あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

尾花といえばススキ

秋、9月、植物とキーワードを上げてみると思い浮かぶのはススキでしょう。お月見などとも合わせて日本人にはなじみの深い植物ですよね。しかし遠くから眺めてススキを見ることはあっても近くで見ることと言うのは意外にありません。
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こちらがススキの花です。遠目から見てまるで動物のしっぽのように見える面白い姿をしていますよね。なので尾花と言う名前が付けられています。ではこのススキはいったい何の仲間でしょうか?花のイメージから何科の植物か想像してみましょう。ヒントは細長い花であるということと、この細長い部分は小さな花の集合体であるということです。




答えはイネの仲間です!
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こちらは同じ仲間のおひしばと呼ばれる植物です。同じイネの仲間だけあってそっくりですよね。イネの仲間はこのような動物のしっぽ状の姿になるものが多いので雰囲気で覚えておきましょう。先ほども伝えたように写真が1枚の花ではなく、小さなお米のようなものがたくさん集まって1つの花を形作っています。風で種を飛ばすため、花もたくさんつけるのですね。タンポポと同じような戦略です。
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ススキの花もアップでよく見るとお米のような形をした部分があります。これがまだ咲いていませんが花で、後ほどパカッと割れておしべなどがでてきます。
拡大してみると細い線状の茶色いものが付いていますがこれもイネ科の仲間によく見られる「のぎ」と呼ばれるパーツで、似た植物と見分ける際の参考になります。
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分かりやすくみてみますと、この右に伸びている金色っぽい毛がのぎです。のぎをたどるとススキの花が包まれている殻にたどりつきます。のぎを数えることで花の数も分かりますね!
そしてこのイネ科の仲間にはもう1つ特徴があります。それは葉に見られるのですがこちらも見てみましょう。
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見て欲しい部分は葉に走る線状の脈の形です。線はどのように走っているでしょうか? 直線ですか?それともあみだくじのようになっているでしょうか?


見ての通り横に走っていますね。なので平行脈(へいこうみゃく)と呼ばれます。この横に走る脈はランの仲間やイネの仲間などに見られる特徴ですので外で草を見つけて悩んでいるときには参考にしてみてください。
加えてイネの仲間には葉の端に注意する必要があります。
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触れてみると分かりますが端がざらざらしており、うっかり手を滑らせようものならスパッと切れてしまいます。有名なササ船なども作るときには気を付けて行かないとケガをしてしまいますね。しかし切ってしまうのもそれはそれで経験になると思います。 

今日は有名なススキを紹介してみましたが、有名な植物に見られる特徴を中心に覚え、そこから植物のお友達を広げていくとイメージが定着しやすいと思いますよ。
ちなみに今年の十五夜こと中秋の名月は10月1日だそうです。覚えていたらススキをセットして月見団子を食べたいところですね。