あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

日陰が好き?日向が好き?

自然は実に面白くできているなぁと感じることがよく見られます。2つの写真のうち、大きな違いがあるのですがわかるでしょうか?

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自然を使った間違い探しクイズです。
木をよーく確認してみてくださいね。

正解は木に生えている苔です。ではなぜ同じ1本の木に苔の生えている面と生えていない面があるのでしょうか? その答えも写真に乗っています。実は太陽の向きが重要なのです。左側の写真は木の影が奥側に伸びています。一方で右側の写真は影が手前に伸びています。つまり左の写真は日当たりが良い面であることが分かります。
苔は皆様恐らくご存じの通り、水分を多く必要とする植物です。なので日当たりがいい所では成長することができないのですね。木の裏側の苔が生えている範囲にはその苔と仲良くしている植物たちの世界を見ることもできます。ふれあい広場では、そんな植物同士の関係をたくさん見ることができます。
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苔と仲良しのノキシノブ。このようにものにくっついて生活する植物はお友達なのです。苔を遠目で見たことはあってもじっくり見たことはない方も多いのではないでしょうか?
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身近な苔もドアップで撮ってみると1種1種形が違うことがよく分かると思います。最近では、苔を丸状に固める苔玉盆栽や水陸両用のテラリウムなどでも幅広く使われており、マニア人気も高い植物なんです。
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繊細な造形ですね。苔にはほとんど詳しくないので種類は分かりませんが、比較しながら見てみるとなんか違う!という点が分かると思います。
苔は身近にもたくさん生えていますのでじっくり観察してみてくださいね。

身近な植物 カキドオシ

あいかわ公園で見ることのできる身近にあふれる植物の魅力を発信していくテーマ それが身近な植物を見てみようです。
本日紹介するのはふれあい広場の奥側などの半日陰の場所でならどこでも見つけることのできるこの植物です。

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地味なことこの上ない植物
写真の植物は、垣根を通すように地面を這っていく様から名付けられたカキドオシという植物です。皆様が口にしたことのある大葉がお友達です。
大葉と言えばお刺身やハンバーグなどの付け合わせで匂い消しとして使われたり、味をさっぱりさせる目的で使われますが、このシソの仲間は大葉と同じく強い香りを持つものが多いです。その香りの強さを生かしてそのまま天日に干してお茶にすることで、カキドオシの強い香りをそのまま楽しめるお茶を作ることもできます。道の駅などでは干されたものがお茶として売っていたりしますよ。
香草としても使われるので癖や臭みの強い料理に合わせて料理をする方法もあるみたいです。個人的には香りが強すぎるので料理にはあまり使いたくないです。f:id:aikawa_park:20190312150456j:plain
カキドオシの花はつい最近ふれあい広場の奥で咲いているのを確認しました。このような花をつけます。
シソ科の花はこれまでにもいくつか出てきましたが、同じシソ科のカキドオシの花は彼らと比べるとどうでしょうか?
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公園でよく見かけるホトケノザと比べてみると花の高さが全然違うように見えますが、花の構造という点で見てみるととても似ているのです。
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よーくみてみるとどちらとも花の下側がベロっとでて、なにやら紫の濃い斑点が付いているのが見えると思います。これが虫に対してここにお花があるよ!おいしい蜜があるよ!とアピールしているわけです。虫を模様で誘惑して花の内側に誘い込むわけですね。
花の見た目は大きく違ってもその花の使い方は非常に似ていることが分かったのではないでしょうか。
シソ科はこの舌のように見える花弁こと舌状花(ぜつじょうか)が目立ちます。 舌状花を意識してあいかわ公園での花の観察を楽しんでみてください!

