あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

あいかわ公園の植物、昆虫情報 5/24日

あいかわ公園の今をお届け。

初夏らしい雰囲気が漂い、昆虫も植物も賑わいを見せています。園内を回って見つけた昆虫、植物を紹介していきます。

パークセンターの壁にてチョウが羽化をしていました。

数日前にタテハチョウの仲間の幼虫が多数みられており、運よく蝶になる瞬間に遭遇することができました。

幼虫の世界は過酷で大人の蝶になれるのはほんのわずかな蝶のみなのです。

幼虫はとてもトゲトゲしています。

今年は合計10匹近くの幼虫を見ましたが、成虫になれたのはこの子だけのようです。

ヒオドシチョウは意外と見かけない美しい蝶なんですよ。

元気に育ってほしいものです。食草はエノキでパークセンターの近くにあります。

その他出会った昆虫達


花の斜面の薄暗いエリアにてヒカゲチョウがお休みしていました。樹液や糞などの汁を吸いに来ることが多い蝶で、薄暗い環境が好きな蝶です。

汗にも寄ってくるようで人の周りを飛び回ることもあります。翅には目玉模様があり、眼の位置をごまかすことで鳥に頭部の位置を錯覚させ、致命傷を避けることがあります。この子もボロボロですね。

翅を持たないキラキラの虫、ヒメツチハンミョウにもたまに遭遇します。翅が退化しており飛べませんが、強力な毒を分泌する防御手段を持つ昆虫です。

腹部がとても大きい虫を見つけたら触らないように注意しましょう。 ハナバチの仲間に寄生するという面白い生態を持つ昆虫です。

地面に耳を傾ければ枯葉を分ける音が聞こえることがあります。

青緑の綺麗なアオオサムシが地面を徘徊しているかもしれません。ミミズや死んだ生物を食べる森のお掃除やさんで、元気に活動してくれています。ヒメツチハンミョウと同じく飛ぶ翅を持ちません。

お花たちもずらりと紹介


昆虫たちに人気のウツギの仲間たちです。そろそろ終わりを迎えそうですね。小型のカミキリムシの仲間がよく来ています。

背丈の高い草たちの中でひっそりとニガナが花を咲かせていました。

薄暗い場所で見かけることが多いキク科の植物ですね。
キク科は春菊のように苦味を持ちます。ニガナも苦い菜と言うことですね。

こちらはキウイフルーツの原種サルナシと言う植物のお花です。

他の植物に絡みつくつる植物と言う種類で、本来だと木の高い所で見られることが多いお花です。園内では高い橋の上からちょうどいい高さで見ることができます。

初夏の園内では意識を向けると至る所に昆虫を見つけることができます。足元の自然に目を向けて歩いてみてください。

芝生で絨毯のように生える白い花、ニワゼキショウとラベンダー

** 白くて美しいニワゼキショウ

初夏の芝生を彩ってくれるのはこちらのニワゼキショウと言うお花です。

非常に小さな植物なのですが、生えている数が非常に多いことから芝生を白に染め上げてくれます。

繊細な感じがとてもいい花ですね。

芝生に目を凝らしてみるとたくさんのお花が生えていることに気が付けるはずです。

中には黄色いお花や紫色のお花が混じっています。彼らは皆日当たりのいい開けた環境が好きな植物達です。黄色いこちらはカタバミです。

ニワゼキショウはほとんどがシロバナなのですが、ぽつりぽつりと紫色のお花が混じっています。

種類が違うわけではなくて同じ種類なのにはちょっと驚いてしまいますね。

同じ株からは同じ色が出るのか不明ですが、紫のお花が見つかるとまとまって生えているようです。

園内ではそこかしこで見られるので探してみるのがおススメですよ。


パークセンター付近ではラベンダーがいい頃合いです。

ご存じの方も多いかもしれませんが蜂たちに大人気の植物です。

多数の毒々しい色を持つ植物と言うのはあまり多くはありません。

なので花壇付近ではひときわ目立つ存在ですね。

特にハナバチの仲間がやってきており、足に花粉団子をつけている場面によく遭遇します。

ミツバチっぽい昆虫がいたので撮影してみました。

翅を見事に開いたタイミングだったので、枚数が数えられますね。

2枚の羽を持っているのでハチではなくハナアブの仲間だったようです。
ハチは4枚、アブは2枚の翅を持つことは有名ですね。

花粉は彼ら自身の食事としてはもちろん、子供たちへの食事にもなるので集めやすいこの時期には必死になって集めているんでしょうね。

あいかわ公園では色々なお花が観察できるので、興味のある方はお散歩しに来てみてはいかがでしょうか?

