あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

樹皮に擬態する小さなセミ。6月から出現するニイニイゼミのかわいさ。

迷彩のような美しい模様のセミ

真夏になると少なくなってしまう可愛らしいセミがいます。7月頭~中旬ごろによく見かけるニィーとかジィーなんて鳴き声をしているニイニイゼミです。

夏本番の他のセミたちが出てくる時にはもう数が減っているセミです。


ニイニイゼミを何とか見つけました。

このセミはそして写真でも色合いが分かるように樹皮そっくりの色合いをしており、3㎝程度の見た目と相まって探しても見つけられないことが多いのです。

翅を見てみましょう。

翅単体ではやたらと目立つ迷彩柄のようにしか見えません。

しかし、自然の中にいるとこの姿は本当に溶け込んでしまい発見することは非常に困難です。また、鳴き声の発生位置も特定しにくいんですよね。

なぜそのような見つけにくさになるかというと、木には樹皮だけでなく地衣類や蘚苔類という樹皮に付着するコケのようなものが付きます。

これがつくとまさにニイニイゼミ模様になり、擬態が成立します。

セミのチャームポイント

ところで皆様はセミの好きなポイントと言うのがありますか? 私はセミの翅が好きなんですよね。

ここまで拡大してみると、セミの翅に入る脈がまるで幾何学模様のような芸術的な模様に見えてきませんか?

翅脈(しみゃく)と呼ばれるのですが、蝶などの翅にも入っており、この線の形から種類を絞り込むこともできます。指紋のようなものでしょうかね。

そしてセミと言えばユニークな口の形は欠かせませんね。

この口から分かる通り彼らはカメムシの仲間なんです。

鋭い針を木に指して汁を吸うのはこの仲間に共通の特徴ですね。彼らの幼虫も地下の根に針を刺して木の汁を吸います。

そんな大きな口が付いている頭がこちらです。

どうでしょう?ニイニイゼミもなかなか可愛くないですか?

目玉はまだら模様に見えますが、これは彼らの持つ目の集合体、複眼にあります。

カマキリなどもそうですが、彼らは2つではなく、数千数万からなる目を持っています。

動くものに非常に敏感なのです。セミを真下から捕まえようとしているのに逃げられてしまった。そんな経験をした方も多いのではないでしょうか?

そして、この複眼の間にも目があります。額の赤いガラス玉のようなもの これが単眼と言うもう1つの眼です。セミは5個も目があるんですよ。


これからセミたちの声が聴ける嬉しい時期が始まります。身近なセミには色々なものがいるので、ぜひ捕まえるのに挑戦してその体の不思議をじっくり眺めてみてください。