基本的な冬芽である鱗芽(りんが)と裸芽(らが)をこの前の記事で紹介しました。冬芽の中にはとても変わった面白い特徴を持つものがいます。その1種がトチ餅でおなじみのトチノキの冬芽です。
トチノキ自体非常に大きな葉をつけるので冬芽がそれだけ大きいことは想像しやすいのですが、冬芽の赤い部分に注目してみてください。
なにやらフルーツタルトの上で宝石のように輝くコーティングされたフルーツのようなツヤがあることに気が付いたでしょうか?
これこそトチノキの不思議です。
ちなみに横に伸びている線状の物はただのクモの糸です。
身近なものでこのようにコーティングされているものと言えば何があるでしょうか?例えばりんご飴なんかもこれと似たようにコーティングされていますよね。
ではこの冬芽はよりおいしく誰かに食べてもらうためにつやを出しているのでしょうか?
そんなことはありませんね。実は自然界には冬芽を利用する生き物がいます。
鱗芽の記事で紹介したイヌシデの冬芽ですが、実は写真は両方ともイヌシデの冬芽です。右はイヌシデメフクレフシと言うダニの一部がテントのように中に侵入している冬芽です。安全に見える冬芽も実は防御がバッチリと言うわけではないのですね。鳥の中には冬芽を食べるものもいます。
そんな色々な敵から身を守るのがこの粘液と言うわけです。ダニや小さな生き物であればこれに絡めとられてそのまま死んでしまうわけですね。
なかなかのべたつき具合で、人間が触れてもべたべたしています。なので小型の虫たちには抜け出せない恐ろしいトラップになっていることでしょう。
後は単純に寒さなどから芽を守っています。樹脂なので水をはじくのです。寒い日に外で手を洗った後の寒さはこたえますよね。それを防いでいるわけです。 冬の厳しい寒さに耐えるための素晴らしい策です。
一重に冬芽と言っても様々な戦略があることを見ることができましたね。冬芽の世界を覗いてみてはいかがでしょうか?