ハクウンボクの真っ白な花と花に集まるエゴシギゾウムシやハナカミキリなどの甲虫たち。

昆虫たちにも大人気の真っ白いお花

ハクウンボクと言う植物を知っていますか?名の通り白い雲が流れるような美しく豪勢な花をつけます。

街中でも目にするエゴノキと同じ仲間の植物です。こういった花を木全体に付け、花からはやや臭いような香りを放ちます。

花が下を向いていますね。これは足の強い昆虫に花粉を運んでもらう植物の戦略です。花期が短い植物なので恐らく今週末までが見頃でしょう。
限られた時期の虫取りチャンスです。

虫がうじゃうじゃハクウンボク


日当たりのいい場所のお花でも、ぱっと見昆虫たちはいなさそうに見えます。

しかし、花の中や葉の上までくまなく探すと次々に昆虫が見つかります。

早速蕾に来ていたゾウムシの仲間を発見しました。

黒と灰色のマーブル模様でエゴノキ科に来るゾウムシはエゴシギゾウムシです。

この時期では面白いほど簡単に見つかるおススメの種類です。

花から葉までそこら中にいます。

動物の象の鼻をモチーフに名づけられたゾウムシですが、シギゾウムシの仲間たちは特に象らしい長い口を持ちます。
鳥の中にシギの仲間と言う口が長い種類がおり、シギゾウムシは鳥と象から名前をもらっているわけですね。

この口で花の後にできる丸い実に穴をあけて産卵します。 可愛らしいですね。 

光沢のある虫も発見!

同じく花や葉の上には緑色の光沢を放つ昆虫が結構見つかります。

どうやらアオハムシダマシと言う昆虫のようで、光沢を持つものがいるゴミムシダマシの仲間のようです。

ざらざら感のある肌とぎらぎらの光沢でとても印象的です。印象としては超小型タマムシのような雰囲気ですね。

網で下から花を叩くと上記の甲虫たちには簡単に出会えます。

ハクウンボクを見つつクロアゲハも探そう。


素敵なことにハクウンボクの隣にはツツジが植えられています。日の当たる時間帯であれば多数のアゲハチョウが勝手にやってきます。
白い花で甲虫探しをしつつチョウ類も狙える絶好の昆虫観察スポットです。

ここには稀にウスバシロチョウと言うこの時期にだけしか現れないアゲハの仲間がやってきます。
翅が透けるような美しい蝶なのでぜひ探してみて欲しいですね。 虫探しがとても楽しい時期が来ましたね。

aikawa-park-mushizukan.hatenablog.com
合せて花図鑑も更新
aikawa-park-sanyasou.hatenablog.jp

輝くカラスアゲハやクロアゲハの仲間は赤系のツツジで待ち伏せして捕まえよう!

身近だけどなかなか捕まえられないアゲハチョウ

アゲハチョウの仲間と言うのは非常に飛ぶ速度が速く、見かけてもなかなか捕まえることができない難しい蝶です。

こちらは特に人気の高いカラスアゲハの春型です。青と緑、そして青の光沢が驚くほどきれいです。

人気も高い種類ですが、見かける機会すらない という方も多いはずです。そんな方にいいお知らせです。 

この時期のあいかわ公園ではアゲハの仲間が格別に見つけやすい時期なのです。

アゲハチョウを探す方法を伝授


ツツジで有名なあいかわ公園。5月頃に咲くオオムラサキツツジのような赤系の花にアゲハチョウは寄ってきます。


皆様が普段する虫取りと異なる点は花の近くで蝶がやってくるのを待つ という点です。待ち伏せ型の虫取りですね。

花の多い場所ならではの作戦です。オオムラサキツツジが咲いているわずかな間だけボーナスチャンスのように次々とアゲハチョウがやってきます。

噂をすればやってきましたよ。主に黒系のアゲハチョウがやってきます。


飛んでいると姿が分からない場合が多いので、追いかけて頑張って捕まえましょう。

園内ではクロアゲハ、ジャコウアゲハ、ナガサキアゲハ、モンキアゲハ、オナガアゲハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハと言った黒系のアゲハがいます。この子は誰でしょうか?

