あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

大輪の白いツツジ、ヒラドツツジと花で踊る足の長いクモ。

大型のツツジが見頃を迎えています。

小型のツツジは終わり始めていますが、大輪のツツジがいい頃合いです。

園内では郷土資料館付近で見られるヒラドツツジが美しく咲いおり、なかなか見ごたえがあります。

ヒラドツツジは街中でもよく見かけるオオムラサキツツジなどと同じヒラド系と呼ばれるツツジのカテゴリーです。

手のひらほどはある大きく見事なお花を咲かせます。

ヒラド系では白~濃赤までいろいろな色がありますが、園内で目立つのは写真の白ベースにピンクの斑点があるものです。この色合いは太陽光に透かしてみるととても美しいんです。

ピンク色の場所にもしっかりと意味があります。こちらはネクターガイドと呼ばれており、虫たちに蜜のありかを知らせる上で重要な役割を持っています。 

虫は紫外線が見えるため、ツツジの花の中でもこのまだら模様の部分がよく反射するように見えているんですね。

蜜のありかに待ち受ける生き物


植物が虫たちにお知らせしているこのまだら模様を活用する生き物がいます。

それが捕食者のクモたちです。中でも腕が長いクモがよく見られます。

今にもとびかかろうとしているこちらのクモ。私に対して威嚇してきています。
 
ネクターガイドの上で待ち伏せをしています。

獲物がやってきて花の中に顔を突っ込むと上から奇襲を仕掛けるのでしょうか。

この手のクモは皆様がイメージするクモのように巣を張ることはなく、長い手を使って獲物に抱き着くようにして捉えます。
獲物を素早くとらえるために毒を持つものがいるため、注意が必要なものもいます。

尾をあげて何をしているのでしょうか? 

この時、クモは1本の糸を出していました。出した糸が風に乗ってどこかにたどり着くとその糸に自身が乗ってワープするかのように大きな距離を移動するのです。 

皆様も夏の夕方などに道の上でなぜかクモの糸にかかった経験がありませんか?
あれがクモの移動時に出した道糸です。

園内ではこの時期にツツジを中心に様々な虫たちが見られます。 昆虫採取に挑戦してみるのもおススメですよ。
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ツツジの情報はこちら。

花期の短い白いお花ウワミズザクラ

4月の僅かな間だけ咲く花

この時期にあいかわ公園を歩いていると、非常に面白い形の花が見られます。ソメイヨシノなどが散った後に現れるウワミズザクラと言う植物です。

園内ではパークセンター付近、森のわたり橋付近、風の丘に登る途中などで見られ、風の丘のエリアでは丁度見頃を迎えています。

実はここの植物が何なのか分からなかったのですが、特殊なお花の形を見てウワミズザクラであると判明しました。
見ての通りきりたんぽのような美味しそうな花をつけます。

ウワミズザクラはソメイヨシノたちとは同じバラ科なのですが、この違いからちょっと違う種類に分類されます。

果物でおなじみのサクランボなどはいわゆるソメイヨシノ型の花からできます。

きりたんぽ状の花が果物になると、小さな赤や黒の実が同じように付きます。

これが食べられるらしく、野生動物には人気とのうわさがあります。

細かな花を拡大してみてみよう

きりたんぽの印象が強いお花なのですが、拡大してみると1つ1つ小さなお花が集合しています。ソメイヨシノとは大きく形は違うものの、花びらの枚数などの特徴はバラ科に該当します。

良く眺めてみると白い5枚の花びらからなる花であることが分かります。同じく春に咲くバラ科の植物ユキヤナギと比べてみましょう。

ウワミズザクラほどの繊細な感じはありませんが、プチ桜のような雰囲気ですよね。
花の雰囲気こそ違えどバラ科なのです。

ウワミズザクラは花期が非常に短くあっという間に散ってしまいます。身の回りで見かけることもある植物なので探してみてください。

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あいかわ公園のつつじ開花状況

現在のツツジ状況は?

