夏の今頃にはあまり聞かないようなセミの鳴き声が響き渡ります。
夏本番の時期には数が少なく、むしろ今が旬のセミがいるのです。
うるさくないいい声でニィーと鳴くセミはニイニイゼミと言う虫です。
弱りかけのニイニイゼミを偶然見かけました。
ニイニイゼミはセミの中でもかなり小型のセミで、2cm~3cm程度しかありません。
そして写真でも色合いが分かるように木の色にそっくりの見た目をしているため、探しても見つけられないことが多いのです。
翅を見てみましょう。
翅単体ではやたらと目立つ迷彩柄のような模様にしか見えません。
しかし、迷彩柄が自然の中で周りに同化するように、この翅も木にいるとさっぱり分かりません。
木には皮だけでなく写真のような地衣類や苔などの他の植物や菌類が一緒に生息しているため、色はまばらなものが多いんですよね。
ところで皆様はセミの好きなポイントと言うのがありますか? 私はセミの翅が好きなんですよね。
ここまで拡大してみると、セミの翅に入る脈がまるで幾何学模様のような芸術的な模様に見えてきませんか?
翅脈(しみゃく)と呼ばれるのですが、蝶などの翅にも入っており、この線の形から種類を絞り込むこともできます。指紋のようなものでしょうかね。
そしてセミと言えばユニークな口の形は欠かせませんね。
この口から分かる通り彼らはカメムシの仲間なんです。
鋭い針を木に指して汁を吸うのはこの仲間に共通の特徴ですね。彼らの幼虫も地下の根に針を刺して木の汁を吸います。
そんな大きな口が付いている頭がこちらです。
どうでしょう?ニイニイゼミもなかなか可愛くないですか?
目玉はまだら模様に見えますが、これは彼らの持つ目の集合体、複眼(ふくがん)にあります。
カマキリなどもそうですが、彼らは2つではなく、数千数万からなる目を持っています。
動くものに非常に敏感なのです。セミを真下から捕まえようとしているのに逃げられてしまった そんな経験をした方も多いのではないでしょうか?
そして、この複眼の間にも目があります。額の赤いガラス玉のようなもの これが単眼と言うもう1つの眼です。セミは5個も目があるんですよ。
これからセミたちの声が聴ける嬉しい時期が始まります。身近なセミには色々なものがいるので、ぜひ捕まえるのに挑戦してその体の不思議をじっくり眺めてみてください。
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