あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

樹液に集まる昆虫達の観察

今年のあいかわ公園はキクイムシの影響もあってか例年よりもずっと多くの樹液を好む虫たちが見られています。

その分昼間の樹液のチャンピオンであるスズメバチもよく飛んでおり、広場の木には注意を払わねばなりません。

今日は樹液にやってきている昆虫たちを紹介していきます。夏に向けて気持ちを盛り上げていきましょう!

樹液の探し方が分からない方はこちらを先に読むと分かりやすいです↓
aikawa-park.hatenablog.com


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今年は樹液を出すシロスジカミキリと言うカミキリムシの噛み痕が非常に多いです。

キクイムシの穿孔によって弱りかけた木が多いからかもしれません。

写真のような木クズがある場所からは樹液が出るのですが、先客が来ていました。
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これは多分アオカナブンですかね。

青みの強いカナブンかもしれません。

タマムシにも負けない美しい青緑色をもつなかなか綺麗なカナブンです。

こういう樹液を舐めているカナブンは刺激すると樹液でどろどろのおしっこをかけられるので気を付けましょう。
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昨年の写真ですがなかなか綺麗だとは思いませんか? 

彼らのいるところはいい樹液のポイントの証です。夜や朝一ならカブクワもいるかもしれませんね。

そしてシロスジカミキリの噛み痕と言うのは横一列に続く傾向があります。周りを見てみましょう。
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大きくえぐれたいい場所を発見しました。

ここにきているのはヒカゲチョウのようですね。

薄暗い環境で見られる樹液好きの蝶です。

顔よりも目玉模様の方が目立ち、たまにこの目玉部分が食いちぎられた個体を見かけます。 急所である頭部を別の目玉模様で守るのです。

がいるということは地面を見てみるとこんなものがおちていることも......
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コクワガタなどの昆虫が敵である鳥に襲われた後ですね。

ここまで樹液に集まる昆虫やその死骸があるならば、そこは当たりの可能性が高いですね。



今年も園内では既に大人気の甲虫たちですが、昼間はライバルの多さもあってなかなか取れません。

しかし、ハチや樹液に集まるチョウ、昼間も良く動くカナブンなどは見られる可能性も高いので、あいかわ公園に虫探しに来てみてはいかがでしょうか?

夏の虫取りに役立つ情報はこちら↓
aikawa-park.hatenablog.com

茶色い蛾?それとも蝶? じっくり見るととてもかわいいイチモンジセセリ

可愛さ抜群の癒されるチョウ、セセリチョウ!

秋になると茶色い色のちっちゃなチョウが目につき始めます。 

形が蝶らしくないため、蛾とも間違われてしまいかわいそうに思うのですが、セセリチョウと言う種類の蝶の仲間です。

園内にも多数来ており、この時期は特に目にする種類です。早速来ました!

蛾に間違えられるという話をしましたが、確かに皆様がイメージするアゲハチョウなどのチョウとは違いますよね。彼らは飛ぶことに特化している蝶なんです。

虫取りをしていない人には彼らを目で追うのは困難といえるくらい俊敏に飛び回ります。

そのせいでハエやハチに間違われたりして嫌われてしまったりもします。可哀そうですね。

では近づいてみましょう。セセリチョウはどれもこの形をしていますが、基本的には身近な2種類を覚えておけば問題ありません。

この子は翅の白点が数字の1のように綺麗に並んでいますね。

これはイチモンジセセリの特徴です!

蜜を飲むシーンが最高に可愛い!


蜜をおいしそうに飲んでいますね。
セセリチョウの仲間は体に対して目が非常に大きく、ぬいぐるみのようにクリっとしています。
食事中はまさに夢中なようで、人間が近づいてもあまり逃げません。逃げても数cmの距離を取る程度のことが多いです。
目の前で眺めているとチョウとじゃれあっているようでなんだか楽しいんですよね。


上から見てみましょう。
触覚の部分に注目すると先端が丸くなっていることが分かりますね。この傾向は蝶の仲間に見られるものです。虫たちは触覚をピコピコ動かしにおいを感じて餌を探しています。我々の鼻みたいな感覚でしょうか?

