あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

針葉樹の葉に注目 ヒノキ編

先日はモミと言う針葉樹の葉を見てみました。重要なポイントとして、葉先や付け根の部分が挙げられていましたね。
今日はヒノキ風呂で有名なヒノキの木を見てみましょう。結構スギと間違えている方も多いので注意です。

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まずこの時点で同じ針葉樹の仲間であっても姿かたちが全然違うことが分かりますね。ヒノキは何と言いますか、平面に伸びているような印象です。

ヒノキも香りに関してはとてもいいのですが、モミには劣るというのが個人的な印象ですね。街中にはこのヒノキが品種改良されたものがたくさん見られます。

少し辺りを見渡すだけでも恐らくこんな形をした葉をみつけることができるでしょう。
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街中の物に関しては種類が多すぎるので特定は諦めます。ここでは山で見られる似た針葉樹との違いを見ていきましょう。

その前に今は針葉樹の花粉シーズンなので葉の先に花粉を飛ばす準備ができていますね。
あいかわ公園の南山を中心とした、かつてスギヒノキ植栽が行われていたエリアでは山の色自体がこの茶色っぽい色に変わるという花粉症の方には恐怖の状況に変わっています。
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ヒノキの仲間の葉はモミの針状の物とは異なり、よく見てみると鱗のような姿をしています。

これは鱗状葉(りんじょうよう)と呼ばれ、この仲間に見られる面白い特徴です。艶があるのでピカピカしているような印象がありますね。

ヒノキに似た植物はサワラがあります。これも比較がないので申し訳ないのですが、鱗状葉の先のとがり具合が鋭いサワラと丸いヒノキと区別できます。
もう1つの面白いポイントは写真に写っている鱗の隙間を縫う白っぽい線模様です。
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この模様はアルファベットで表すと何に似ていると思いますか?


Y字に見えてはきませんか? これこそヒノキの特徴です。
先ほど話したサワラは葉先がとがるという話をしましたが、サワラの場合には裏側はXのような白線が入ります。

比較例がないのでこちらのイメージはしにくいと思いますが、ヒノキの葉裏に走るY線を覚えておくと何かに役立つかもしれません!
今年の花粉で、足元に落ちている葉を見つけた時にYの字が入っていたら、ヒノキか! と1つ納得してみてください。

針葉樹の葉に注目 モミ編

葉の形と言うのは普段生活していればまず気にすることはありませんよね。針葉樹と言う名前ですら聞く機会と言うのはないものです。

しかし、個別で見てみると花粉で厄介なスギ、温泉や木材などの香りで有名なヒノキにモミなど馴染み深い名前の物もあります。
針葉樹はなんとなくの雰囲気が似ているのでせっかくですからここで姿の違いを見てみましょう。
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モミは意外と身近な植物で、住んでいる周辺を見てみると恐らく植栽されているような木です。とにかく香りのいい木で、枝を写真のようにちぎるだけでもいい気分にさせてくれる匂いがします。

最近ではシャンプーやアロマセラピーなどでも見かけました。
所で針葉樹と言うものを知っていましたか?
名前の通り針のような葉を持ちます。モミの木は手には刺さりませんが鋭い種類だと普通に刺さるものもあるため、侮れません。

モミを見分けるのは意外と簡単です。
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葉っぱの先に注目してみましょう。何か気がつく点はありませんか?


葉先が2つに分かれていますね。これは分かりやすい特徴の1つと言えます。枯葉となっていても枝先の2又は残っているので問題なく分かります。

出は他にはどのようなポイントを見るといいのでしょうか?
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それは付け根の部分です。針葉樹の仲間の中で街中で見かけることのある種類としてトウヒの仲間があります。彼らとはここを見れば明確に区別することができます。

根元付近を見てみると、葉っぱがまるで吸盤のように張り付いているのが見えるかと思います。これこそモミの仲間に見られる特徴です。この点を覚えておけばモミの仲間の何か まで絞り込むことができます。

ちなみに見かけることの多い園芸用トウヒは、以前は公園に植えてあったのですが今日見たら伐採されていたため、比較ができません!

トウヒは付け根の部分がボコりと盛り上がるため全然違いますよ。興味のある方は トウヒ 基部 やトウヒ葉沈(ようちん)で調べてみてくださいね。

雨の後はぷにぷにのタマキクラゲを探してみよう。

久しぶりの雨が降り、水滴をまとった植物たちがなんだかうれしそうに見えます。そんななかで足元に落ちている枝を見てみると、この季節によく見られるあのキノコが枝に張り付いているのを発見しました。
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おおよそ一年ぶりの登場となるタマキクラゲですね。キクラゲの名前は中華料理で有名です。

こちらも一応食べることができるもののキクラゲに特有のあの食感はまるでなく、ゼラチン質のぶにょぶにょとした何とも言えない美味しくなさのみが味わえます。食べる価値はないと言えるでしょう。
しかし、触る分には話が別です。このゼリーのような質感はついついつつきたくなってしまうような癖になる感触があります。
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水分を完全に保っているときには彼らは丸い綺麗な球形をしています。少し乾燥してくるとレーズンのようなしわが入ってきて写真のような姿になります。