花か実か?かっこいい名前を持つヤシャブシ

突然ですが、お好きな花の形をイメージしてみてください。皆様はいったいどのような花を思い浮かべたでしょうか?
サクラやウメのように5枚の花弁を思い浮かべた方や、このブログでおなじみのシソ科やミツマタのような面白い形の花を思い浮かべた方もいるかもしれません。今日紹介するのは一見すると花には見えず、これはいったい何か?と疑問に思ってしまうような花です。皆様の花のイメージと照らし合わせてみてください。
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あいかわ公園の冒険広場には、数本のヤシャブシという強そうな名前の植物が植えてあります。今の季節には独特な形をした花をつけ、ぼこぼこしたような不思議な木の形をしています。写真は雄しべの役割をもつ花です。
ところで皆様はおしべ、めしべ以外にも雄花、雌花という表現があるのをご存じですか?
1つの花にはおしべとめしべがあるというイメージを持っている方も多いと思います。(両性花と呼ぶ)春に咲くサクラは身近で分かりやすいですね。

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クサイチゴはサクラと同じバラ科
イメージしやすいように別の花の例を置いておきます。たくさん飛び出ている先の丸い線のものがおしべで、それより中央の白い部分がめしべの両性花。

一方で雄花というのはおしべだけの花のことを言い,雌花というのはめしべだけを持つものをいいます。(雌雄異花)
雄花雌花と言われてもピンっとこない方も多いのではないでしょうか? 実は身近に雄花雌花で分かれている植物があります。
秋に異臭を放つ銀杏が落ちている木と落ちていない木があることに疑問を持ったことはないでしょうか? 銀杏は身近な雄と雌が木毎に分かれている例なのです。実をつけるのは雌株だけです。
このヤシャブシは銀杏とは厳密には違っています。銀杏が1本の木で雄雌分かれているのに対してヤシャブシは1本の木に雄花と雌花を別々につける面白い植物なのです。(多くは雄雌が一緒の花をたくさんつける)

ヤシャブシには種類がいくつかあるのですが、私も調べてみたところ花の並び順で種類が特定できるそうです。
写真の大きな花が雄花なのですが、これが先端に付くものはヤシャブシだそうです。小型の雌花が先に付けばオオバヤシャブシ
このように見てみるとまた自然観察が楽しくなりそうですね。
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雄花の後ろ側に小さな雌花がついています。(写真左上の小さな芽のようなもの)
ちなみにですがヤシャブシは松ぼっくりのような実をつけます。これには水を弱い酸性に傾ける性質があり、アクアリウム(熱帯魚飼育)を行っている人々に人気があるのです。ショップで販売されていたりもします。身近な植物が意外なところで使われていたりすると驚いてしまいますね。

葉や芽に付く変なもの その2

あいかわ公園の植物に見られる奇妙な形の虫こぶを紹介していきます。
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お餅のように膨らんだ形が特徴的なこの虫こぶは、芽に作られるものです。あいかわ公園の花の斜面付近のイヌシデという木で見ることができます。
これも先日のアカシデメムレマツカサフシと同様に、フシダニの仲間がイヌシデの木に作ります。なぜか先端の芽に付くことが多いようで、あいかわ公園ではほとんどが先端についています。
冬場にイヌシデやアカシデ、クマシデなどの似た仲間を見分ける際には、虫こぶを参考にしてみるのも1つの手かもしれません。
名前は、イヌシデの芽を膨らませる枝 からイヌシデメフクレフシと呼ばれます。できたばかりで、中にはまだフシダニの仲間が入っているのです。
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これまで木の虫こぶばかり紹介してきましたが、芽以外にも葉の上に作られる虫こぶもたくさんあります。
今の季節に見やすいものは写真のクサイチゴハケフシではないかと思われる虫こぶです。見た目が病気のように見えてしまうので、ぱっと見では触れたくないような気持になりますね。これよりももっと凸凹してきます。
これもダニの仕業によってつくられる虫こぶです。あいかわ公園の森のわたり橋近くで見ることができますので探してみてください。
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ちなみにクサイチゴは春の5月頃に食べられる実をつけます。 キイチゴや野イチゴなどと呼ばれ、ジャムやシロップで食べられる人気の食材です。
虫こぶを目安に探してあたりをつけておくと、実の季節に簡単に採取できるかもしれませんね。

新緑のはじまり

あいかわ公園を歩いていると、ふと見慣れない緑色が増えていることに気が付きました。
なんとふれあい広場のコナラの木の冬芽が展開していたのです!
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大きな木なので高さがあり、近くを撮ることができませんでしたが新緑が伝われば幸いです。
コナラの新しい葉は白っぽい毛におおわれているので、白と緑を混ぜたような独特な色合いになります。まるで絵にかいたような雰囲気で綺麗ですね。
しかし、なぜこの1本だけがこんなに葉っぱを広げ始めたのでしょうか?不思議です。