翅はしっかりと4枚あり、開いて止まることもあります。
その場面を上から見ると、ぱっと見蝶には見えません。

イチモンジセセリはこの秋の季節に花を覗いてみると高確率で見つかると思うので探してみてください。

かなり愛嬌のある蝶なので、触れ合ってみると好きになること間違いなしですよ。

ほかの可愛らしいセセリチョウも見ておこう。

園内では姿が同じで模様の違うキマダラセセリチャバネセセリなどのセセリがいます。 
秋の石小屋ダム方面では群れる多数のセセリチョウを見ることができますから、興味の湧いた方は訪れてみてくださいね。

同じ時期に見られる蝶たちの記事はこちら↓
aikawa-park.hatenablog.com
aikawa-park.hatenablog.com



園内の自然に興味の湧いた方は↓のカテゴリーの虫をクリックして、色々な虫を見つけちゃいましょう!

樹皮に擬態する小さなセミ。6月から出現するニイニイゼミのかわいさ。

迷彩のような美しい模様のセミ

真夏になると少なくなってしまう可愛らしいセミがいます。7月頭~中旬ごろによく見かけるニィーとかジィーなんて鳴き声をしているニイニイゼミです。

夏本番の他のセミたちが出てくる時にはもう数が減っているセミです。


ニイニイゼミを何とか見つけました。

このセミはそして写真でも色合いが分かるように樹皮そっくりの色合いをしており、3㎝程度の見た目と相まって探しても見つけられないことが多いのです。

翅を見てみましょう。

翅単体ではやたらと目立つ迷彩柄のようにしか見えません。

しかし、自然の中にいるとこの姿は本当に溶け込んでしまい発見することは非常に困難です。また、鳴き声の発生位置も特定しにくいんですよね。

なぜそのような見つけにくさになるかというと、木には樹皮だけでなく地衣類や蘚苔類という樹皮に付着するコケのようなものが付きます。

これがつくとまさにニイニイゼミ模様になり、擬態が成立します。

セミのチャームポイント

ところで皆様はセミの好きなポイントと言うのがありますか? 私はセミの翅が好きなんですよね。

ここまで拡大してみると、セミの翅に入る脈がまるで幾何学模様のような芸術的な模様に見えてきませんか?

翅脈(しみゃく)と呼ばれるのですが、蝶などの翅にも入っており、この線の形から種類を絞り込むこともできます。指紋のようなものでしょうかね。

そしてセミと言えばユニークな口の形は欠かせませんね。

この口から分かる通り彼らはカメムシの仲間なんです。

鋭い針を木に指して汁を吸うのはこの仲間に共通の特徴ですね。彼らの幼虫も地下の根に針を刺して木の汁を吸います。

そんな大きな口が付いている頭がこちらです。

どうでしょう?ニイニイゼミもなかなか可愛くないですか?

目玉はまだら模様に見えますが、これは彼らの持つ目の集合体、複眼にあります。

カマキリなどもそうですが、彼らは2つではなく、数千数万からなる目を持っています。

動くものに非常に敏感なのです。セミを真下から捕まえようとしているのに逃げられてしまった。そんな経験をした方も多いのではないでしょうか?

そして、この複眼の間にも目があります。額の赤いガラス玉のようなもの これが単眼と言うもう1つの眼です。セミは5個も目があるんですよ。


これからセミたちの声が聴ける嬉しい時期が始まります。身近なセミには色々なものがいるので、ぜひ捕まえるのに挑戦してその体の不思議をじっくり眺めてみてください。

アカボシゴマダラ春型と夏型を比べてみよう

樹液の出る木を回っていると度々目にする大型の蝶がいます。
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こちらは昨年出会ったボロボロの蝶なのですが、アカボシゴマダラと言う蝶です。

この蝶は名前の通り翅の後ろに赤い模様があります。

アカボシと言う名はぴったりだと思いますが、これは暑い夏の時期にだけ見られる特徴なんです。

夏に現れるものを夏型、春に現れるものを春型と呼びますが、彼らの春型はどんな姿をしているのでしょうか?
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なんと春型には特徴的な赤い模様がありません。

まるでモンシロチョウの仲間かのような白と黒の姿をしているのです。

とはいえかなり大きいのでモンシロチョウなどと間違えることはないですけどね。
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見ての通り大きいですね。

