あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

ツバキの花には何がある?

先日の記事でヤブツバキサザンカを見比べてみました。その結果、花の落ち方が違うということが分かりましたね。ツバキの場合花が綺麗にそのまま落ちてくれるので、花の観察をじっくりすることができます。
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昨日落ちていたヤブツバキの花です。落ちて時間は立っていそうですが、比較的綺麗ですね。このような綺麗に落ちている花を見つけたらせっかくなので有効活用していきましょう。と言うわけで早速分解していきます。
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落ちたばかりの花であればこの部分にとある不思議があるはずなのです。
木に付いているときにはこの部分はふさがってしまっているんです。なぜだと思いますか? ここが開いてしまっていると植物の戦略的にもよろしくないんですね。
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大ヒントがこちら。この後ろの部分をせっせと舐めるアリさんがいました。きっともうお分かりですよね。ツバキの花はこの後ろの部分に甘い蜜を貯めるんです。これは人間が舐めても甘いと感じる程の甘さですから、虫たちや鳥たちにとってはご馳走でしょう。
では内側がどのようになっているか見てみます。

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パカッと割ってみると中身で驚くのが黄色い雄しべの数ですね。この仲間は根元でつながった雄しべを持ちます。イメージとしてはスーパーのエノキタケを想像してみてください。先ほど蜜の話をしましたが、蜜を舐めたい鳥たちは花が咲いている時期に根元からは舐められません。つまりこの大量の雄しべのある場所に正面から顔を突っ込まないとご褒美がもらえないんですね。蜜を舐めた鳥は満足し、また別の蜜を探しにツバキの花を探します。すると花粉だらけの顔をまた花に突っ込むので受粉できるというわけです。
鳥も夢中になる蜜とはいったいどんな感じなのでしょうか?
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角度を変えてみたもののなかなか写真で写すのは難しいですね。根元の部分をよく見るとはちみつのような光沢のある蜜がたくさん映っています。これが甘い蜜です。花を取って、写真左側の方から舐めてみると鳥たちのご馳走の味が楽しめるので、興味のある方は試してみてくださいね。
運が悪いとアリなどの虫がいるので、嫌な方は開いて舐めましょう。 ちなみにアリはギ酸を持つので酸っぱい味がします。ある意味ではアリ込みで野生の生き物が食べている味なのかもしれません笑。