ふれあい広場の端っこに植えられているアジサイも同じく葉を展開し始めました。f:id:aikawa_park:20200305111113j:plain
いかにも柔らかくておいしそうな葉ですが、アジサイの葉は有毒なので食べてはいけません。山菜の時期にいろいろと手を出そうとしている方は要注意ですね。

このような緑が増えてきた影響かは分かりませんが、地面をピョンピョンと跳ねる昆虫も見かける機会が増えています。
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この角ばった体はヒシバッタの仲間でしょう。大きなバッタが出てくる季節はまだまだ先ですが、公園内を歩いているだけでも季節の移り変わりを強く感じることができます。あいかわ公園で自然を感じながらのお散歩をしに来てみてはいかがでしょうか!

葉や芽につく変なもの その1

公園を歩いていると、葉の落ちた木々に変なものが付いているのを見かけることがあります。
そんなものを見つけたら近づいてみましょう!
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ふつうは冬芽が一つだけつくアカシデの冬芽がたくさんついているように見えます。この爆発したような不思議な形はいったい何でしょう?
皆様はキャンプをしたことがあるでしょうか。その時にテントを張ったことがある方もいるのではないかと思います。実はフシダニというダニの一種が、このアカシデの芽の中でテントを張っているのです。そして、変な形に変わっているのですね。 このような不思議なものを虫こぶと呼びます。
虫こぶはシンプルに名前が付けられることも多く、例えばこのアカシデにつく虫こぶは アカシデメムレマツカサフシと呼ばれます。
アカシデに付き、芽が群れ(芽がまとまってあるように見える)、マツカサ(松ぼっくり)のように見えるフシ(枝)という意味です。

あいかわ公園ではいくつかの虫こぶを見つけることができます。いくつか紹介します。
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カブトムシも大好きなクヌギの木の枝につく泡の塊のようなものを見つけたら、その付近を探してみましょう。枝と一緒に落ちている虫こぶを見つけられるかもしれません。この泡の中には丸いイガイガのドングリのようなお家が隠されています。見つけたら分解してみましょう。塊の中にたくさんのお家を見つけられるはずです。あいかわ公園では、森のわたり橋付近のクヌギの木にたくさんついていますので、探すならそこがおススメです。
この虫こぶはクヌギエダイガフシと呼ばれ、ダニではなくハチの仕業ということが分かっています。ハチも植物を利用するんですね。
ちなみに名前はクヌギのエダをイガイガさせているフシ(枝)このような意味をまとめたものです。

明日はあいかわ公園で他にも見つけることのできる一見不気味な虫こぶたちを紹介します。

甘い蜜と植物

甘い蜜を出す植物といえばメープルシロップで有名なカエデが有名でしょう。ですが、意外と身近なところにもそんな蜜を楽しめる植物が生えているのです。

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ホトケノザは細長く立ち上がる
そんな植物がこのホトケノザです。七草でもホトケノザがあげられますが、それはキク科のコオニタビラコのことを指しています。
暖かくなってきたこの時期にはおそらくどこでも見つけることができるこのホトケノザを見つけたら、花の根元から引っ張ってあげてください。
そうすれば、細長い花がとれるでしょう。そして根元の部分に口をつけて軽く吸ってみてください。量は少ないのですが、甘い蜜の味を楽しむことができると思いますよ。小さいころに赤いサルビアの花を吸っていたのを思い出す方も多いのではないでしょうか?

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樹液が出ている
木からも蜜が出ます。皆様ご存じの通りカブトムシやクワガタムシが大好きな樹液です。
花の斜面に生えているヤマボウシからは現在3箇所樹液が出ています。味はとても薄く、お腹が減っていればかろうじて甘みを感じられるかもしれません。
しかし、夏にはクワガタたちの甲虫の仲間が集まってきます。クヌギコナラしか探していない人では見つけられない穴場スポットなんです。

しかし、なぜ樹液が出ているんでしょうか。写真をよく見るとおがくずのようなものが出ているのが分かると思います。つまり内側から何者かが木くずを出しているのです。
このようなことをするのはきっとカミキリムシの幼虫でしょう。木の内側に入り込んでしまうので非常に厄介です。しかし、それと同時に他の虫たちのえさ場を作ってくれているわけですね。