この蝶は樹液が大好きなため、夏になると木の周りを飛んでいる姿が目立ちます。

色合いから遠目でも分かるため、樹液を探したい人にとってはいい案内人となってくれるでしょう。

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春と夏の比較です。

同じ蝶だとは思えないほど季節で色合いが違いますね。

春型は線状の黒い線が目立ち、夏型はより黒の面積が広いですね。

園内では比較的見やすい蝶なのですが、彼らの幼虫はいったい何を食べているんでしょうか?
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それが広場にも生えているエノキという木です。

蝶には大人気の葉っぱで、オオムラサキゴマダラチョウなどの美しい人気の蝶たちが見られる木です。
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(園内ではオオムラサキもたまにいます)
幼虫も成虫もふれあい広場で食べ物にありつけるため、彼らにはとてもいい環境なんでしょうね。
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園内では普通に見られる種類なので、これから夏にかけてよく見かけるはずです。外国からやってきた子なので、見かけたらそっとしておいてあげてくださいね。

樹液を教えてくれる蝶としてはサトキマダラヒカゲもおススメです。↓
aikawa-park.hatenablog.com

園内の昆虫に興味の湧いた方は↓の虫カテゴリーをポチポチして興味のある虫を事前に見つけておきましょう。

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虫取りお役立ち情報では樹液の探し方などの夏に役立つ情報が満載です。

セスジスズメの幼虫。夏に見かける大きな幼虫と擬態

ヘビの姿をまねるセスジスズメ!

夏の時期に道を歩いていると、黒くて短いヘビに遭遇することがあります。そのヘビ、実はよく見てみると...?



その正体は黒い幼虫セスジスズメというものだったりします。この時期に蛹になる場所を求めて徘徊しているんですね。
今回遭遇した場面はカマキリとの白熱するにらみ合いの場面だったようです!

ここは私も加わってカマキリとセスジスズメと私の三すくみと行きましょう。

早速セスジスズメがにらみを利かせてきたようです。

目玉模様で敵をビビらせ!


この写真で思わずびっくりした方もいるのではないでしょうか? 凄まじい睨みです。

実物を見た方はイメージしやすいと思いますが、彼らの体の側面には赤と黄色の目玉模様が並んでいます。頭部と縮めることでこの模様がまるで目であるかのように見せかけるのです。

この模様はある生き物を連想させているのですが、皆様は瞬間的に何を想像しましたか?




まるでがこちらをにらんでいるかのような目力を感じますよね。

この模様で鳥などの天敵に餌と思わせない彼らの技です。すごい威圧感がありますね。

一応横から見た写真も上げておきます。
これにより全方位を目玉でカバーするといった技が可能になります。

色で危険を知らせる警告色

こうした黒に黄色の色合いは自然界では警告色と呼ばれる毒を持つというアピールの1つです。

セスジスズメは毒を持ちませんが、こうした毒の色合いを見せる虫は結構います。

左のドクガの仲間やスズメバチなんかは色合いで危険だというのが分かりますよね。



セスジスズメはスズメガと言う蛾の仲間です。

この仲間は幼虫の時にお尻に針状のアンテナが付いています。

可愛らしくもありながら種類の特定にも貢献してくれる素晴らしいチャームポイントですね。 色合いも含めてとても分かりやすい種類の虫と言えるでしょう。

加えて食草も身近なので、意外とその辺にいる種類です。

食草は5枚の葉をつけるつる性のヤブガラシなどが分かりやすいですね。
ちょっとした草地の上を覆っている植物なので、その辺に生えているはずです。

その葉をかじった跡があれば、いる可能性は高いですね。食草が身近なので、都市部にも結構います。

それぞれの敵を見る見事な3すくみの場面です。にらみ合いから目が離せません!