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気温差も激しく開花が進んでいなかったツツジたち。つい最近小型のツツジたちが咲き始めたようです。

最も綺麗なのはハルイチバンでしょうか。

噴水広場や風の丘に登る途中に見られます。シャクナゲとの交配種なので頂点から多数の花をつけ、花の枝も低い所高い所問わず多数出るため立体的な花付きが美しい種類です。
最もおススメです。

花の斜面では赤色の小型つつじ、チクシベニが咲き始めています。

園内でも赤色のツツジは多いのですが、このチクシベニの赤の濃さは最も濃いと言えます。

クルメツツジの仲間は写真のように小柄な種類です。今年はやや遅めの開花となっていますね。

こちらはオンツツジと言う赤~オレンジ系のツツジです。

一応日本にも自生している種類です。園内では咲くのに個体差があるようで、毎年長い間見ることができます。ミツバツツジのように葉を落とす種類なので上記のクルメツツジと比べると背丈は大きくなりがちです。その分立体的な姿が楽しめますね。

今年はもうほとんどおしまいですが淡いピンクのレジナも咲いていました。植えたばかりなので花付きがとてもよかったですね。

春先のミツバツツジは終わりを迎え、次は赤系のヤマツツジが見頃を迎えそうです。工芸工房村付近のヤマツツジが見やすい大きさなのでおすすめです。
こちらも日本の自然下にある植物で、優しい色合いをしていますね。

現状のツツジではハルイチバンとヤマツツジ辺りが見ごろと言えそうです。小型のクルメツツジ系はもう数日程で一気に咲きそうですね。
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ツツジなどのお花情報はこちら
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意外な季節に咲くモミジのお花。

紅葉でおなじみのモミジの花は?

モミジと言えば秋の紅葉がとても美しい植物ですよね。

モミジも樹木である以上お花を咲かせるのですが、その姿を見たことのある方はとても少ないと思われます。結構地味な花なんです。
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モミジのお花は早春のこの時期に花をつけます。

新緑の鮮やかな緑色と赤や白のお花が非常にマッチしています。

手のひら状の大きな葉に隠れてしまうので、この時期に花をつけることを知らないとまず出会えないのです。
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花が下に向いているのが分かりますか? 

下向きのお花は虫に花粉を運んでもらうことが多いお花です。

脚力のある虫に花にしがみついてもらい、もがくうちに花粉が付きます。モミジの仲間はハチの仲間やハナカミキリの仲間などがやってきやすいお花なんです。

モミジは♂と♀が分かれている木なので、この時期に探してみてください。

モミジの新芽も非常に綺麗

花をつけている葉もあればまだこれからの葉もあります。どの植物も新しい葉はとても美しいです。
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モミジの場合芽生えの時には赤の色素が強く、紅葉まではいかないものの木全体が赤みを帯びた緑色になります。この時期特有の色ですね。

芽の時には分かりにくいのですが、見ての通りYの字のように一カ所から綺麗に2つに分かれる性質があります。対生(たいせい)と言う生え方です。
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この美しさ。若葉ならではの柔らかそうな雰囲気が伝わるでしょうか。

茹でて食べたら非常に美味しそうです。 場所によっては新葉とともに花が出ているので探してみてくださいね。 

虫に興味のある方も良くチェックしてみてくださいね。

春に赤い実をつけるグミ、ナワシログミと果実を食べるヒヨドリ。

春に食べられるグミの仲間

春に実をつける果物は秋や冬前に花を咲かせ、翌春に向けて実を育てます。あいかわ公園で大量に生えているグミの仲間が赤く色づいてきましたよ。

こちらがナワシログミと言う実です。

赤く色づいてきてはいますがこれでもまだ硬く、香りもしていない状態です。

ナワシログミは食べられる実として知られていますから、是非とも美味しい果実を味わってみたいと思っています。

赤い実を食べる鳥たち

しかし人よりも味覚に敏感な鳥たちが的確に美味しい実を食べてしまっている様なのです。

犯人はこちら。街中でもお馴染みのヒヨドリです。

ナワシログミが生えている石小屋ダム方面ではうるさい位がさがさと言う音とピヨピヨいう声が響き渡っています。すごい量が潜んでいるようです。

歩いていると次々に飛び出してきて面白いです。

ここでたくさんなっているグミの実を見ていきましょう。

熟すと真っ赤になり、非常に柔らかくなります。

ところがあるグミは色が淡い赤かまだ緑の物しかありません。完熟しているものは1つもない状況なのです。

熟したものを的確に見分ける鳥の目、非常に素晴らしいです。 植物達も種子を散布してくれる者たちを分かっており、鳥に好んで食べてもらう実は赤いものがとても多いです。種を運んでもらうために甘い果実をつけているんですね。

一応今年も味わってみる


しかし鳥がそんなに夢中になる実も気になります。鳥たちを見ていると熟していない実でも食べているような雰囲気なんですよね。

赤めの実を齧ってみましょうかね?一応昨年は渋い経験をしています。

案の定ですがかじって1秒で中途半端に柔らかい果肉と強烈な渋みが襲ってきました。 これは口の中に入れておいてはいけない風味です。
熟したものを味わいたかったですが、こればかりは目利きの達人の鳥たちにかないませんね。

