は見られます。私もシジミチョウへの関心が日に日に増しており、園内を歩いていてもつい蝶を目で追ってしまう調子です。
先日は石小屋ダムの方面へ植物と虫を見がてら歩いてきました。今の季節に見られるシジミチョウを見ておきたいのです。目的はマメ科に集まるツバメシジミです!サブターゲットはルリシジミです。
しかし見れども見れどもヤマトシジミです。ようやくヤマトにオレンジ色の模様が入った個体を見かけました。見た目はそっくりに見えますが、目的のツバメシジミです!
ツバメシジミは珍しい種類ではないものの私はようやくシジミの違いが分かってきたところでなおかつ見たいなと思っていた種類なもので、花に止まっているときから既に目を奪われてしまいました。ぱっと見の違いはこの子の場合羽の端にあるオレンジ色だけなのですが、それだけでもヤマトシジミとは印象が全く違います。おしゃれです!
正直なところシジミチョウは全て同じに見えていたのですが、改めて探してみるとずいぶんと違うものだなぁと感心してしまいます。
そしてこのツバメシジミの最大のかっこいいポイントが羽につく尾状突起(びじょうとっき)です。
ツバメシジミは2本あるのですが、1本落ちてしまっていたようですね。写真左の羽の場所を見てみてください。横に針のように飛び出ている部分がありますね。これが尾状突起です。この突起があるものは何種類かが~ツバメと呼ばれます。
羽に付く黒い点模様もヤマトシジミとは違うようですね。
このツバメシジミはマメ科の植物を食べるので、マメ科の多いあいかわ公園では普通に見られるはずです。奥深いシジミチョウの世界を皆様ものぞいてみてはいかがでしょうか?
オレンジ色のシジミチョウ ベニシジミをヤマトシジミと比べてみよう
身近にいる似た姿のシジミチョウ
蝶の仲間は街中でも見ることができ、非常に親しみやすい昆虫です。
身近なシジミチョウの仲間でも空地のような環境があれば簡単に見られる種類としてベニシジミとヤマトシジミがいます。
名前の通り紅色を帯びた体は、ヤマトシジミと同じような姿でありながらも全く異なる雰囲気を出しています。野外で一目見た瞬間に「あ!別のシジミチョウだ!」と思わずワクワクしてしまうような嬉しさを感じさせてくれる蝶ですね。
そしてシジミチョウの仲間が持つ色の魅力も盛りだくさんです!
似た蝶を見分けるには見るべき色々なポイントがあるのですが、このベニシジミは目の色が黒いタイプのようです。先日のヤマトシジミが灰色だったので、せっかくですから見比べてみましょう。
このオレンジ色の光沢が少しでも伝わればうれしいです。
例の如く私のカメラでは彼らの持つ美しい色を映すことができていませんので、興味のある方はご自身で捕まえてみることをお勧めします。
ベニシジミのポイント
私の好きなポイントは写真右下の羽の端に走るオレンジ色の模様ですね。
今回の子は羽の白地が薄い子なのですがこれが銀色に近いような白だとここの線がものすごく映えます。
白が強くて羽上部のオレンジ色と先ほどの羽端のオレンジが強調されるのも好きですし、写真のようにオレンジ色がまんべんなく散っていながらも白と混ざり合い同じ色が無いように見える模様も素敵だと思います。
表側です。
ベニシジミは黒と言うかかなり濃い色をしています。羽の表側も鮮やかな模様がありますが、やはり少し控えめな模様ですね。この色の黒さは夏に現れる個体によく見られる特徴で、夏型と呼ばれています。
そして裏側にもオレンジの模様があります。表の羽の位置と同じ場所ですね。
ベニシジミの色を見てきましたが彼らも比較的身近な種類です。ということは食べるものも身近な草と言うことです。
彼らは以前登場した スイバと言う葉を食べます。
日が当たるような場所で、水分も残されるような場所によく見かける気がしますね。
その辺に生えている草です。やはり身近に見られる蝶と言うのは身近なものを食べているのですね。