暑い中でこうも動かないと、なんだか気が合う気がしてきました。

肉食性の敵を見るセスジスズメ、より巨大な敵を見るカマキリ、セスジスズメに癒される私。 とみている理由は違いますが、こういう偶然の出会いも自然ならではで楽しいものですね。


スズメガの姿が気になる方は種類は違うもののブドウスズメの記事がおススメです。
aikawa-park.hatenablog.com

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ウサギのようで可愛いマイマイガ

4月~6月頃にかけて頻繁に目にすることがある毒々しい幼虫がいます。

マイマイガと言う蛾なのですが、なかなかに不憫な蛾です。
f:id:aikawa_park:20210703143658j:plain小さい幼虫の時にはが目立ちます。
f:id:aikawa_park:20210703143907j:plain大きい幼虫になると7cm程もあるためひたすらに不快な印象を受けてしまうことも多い種類です。

7月になるとこの幼虫がになります。一体どんな姿なのでしょうか?
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こんな姿をしています。

大きな茶色い翅ウサギの耳のような触角が特徴的なマイマイガの♂ですね。

蛾の記事では度々ピックアップしますが、大きな櫛型の触覚はの蛾で見られることがある特徴の1つです。

しかし、触角の大きさも分かりにくいですよね。正面から見てみましょう!
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なんとまあ可愛らしい顔でしょうか。

出会ってきた蛾たちの中でも圧倒的なマスコット感がありますね。

体に対して非常に大きい耳状に目立つ触角がマイマイガの分かりやすい特徴です(♂の場合)
これなら触れそうな気がしませんか?

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のマイマイガの翅は茶色い模様をしています。しかし、ホワイトチョコのような色合いをしています。

♂♀で色合いが違うのでぱっと見は別の蛾に見えてしまいます。♂だけでも覚えておきましょう。

ところで蛾の裏側はどうなっているのでしょうか?虫の体はそのまま見るのが苦手な人も多いですよね。
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この驚きのモフモフ感はすごいですね。毛だけを見てしまえばもはや動物かと思ってしまうぐらい滑らかな毛が生えています。どこまで可愛いんでしょうか?
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更に可愛いポイントがあります。足の付け根の関節部分にも真ん丸の毛をつけているんですね。マイマイガに関してはこの姿のまま人形にしても十分可愛いでしょう。

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幼虫の時からは想像できないような素敵な姿になるマイマイガは、色々な葉を食べるため見かける機会も多い蛾です。

光に集まる性質があり、大量発生した場所ではものすごい数で群れるので不快な虫として見られますが、その姿に注目してみるととても可愛いですよ。
おすすめの蛾です!

マイマイガの幼虫の時の記事はこちら↓
aikawa-park.hatenablog.com
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植物を覆う大きなつる植物 クズ

食材として食べたことがあってもどんな植物か知らない植物と言うのは意外と多いものです。

夏場に食べる和菓子の中に葛切りと言うお菓子がありますが、あの原料となっている植物が身の回りに生えていることを知ってしますか?
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こちらがところてんのようなお菓子の原料であるクズと言う植物です。

河川沿いなどでよく見られる他、あいかわ公園のような山沿いの場所でもよく見られます。幅広い環境で見られるのですが、それはクズの戦略にあります。

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普通の植物のはまっすぐ立ち上がりますが、クズの茎は写真のように細長い姿をしているのです。

これで他の植物に絡みついて太陽の光を独占するのが彼らの戦略です。
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見ての通りかなりの巻き付き具合ですね。

他の植物よりに出られるので、その後大きな葉を広げるのです。

そして栄養が地下に蓄えられ、このでんぷんが葛切りの材料の葛粉として利用されています。

もちろん栄養は地下に貯めるだけではありません。
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動物の尻尾のようなものがクズの周りでは見られます。夏場になると薄紫色の蕾をつけ、その後豪華な花をつけるのです。

花はマメの仲間らしく豪快に咲きます。
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気の早いクズがすでに咲いていました。

濃い紫色が目立ちますが、花の中心には虫に蜜のありかを示す模様があります。

イカのような姿をしていますが、マメの仲間はこうした2枚の花びらからなります。

花が咲くころになると虫がたくさんやってくるのでカマキリなどの肉食性昆虫も見られる場所になりますね。
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この場所にもキリギリスウマオイでしょうか?肉食性と思われるバッタが来ていました。

人間にも他の虫たちにも大人気のクズはその辺に生えている植物です。自然と人とのつながりを学びやすい植物なので、探してみてはいかがでしょうか? 機会があれば根を掘ってみたいものですね。




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