翅に光沢はありませんね。カラスアゲハ系ではないです。クロ、ジャコウ、オナガのどれかですね。

この日はクロアゲハ、カラスアゲハ、オナガアゲハが来ていました。エリアで立っているだけで最大3匹ものアゲハが来ましたよ。

横から撮影したところ翅の突起が非常に長いことが分かりました。この子は恐らくオナガアゲハですね。

尾が長いのでオナガアゲハと言います。

オナガアゲハはやや数が少ない種類で、最もよく来るアゲハはカラスアゲハなんです。 


一年で最も簡単にカラスアゲハに出会えるチャンスですから、興味のある方はオオムラサキツツジを中心に探してみましょう。



花を訪れる可愛らしいハナバチの仲間 ニッポンヒゲナガハナバチ。花に来るハチはミツバチだけではありません。

ツツジの花は昆虫観察のベストスポット

大型のヒラドツツジで賑わい始めたあいかわ公園ですが、ツツジ付近を歩いていると大きな羽音にびっくりしてしまいます。花にやってくるハナバチの仲間たちが花粉を求めてやってきています。

特に可愛らしいニッポンヒゲナガハナバチに注目してみましょう。どうです?可愛いでしょう?

ハナバチの仲間はハチですから刺激したりすると刺し返してくる可能性があります。

しかし服の中に入るなど事故が無ければまず刺されません。

正面から見比べるとミツバチに見えるかもしれませんが全体を見ると結構違います。 

どうでしょうか? ミツバチにしか見えませんか? 

であればハチの頭部にある触覚に注目してみましょう。この子は♀なので短いですが、それでもミツバチよりずっと長い触覚を持っています。

♂の場合さらに長く、名の由来の通りヒゲナガです。ミツバチよりもやや大きく、丸っこいため姿を捕らえられれば見分けられるはずです。

ニッポンヒゲナガハナバチは非常にマイペースな虫で、日向ぼっこをしているのか花や枝に止まってボケっとしていることがあります。

眺めていると写真のようにお手入れを始めたりもします。人間ぽいしぐさが現れると親近感がわきますよね。

ハチと植物

ハチは一般的には嫌われ者の印象が強いかもしれません。例の如く人への被害が多いスズメバチアシナガバチの影響ですね。

皆様から恐れられるスズメバチも実際には幼虫などの昆虫類を捕食し、抑制する重要な虫です。

ではハナバチの仲間はどうでしょうか? 彼らもかなり重要な存在です。

花の中には昆虫や鳥に花粉の運搬を頼っているものがかなりいます。

モミジの下向きの花は花にしがみつける虫に運搬を頼むための技です。その他にもこの時期に目立つイチゴの仲間の花などを始め、多くの果物などの受粉に貢献しています。

こちらのニガイチゴはイチゴの仲間ですが、花粉を運搬してくれるものがいなければ美味しい実をつけることができません。

実がなくなれば園内のサルやアナグマと言った動物たちの餌の減少になりますし、甘い果汁を吸いに来る蝶などの生き物へも影響が出ます。 こうして考えるだけでも農業~生態系に大きく貢献してくれることが分かりますね。

蜜と花粉を得るハチと花粉を運んでもらう植物の関係


ハナバチの仲間は蜜を舐めたり幼虫のお世話のために花粉でお団子を作り持ち帰ったりします。

植物の多くは花の根元部分に蜜を貯めるので、根元まで入るか長い口を持つ必要があります。ニッポンヒゲナガハナバチは非常に長い口を持つようです。
分かるでしょうか?

