植物というのは実に不思議なことがたくさんあります。そのうち1つが花に見えるものが花なのか花ではないものなのかということです。
そもそも花とはいったい何なのでしょうか?
今日は身近な花を例にとってお花の不思議を紹介していきます。
例にとるのはこの2種類です。
左はネモフィラ右はアメリカハナミズキとどちらも比較的身近に見ることができる園芸種です。このうち花と呼べるものはどちらか一方です。
ではどこで見分けるかというのがポイントなのですがそれがガクと呼ばれる葉が変化した部位がポイントとなります。それぞれ裏側はどうなっているのでしょうか?
それがこちら。ネモフィラの後ろにはなにやら緑色の花びら?のようなものがくっついています。この部分がガクと呼ばれ、葉が変化した部分です。ワイングラスの一番下の部分のように花全体を支える役割を持っています。 一方でハナミズキのほうには何もありません。これはいったいどうなのでしょうか?
この部分がポイントです。説明口調になりますが、花というのはガク含む全体(花被(かひ)と呼び、ネモフィラなら裏の緑色のガクと青い花びらをすべて含めて花被という)の事を指し、ガクよりも内側にある質の異なるものを花びらと呼びます。つまり、緑色のガクがあり、さらにその内側に質の異なる青い葉があるためこの部分をガクと区別し花びらと呼ぶのです。内側から順に めしべ<おしべ<花びら<ガク<苞の順で付きます。
再度見てみましょう。
ハナミズキの場合中心に集まっているつぶつぶ 1つ1つが本当のお花です。実はまだ蕾なので分かりにくいかもしれません。1つ1つの花はよく見ると色が変わっていますね。明るい緑が花びら、濃い緑がガクです。ネモフィラで見た通り、1つの花にはガクが付きますが複数の花をまとめて支えるガクはありません。ハナミズキのこの白い部分はガクより外側の苞ということになります。つまり ハナミズキは苞が花のように見せかけている植物なのです。本当のお花が地味すぎて虫さんがやってこないため、鮮やかな苞でアピールしているんですね。
花が咲けば先ほどの内側からめしべ<おしべ<花びら<ガク<苞が分かりやすくなると思いますよ。よく見てみてくださいね。
大分難しい話でしたが、内側からのお花の基準を知っておくと自然観察がとても楽しくなります。お花の構造をぜひイメージしてみてくださいね。