あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

刈込や剪定時期によるツツジの花芽と葉芽への影響と、ベニモンアオリンガなど花が咲かない要因への対処法

春も秋も年中ツツジを楽しむ!

ツツジの華時は春のわずかな季節だと思います。しかし管理の上で面白いのは花が終わった後の時期で、翌年の花芽を見守れる夏~冬の時期もツツジマニアからすればたまらない時期です。

ツツジの基本


ツツジは写真のクルメ系や大輪のヒラド系など種類があります。花の時期もそれぞれ違い、クルメでは近年において4月上~下旬ヒラドでは4月下~5月中旬程度と気温によってかなりぶれます。

お花なので年によったり条件によって花付きは変わりますが、ツツジにおいて重要な管理要素は剪定時期花芽の位置の理解害虫害獣病気対策になると思います。今回はそれらの要素について紹介します。

花芽の位置への理解について

植物によって花となる芽(はなめ、かが)をつける位置と時期が異なります。

ツツジにおいては今年伸びた枝の先に花芽をつけると覚えておきましょう。写真は枝先についた翌年の花芽です。よく間違われてしまうのは、いつ剪定しても花芽がつくという点です。

ツツジの仲間は面白い特徴があり、小粒なクルメ系ではおおよそ6月に。大輪のヒラド系では7月中旬ごろに先端の十分育った芽が花芽(花になる)になるか葉芽(ようが(葉になる))になるかが決まります。
この時期に芽が十分育っていないと花芽は付かず、葉芽になります。上の写真は事故で切られたツツジですが、7月に切られたために伸びている枝は葉芽にしかなりません。

つまり6月7月の段階で翌年の花がどうなるかというのが決まっています。7月以降の剪定や刈込は花芽を減らすことになるので注意しましょう。花芽分化(かがぶんか)といいます。
つまり

一見すると徒長枝に見えてしまうこうした上に伸びた枝は徒長枝ではなく花芽ということになります。

剪定時期について

花付きをよくするうえで剪定時期はとても重要です。6月の段階で芽を十分育てるためには、芽が育つ時間を十分確保しなければなりません。

少しでも花付きをよくしたいならば花が終わり始めたくらいで剪定を始めたほうがいいでしょう。一般的には花が落ちてから剪定されますが、枝の成長のためには早ければ早いほどいいです。私は7~8割花が終えたら切ってしまうのがいいと思います。

剪定や刈込の程度について


刈り込み具合には程度があります。ツツジの性質と絡めてお伝えします。写真手前の植え込みは右から無処理区(手を加えない)、強刈込区(葉がなくなるまで刈込)、弱刈込区(葉だけ刈込)としています。刈込期は5月11日で、かなり遅い時期です。

こちらは11月時点で、左から無処理、強刈込、弱刈込区です。黄色いものが花芽です。狭い範囲なので参考程度ですが、花付きは無処理>弱刈込>強刈込です。弱刈込は花付きはいいですが、後ほど述べる欠点があります。
強刈込区は上で述べたように刈込時期が遅く、芽の成長が6月の花芽分化に間に合わなかったものと思われます。

芽の成長時間とはこのように非常に重要なのです。

以上を踏まえるとこうした葉の割合が多いツツジに対して、昨年の剪定時期が遅いといった仮説を立てることができます。
葉の割合が多い場合には1つ参考にしてみてください。

でもツツジの花が咲かない!

ツツジ管理を長年続けていると、剪定時期は正しいのにツツジの花が咲かなくなるという現象が出始めます。
これに関して得られた情報を提供します。

写真はサツキなのですが、葉の細かさに目が向きます。ハサミで枝を持ち上げていますが、枝と葉が異常な密度で重なっているのです。(車枝という悪い状態)
これは刈込だけを行っていると起きる現象で、重要な問題点です

枝は1本切ると新しい枝が無数に生えてきます。刈込を行い続けると1本が翌年には5本に。翌年は25本に。さらに翌年には125本に増え、やがて写真のように面状に覆いつくします。

密集した車枝は葉芽になる傾向が高いです。

お庭の咲かないツツジ、こんな感じにぎゅうぎゅうではありませんか?

野菜の摘心(芽を摘み栄養を偏らせる)を思い出してほしいのですが、花芽を作るのには栄養が必要ですね。栄養が分散すると花がつかなくなってしまうのです。刈込だけをしていた方は一度剪定ばさみで手を入れてあげましょう。

刈込だけのうっそうとした雰囲気から剪定ばさみですっきりと。こんなバッサリでも花8割の終わり時に手を入れれば花芽が付きます。
こうして透いてあげることで日が当たり、上面だけでなく上から下まで花芽をつけた美しいツツジに戻ります。
(翌年の花を期待する場合は花後直後に限る)

ツツジの天敵ベニモンアオリンガ

上で述べたようにツツジは枝先の部分に花芽をつけます。

左は正常な花芽。可愛いです。一方右は先端だけ枯れています。このような症状はベニモンアオリンガという蛾の幼虫の仕業です!

非常に小さい幼虫なのですが、ツツジの新芽部分を食べるという悪魔のような生態を持ちます。(柔らかくて美味しい)

剪定部分で述べたように7月以降に先端の花芽を食べられたツツジは、花芽ではなく葉芽をつけます。そして被害を受けた枝からは複数の枝が出るため、そこで被害を見分けられます。

写真では枝先が分岐しています。

これだけでベニモンアオリンガの食害を受けたことが分かります。こうした被害を見つけたら花を守るためにオルトランなどの浸透性の農薬を使うといいでしょう。園内では使っていませんが、この蛾の有無が花付きを左右するというくらい影響の大きい虫です。
枝先の分岐と先端の枯れを見逃さないよう注意です。ベニモンアオリンガは6月から被害が目立ち始め、11月中旬まで世代を繰り返しながら継続的に発生します。

(幼虫が穿孔した穴の様子)

刈込や剪定時期のミスと違い、じわじわとお世話していた芽を食われるため、非常に手ごわい相手です。
そのうえまともな対処法は農薬を撒く位しかありません。ツツジ管理をするうえで最も強敵となるのはベニモンアオリンガでしょう。本当に彼らとの戦いだと実感しています。

ツツジの美しい花を見るにはマメな管理が必要です。

剪定時期や方法、病気や肥料などほかにも花に関する問題となる部分はありますが、おおよそ問題となりそうな部分を紹介しました。花が咲かずに困っている方への参考になれば幸いです。