小さいけれど白くて目立つ小さな虫
ユキムシと名前を呼ばれてもいまいちピンとこない方も多いかと思われます。
今の季節にふわりふわりと空を飛び、服にくっついたり目に入ったり、口に入ったりして嫌な思い出を持っている方も多いと思われるこの虫です。
ユキムシは通称であり本来はトドノネオオワタムシと言うアブラムシの仲間です。
白い部分を除けばアブラムシと同じだということがよくわかります。
北海道などでこの虫が舞い始めるとそろそろ雪が降るという話があります。
広いカテゴリーとしてはカメムシやセミの仲間ですね。アブラムシは害虫でよく知られるように、木の汁を吸う性質を持ちます。テントウムシが天敵であるのは有名ですね。
飛んでいる姿は見れても、手にのせることはないと思うのでせっかくですから見てみましょう。意外とかわいいですよ。
取り方は非常に簡単です。
手を皿のようにして下からユキムシを掬ってあげれば手に付きます。雪虫は毒などを持たないため安心して触って大丈夫です。
ユキムシの白い物質とは?
彼らの最大の特徴と言えばお尻付近に付く白い物質だと思うのですが、これを綿だと思っている方は結構多いようです。確かにタンポポの綿毛のようにも見えますね。
実際は彼らが吸った木の汁のあまりの栄養分を蝋として分泌し、体にまとっているのです。とても不思議な生き物ですよね。
蝋といえば水をはじきますからこの時期の寒い水を弾いて寒さから身を守っているのでしょうか?
それとも白い色が何か自然の中で役立つのでしょうかね。
さて、手にのせているとあることに気が付きます。彼らの飛ぶタイミングには独特の姿勢があることに気が付いたのです。
基本的に移動中は翅を広げずにとことこ歩いているのですが、あるお気に入りの場所を見つけると飛行モードのようにもぞもぞと待機します。そしてこれが飛ぶときの合図です。
それが写真のような翅を立てた姿です。
これが待機モーションのようで、ここから飛び立つときにはもう1つ動きが入るようです。人間がジャンプをするときに膝を曲げるように、彼らもまた翅を広げた後にグッと全身に力を込めて飛び立つようです。
この動きに入ると1秒2秒後くらいには飛んでいきます。
カミキリムシの仲間を始め、昆虫類には高いところで飛ぶという習性があります。立てた指の先や指の関節などに誘導すればこうした飛び立つ瞬間を見やすくなるので試してみてください。
大量発生して困るユキムシも、この時期ギリギリ生きているトンボやクモなどの昆虫たちへの貴重な餌となります。自然界のつながりに目を向けてみると一見嫌な虫たちの見方もがらりと変わるものです。なんだかかわいく見えてきませんか?