私も最初理解できなかったのですが、セミを思い出すかのような非常に長い口を持っているようです。

今回はそのお手入れをしている場面に出くわすことができました。見たところ固そうな口の先からはブラシのようなものが出るのでしょうか? 甲虫のように蜜を舐めやすい形になっているのかもしれませんね。

ハナバチの仲間は農薬や薬剤の影響で数を減らしている種類です。ゆっくり観察しやすい虫なので遠目から癒されてみてはいかがでしょうか?
もちろんミツバチも同じ仲間なのでこの機会に観察してみてください。

大輪の白いツツジ、ヒラドツツジと花で踊る足の長いクモ。

大型のツツジが見頃を迎えています。

小型のツツジは終わり始めていますが、大輪のツツジがいい頃合いです。

園内では郷土資料館付近で見られるヒラドツツジが美しく咲いおり、なかなか見ごたえがあります。

ヒラドツツジは街中でもよく見かけるオオムラサキツツジなどと同じヒラド系と呼ばれるツツジのカテゴリーです。

手のひらほどはある大きく見事なお花を咲かせます。

ヒラド系では白~濃赤までいろいろな色がありますが、園内で目立つのは写真の白ベースにピンクの斑点があるものです。この色合いは太陽光に透かしてみるととても美しいんです。

ピンク色の場所にもしっかりと意味があります。こちらはネクターガイドと呼ばれており、虫たちに蜜のありかを知らせる上で重要な役割を持っています。 

虫は紫外線が見えるため、ツツジの花の中でもこのまだら模様の部分がよく反射するように見えているんですね。

蜜のありかに待ち受ける生き物


植物が虫たちにお知らせしているこのまだら模様を活用する生き物がいます。

それが捕食者のクモたちです。中でも腕が長いクモがよく見られます。

今にもとびかかろうとしているこちらのクモ。私に対して威嚇してきています。
 
ネクターガイドの上で待ち伏せをしています。

獲物がやってきて花の中に顔を突っ込むと上から奇襲を仕掛けるのでしょうか。

この手のクモは皆様がイメージするクモのように巣を張ることはなく、長い手を使って獲物に抱き着くようにして捉えます。
獲物を素早くとらえるために毒を持つものがいるため、注意が必要なものもいます。

尾をあげて何をしているのでしょうか? 

この時、クモは1本の糸を出していました。出した糸が風に乗ってどこかにたどり着くとその糸に自身が乗ってワープするかのように大きな距離を移動するのです。 

皆様も夏の夕方などに道の上でなぜかクモの糸にかかった経験がありませんか?
あれがクモの移動時に出した道糸です。

園内ではこの時期にツツジを中心に様々な虫たちが見られます。 昆虫採取に挑戦してみるのもおススメですよ。
aikawa-park-tutujizukan.hatenablog.jp
ツツジの情報はこちら。

花期の短い白いお花ウワミズザクラ

4月の僅かな間だけ咲く花

この時期にあいかわ公園を歩いていると、非常に面白い形の花が見られます。ソメイヨシノなどが散った後に現れるウワミズザクラと言う植物です。

園内ではパークセンター付近、森のわたり橋付近、風の丘に登る途中などで見られ、風の丘のエリアでは丁度見頃を迎えています。

実はここの植物が何なのか分からなかったのですが、特殊なお花の形を見てウワミズザクラであると判明しました。
見ての通りきりたんぽのような美味しそうな花をつけます。

ウワミズザクラはソメイヨシノたちとは同じバラ科なのですが、この違いからちょっと違う種類に分類されます。

果物でおなじみのサクランボなどはいわゆるソメイヨシノ型の花からできます。

きりたんぽ状の花が果物になると、小さな赤や黒の実が同じように付きます。

これが食べられるらしく、野生動物には人気とのうわさがあります。

細かな花を拡大してみてみよう

きりたんぽの印象が強いお花なのですが、拡大してみると1つ1つ小さなお花が集合しています。ソメイヨシノとは大きく形は違うものの、花びらの枚数などの特徴はバラ科に該当します。

良く眺めてみると白い5枚の花びらからなる花であることが分かります。同じく春に咲くバラ科の植物ユキヤナギと比べてみましょう。

ウワミズザクラほどの繊細な感じはありませんが、プチ桜のような雰囲気ですよね。
花の雰囲気こそ違えどバラ科なのです。

ウワミズザクラは花期が非常に短くあっという間に散ってしまいます。身の回りで見かけることもある植物なので探してみてください。

aikawa-park-tutujizukan.hatenablog.jp