石小屋ダム方面で目につきますが、挑戦しないことをお勧めします。非常にキツイです。

桜の花の落ち方には2種類ある? 花がそのまま落ちる場合と花弁が落ちる場合の違い。

桜は散り際も美しい

満開の桜も散り始めの時期ですね。ひらひら散る桜の花びらもこの時期の醍醐味だと思います。時間の経過とともに花が散る場合はひらひらと優雅に散っていきます。

しかしひらひら以外にも花弁が落ちている場合があるんです。見かけて気になっていた方も多いのではないでしょうか。
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花の終わりと言った寂し気な雰囲気がありますよね。しかしこのお花よく見てください。サクラのお花が丸々とそのまま落ちています。この落ち方は不自然ではありませんか?

桜の花が落ちるときは花びらでしたよね? 

つまりこういった花の落とし方をする生き物がいるんです。一体誰でしょう。
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おっと。正しくはこちらの落ち方ですね。 同じじゃないかと思われるかもしれませんが、2枚の写真を比べると確実に違うポイントがあります。
花の数でしょうか? 落ち方でしょうか?比べてみてください。


答えはシンプルに 花の付け根の部分が切り取られている です。


桜の花を食いちぎる生き物は?

どんな生き物がこんなよくわからないことをするのでしょうか? ここでこの時期に現れる特徴的な生き物を見てみましょう。
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春の代表的な昆虫、ビロードツリアブです。長い口で器用に花の蜜を吸っていく可愛らしい昆虫ですね。

この時期のお花は細長いものが多く、蝶や大きめの鳥であれば長いストローや舌を利用して蜜を舐められます。
大きな鳥であればヒヨドリなどがそうですね。
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しかしスズメのような小型の鳥たちでは長い花の蜜を舐めることができません。そこで鳥たちは考えたわけです。
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蜜のたまっている場所を切り取って舐めてしまおう と。


桜からすれば実も付けられず美味しい所だけ取られてしまう悲しい結果になりますが、小鳥たちからすれば最もいい手段と言うわけですね。
可愛らしい小鳥たちが犯人とは意外です。

花が散る中でもこうした落ち方の違いに注目してみると、楽しみ方が1つ増えると思います。桜の木に鳥がいたら花に顔を突っ込むのか、ちぎるのか確かめてみると面白いですよ。

春と言えばくるくる巻いた可愛らしいゼンマイ。先に出るのは胞子葉。

春らしい芽生えが楽しい

春は芽生えの季節です。植物によって個性が現れるのですが、中でも楽しいのはシダ植物の仲間ですね。

特にゼンマイの芽生えはとても春らしいです。
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ゼンマイの群れですね。

肌寒いこの季節に合わせてか茶色いベールをかぶっています。ゼンマイは地中にある根からニョキニョキ生えてくるので、このように群生していることが珍しくありません。

また胞子で増えるので、増えやすい植物でもあります。

葉に♂♀がある?

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ゼンマイには♂と♀があります。胞子を飛ばす胞子葉(ほうしよう)と胞子を受け取る栄養葉(えいようよう)ですね。

胞子を飛ばす葉が先にでて、後ほど受け取る葉が出てきます。緑色のものが胞子葉ですね。周りを見れば胞子葉ばかりなのが分かります。
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胞子葉は非常にゴワゴワしています。丸まっていますが後ほど立ち上がり、大きく広がります。

ビビンバで食べるヒョロヒョロのヒモからは想像できない立派な姿ですよね。
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こちらはゼンマイを覆うベールです。
思ったよりしっかりとした布のような質感をしています。芽生えの時に一番ついていますが、立ち上がると自然に取れてなくなります。
綿菓子みたいな雰囲気で美味しそうです。ゼンマイの綿は食べられないものでしょうかね?

栄養葉も一応出てます

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胞子葉が賑わっている一方で、栄養葉は根元に出始めたばかりです。
こちらの葉が一般的にゼンマイの食材として取られる方ですね。 別物としか思えないくらいの見た目の差があります。

ですから胞子葉と栄養葉の違いを楽しんでみるといいと思います。

春らしいゼンマイは分かりやすい姿で生えていますので、ぜひ探してみてください。園内での採取は禁止されていますから取らないようにお願いしますね。

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