実はこれくらいの頃の質感が個人的には最高です。低反発枕のようにこちらのつつきを吸収するような感覚があるのです。
本当に癖になりますね。
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どのようにくっついているのか気になるので裏側ものぞいてみました。するとボタンの留めくちのように枝に張り付いているのが分かりました。

落ちている枝についていることからもわかるように彼らは既に枯れた木、もしくは枯れそうになっているような気に発生し、最後に木を分解してあげるのが役割なんですね。
なので木を下から見上げてもしこのぷにぷにを発見した場合、その枝は既に枯れている可能性が高いです。

触れてみるといがいとしっかりとくっついており、剥がすにはちょっと力を入れてあげないといけません。しかも剥がすと大抵この丸い体は壊れてしまいます。
皆様ももし発見したら剥がしてみてくださいね。
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大抵たくさんの数が付いているので今から春にかけての時期であれば見つけるのはそう難しくはありません。

集合体が苦手な人にはホラーな雰囲気に見えると思いますがそれ以外の方であれば楽しめる自然なので、外に出てクヌギやコナラ、桜が生えているような場所を歩いた時には足元の枝にも注目してみてください。

植物の皮「樹皮」を観察してみよう その2(クヌギ、コナラ、クスノキ)

植物を樹皮の目線で見比べてみています。今日は似たあの植物を比較してみましょう。
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皆さん大好きなカブトムシクワガタの木コナラです。

コナラとクヌギの名前は知っていても葉が分からない、樹皮の違いが分からないといった方は昨年の夏にイベントをやっていてかなりの方が抱えている悩みでした。

全てに当てはまることはないものの傾向はあります。
コナラに関しては樹皮が白いものが多いです。そして木に凸凹上の山ができるのですが、これがまばらに入る印象です。
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写真の通り山と谷の間が大きいですよね。これは感覚的なものもあるので見慣れる必要があります。 しかし慣れてくると遠目からでもあれはコナラ、こっちはクヌギと分かるようになってきます。
続いてはクヌギを見てみましょう。
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コナラじゃないか!と思った方はスクロールをしてその違いをじっくり探してみてください。
クヌギの傾向として樹皮は黒いものが多く、木にできる凸凹が細かいという印象があります。今回の写真でも凸凹の違いと言うのは分かりやすいのではないでしょうか?
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凸凹がかなりはっきりとしていますね。大木になっているとまた変わってくるのですが、公園に植えられているくらいのサイズであればこのポイントだけでも判断できると思います。

しかし、難しいのはこの2種類だけではありません。全く種類が違うのに似ている雰囲気の物もあるのです。
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一見するとこの凸凹具合はクヌギのように見えますね。ちょっと細かすぎるでしょうか?と言う疑問がわいたあなたは樹皮を見る感覚が磨かれてきていますね!

これはクスノキと言う香りのいい植物です。こうした似た植物がたくさんあるので一筋縄ではいきません。とはいえクスノキは冬場でも葉が付いているので別のポイントを見ることで簡単にわかりますよ。

皆様も樹皮を1つの見分けるポイントとして見る、次に葉を見比べる、その次は来ている生き物を見るなど複数のポイントから植物を見るようにしてみてください。知識がつながっていくととても戦略的に自然を楽しむことができますよ。

植物の皮「樹皮」の違いを観察してみよう その1(ケヤキ、ハナミズキ、サルスベリ)

日ごろ植物に目を向ける機会と言うものはあまりないものです。ましてや冬と言う葉が落ちているものが多い時期であればなおさらですよね。
今日はマイナーでありながらも個性が見られる木の皮を見て、植物の違いを見ていきましょう。
木が生えていればどこでも楽しめるのがいい所です。
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こちらはどこにでも生えているケヤキと言う木の皮です。木の皮の事を樹皮(じゅひ)と呼びます。

ケヤキは数10mもの大木になる木なので、幹も大変大きくなります。ものによってはぐるりと一周2mを超える巨大なものもあるのです。
樹皮は遠目から見るとつるつるに見えますが、近くで見てみると意外とざらついていることが分かりますね。
触れてみると紙やすりのように結構痛いです。


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一転してずいぶんとゴワゴワした樹皮をしていますね。これは何でしょうか?マツ?それともカブトムシの木ことクヌギでしょうか?



これは実はアメリカハナミズキと言う木です。花は街中を歩けば見かけるくらいにはなじみのある花ですが、視点を樹皮に移すと分かる人は少ないでしょう。

そもそもが樹皮、枝の広がり方、冬芽などの複数の要素を見て種類を判断するので難しいのは当たり前ですね。ここでは、普段見ない視点から植物を調べてみるということにポイントを置いています。
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ちなみに花はこんな感じです。ピンと来た方も多いことでしょう。マンションやアパートの植込みで見かけることも多いですよね。

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おや?この樹皮はずいぶんと特徴がありますね。すべすべしているようで何か木に登るのがうまい動物でも登れなさそうな雰囲気です。
いったいどんな名前の植物でしょうか?


こちらはサルスベリと言う植物の樹皮です。とても有名なのでこちらは分かった方も多いかと思います。サルスベリは花も有名ですが、その樹皮の由来の方が有名かもしれませんね。
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かなりのすべすべ感で、木を撫でていてもざらついたり紙やすりのようにゴワゴワしていません。心地よさまで覚えてしまいますね。

あいかわ公園にはサルが出ますが、実はサルスベリを登れないのかどうかは見たことがありません。運よくそんなタイミングに出くわしてみたいものですね。
明日も色々な樹皮を見てみましょう!。

赤、黄、緑のカラフルな色! 飾りのような面白い形をしたマンサク

あいかわ公園ではいよいよマンサクが咲き始めました。春と呼ぶには少し早すぎますが、1月下旬ごろからぽつりぽつりと咲き始める花で、梅の花と並んであいかわ公園では今の季節に咲いてくれる貴重な植物となります。

マンサクと言えば黄色の印象を持たれる方も多いかと思いますが、あいかわ公園には黄色の物ともう一種類の色があります。
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それがこちらの赤色です。私もマンサクは黄色の印象しかなかったのですが、いまではマンサクと言えば赤色と思ってしまうくらいにはなじんでしまっています。

やはり赤色のお花は背景を空色にしてあげると色が映えていいですね。
このブログをご覧の皆様の中にはマンサクと言う植物を見たことがないという方も多いのではないかと思います。花に力を入れているような場所でないとなかなか見ることはないかもしれませんね。

このお花にはタイトルの通り面白い花の形をしている特徴があります。見てみましょう。
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花と聞いて想像するような桜の形と比べてみると大分異なる形をしていますよね。

マンサクの花は面白いことに紙で作った飾りのような形をしているのです。
形こそ変わっていますが、このひも状の部分が花びらであり、写真の中の花の付け根を見てみると同じく根元の所に赤いガクがあるのが見えます。花びらは4枚ガクも4枚そしてここでは見にくいと思いますがおしべも4本あります。
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マンサクの花が咲く前はこんなに可愛い見た目をしています。

チョコなどに入っていたら美味しそうな見た目をしていますね。まるで指先のような形をした不思議な形の蕾なのですが、今の時期であれば開きかけの物も見ることができます。
これがまた美味しそうなんですよね。
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どうでしょうか?ベリー系の食材をキャラメルでコーティングしたような姿に見えませんかね?そう考えてくると枝の部分も美味しそうな色合いに見えてきますね。

マンサクはこのようにライバルが少ない時期に花を咲かせます。そしてその花は写真のようにひも状で結構広がるため、遠目から見ると木全体が装飾されているかのようでとても綺麗なのです。

きっと皆様の身近な所でも咲いているとは思うので、身の回りの木々に目を向けて旬の自然を味わってみてくださいね。

陸でアメンボに遭遇

アメンボと言えばだれもが知っている水の上にいる昆虫ですよね。

公園のじゃぶじゃぶ池には夏場などはたくさんのアメンボがやってきます。今の季節でも沢沿いなどの場所にはいるらしく、一度見かけたことがあります。

今回は何と、よくわからないのですが陸地にアメンボがいました。
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もはや冬の虫取りではおなじみとなったパークセンターの壁です。そこにアメンボがいました。しかしかなり弱っているようです。

恐らくこのまま乾燥して死んでしまうでしょう。間近で見る機会はあまりないので、せっかくですからその姿をじっくり見てみましょう。弱っていますが手にのせてみます。

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アメンボを乗せたのは人生で初めてです。

こう見るとかなり平べったいことが分かります。それから足の長さも違うんですね。足の先は少し曲がっており、ここに油の付いた毛が生えているので水の表面張力で浮かぶことができます。

油で浮いているので例えば洗剤などが水に溶けていると浮かぶことができずにおぼれてしまいます。一歩間違えれば死ぬ世界に生きているというのはとても怖いですね。
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アメンボは大抵浮かんでいる姿を見ることになるので、横から見たことのある方は少ないのではないでしょうか?

実はカメムシの仲間なのでセミなどと同じようにストロー状の口を持ちます。これを虫に突き刺して体液を吸うのです。 

一応体を守るために人間も刺すことがあるので注意が必要ですよ。

こういった理由があるので個人的には苦手なタイプの生き物なんですよね。多少でも危害が及ぶ可能性があるとなかなか手を出しにくいものです。
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アメンボの仲間にも種類はたくさんおり、例えば山の中の止まったような水辺を好むものがいたり、人工プールであっても見られるものであったり色々と好む環境が違います。

虫取りが好きな方は虫だけでなく周囲の環境にも目を向けてみるとより自然を楽しむことができると思いますよ。

そうすると変な所でアメンボを見つける時の嬉しさや、いないと思っていた種類が見つかった時の喜びが大きくなり、まるで自然と言う宝箱の中を探しているような感覚にたどり着きますよ。