あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

早咲きのツツジたちが咲き始めました

あいかわ公園には4万本以上のツツジがあるとされています。3月頃から遅いものであれば6月位までもの長い間色々なツツジが顔を見せてくれるのです。
その先駆けとなるのがゲンカイツツジの仲間たちですね。
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今年植えたばかりのゲンカイツツジ「光源氏」は早くも花の勢いが衰えてきました。ピンクと紫を混ぜたような色でとても綺麗だったのですが、他のツツジたちのような美しいカーテンのように辺りを彩るには数年かかりそうですね。

これから目立つのはやはりシロゲンカイでしょう。
ぽつりぽつりと花が咲き始めています。
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白ゲンカイと言う名の通り真っ白な姿をしています。植物の中には名前にシロやシロバナと付くものがあります。それらはもともとの色とは違った色をしているのです。

この「ゲンカイツツジ」もそうで、ゲンカイツツジのオリジナルは↑の「光源氏」のような色をしています。「光源氏」は色はゲンカイツツジのオリジナルに近いですが、オリジナルは花弁が5枚なんですね。「光源氏」はフリルのようになる八重咲(やえざき)と言う咲き方なのです。これもまた種類が違うわけですね。

種類こそ違いますが、「シロゲンカイ」も「光源氏」もオリジナルのゲンカイツツジがあってこそ生まれた種類なわけです。
サクラやツツジなどはオリジナル(野生にあるもの)とオリジナルを交配したり、オリジナルと園芸種を交配したりするので、それこそ数えきれないほど種類があります。先ほどのように元をたどっていくと、野生に生えていたオリジナルにたどり着くので面白いですよ。
aikawa-park-tutujizukan.hatenablog.jp
あいかわ公園ツツジの図鑑ではクルメ系やキリシマ系などの用語が出てきますが、これも要するに「オリジナルがクルメツツジで、そこから交配された種類である。」「オリジナルがキリシマツツジで、そこから交配された種類である」と言う風にわかるのです。


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文字だけだとなかなかに難しかったかもしれませんが、こういった視点で見てみるのもツツジの楽しみ方の1つです。園芸種なのか野生にあった種類なのかと言うポイントに注目してみてくださいね。
もう1月もしないうちに桜も咲き始めます。サクラと言えばソメイヨシノ、ではソメイヨシノは野生の物でしょうか?それとも交配で生まれたものでしょうか? そうだとすればオリジナルは何になるのでしょうか? こんな視点で、ぜひ植物も見てみてください!

手軽に見つけられてテラリウムやコケリウムに使えるスギゴケの仲間

普段見ているような場所でも視点を変えてみてみると思わぬものが発見できるものです。
特に苔類を探すとなると、これまでの草を探すものとは異なる目線で探してあげないといけません。

山の中を移動しながら視点を変えてみると、とても素敵な苔を発見しました。
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こちらはタイトルにもあるスギゴケの仲間です。恐らくコスギゴケではないかと思われます。新しくむき出しになったような土の上でよく見られる種類なので、がけ崩れがあった後の地面や掻きだされた後の土、それから土の壁のような場所でよく見かける印象です。写真の通り苔自体がなかなかに大きいのですが、彼らの集団はとても大きいため濃い緑色の絨毯が作られます。

スギゴケの仲間はその名の通りスギと言う植物に似ていることから名付けられています。花粉ばかりが有名なので、意外とスギの葉がぱっと思い浮かぶ方は少ないのではないでしょうか? 

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こちらがスギの枯れ枝です。葉の雰囲気を見比べてみると確かになかなか似ていますね。実物を見比べてみるとさらに似ていますよ。スギの葉はかなり独特で、少し上向きに細長い葉が伸びるのですが、それがまさにこの苔の葉の雰囲気とうり二つですよね。名付けた方はよく気が付くなぁと思います。
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拡大して撮影してみました。スギゴケの仲間は見ての通り苔1つ1つがウニのようにしっかりとした主張をしてくれるので、敷き詰めるような形で庭やテラリウム(コケなどを使って自然を再現する)などに使うことができます。他の苔が高い密度になるのに対して、結構ふわりとした印象を与えられるのがいい所なのかなと思いますね。
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こんな感じのびっしり生える苔と比べてみるとゆったりとした感覚とふわっとした印象が伝わりませんか?

苔の仲間は意外と種類によって好き嫌いが分かれているようで、身近な種類であれば少し歩いてみるだけでも「お、ここは○○コケありそうだな」と分かるようになってきます。春の芽生えのシーズンで足元を見やすくなるこれからの季節には、もう少し顔を地面に近づけて苔たちの暮らす小さな世界を覗いてみてください。

マンサクの色違い?

春先一番に咲き始める黄色い花ことマンサクですが、以前あいかわ公園には2種類の色があることを紹介しました。
aikawa-park.hatenablog.com
今年は赤色の物しか紹介していませんが、園路にはよく見る黄色の物も生えています。
それに加えて少し奇妙な色合いをした種類が咲いているのを発見したので紹介したいと思います。

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マンサクと言えばこの濃い黄色の花びらと付け根にある赤色のガクですよね。しっかりと花を見てみると、黄色いひらひらとした花弁が4枚、そして内側の赤色の中にも4つの雄しべがあることが分かります。中心にはめしべがあることもわかりますね。

この色が一般的過ぎるので、これ以外を見る機会と言うのが全くありません。
しかし、今回見つけたのは少し変なんですよね。
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マンサクのチャームポイントである花弁が黄緑色をしています。上と下の写真を比べてみるとかなり違うことが分かりますね。
実物を見てみるとさらに違います。
植物達は、結構個性があるので花1つ取っても色の濃淡が違うことはよくあることです。しかし、樹木では花の色が違うという印象をあまり持っていなかったので、これを発見して驚きましたね。

この木はこの枝以外のほとんどが枯れており、去年は咲いていなかった木だと思うのです。そんな中でもなんとか花を咲かせたため、普通の色とは少し異なった色味の薄い花が咲いたのでしょうか。
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そんな風に思ってみてみると、濃い黄色はとてもパワフルな勢いを感じ、淡いこちらの色は少し元気がないような姿に見てくるのが面白いですね。
同じ種類の花だと思っていても、花を咲かせたら種類が違った!色の濃淡が違った!と言うのはよくあることです。ですが、これも意識してみないと気が付けないことなので、花がたくさん咲くこの春には色々な花を見比べてその子の個性を見てあげてください。

小さな松ぼっくりと細長い緑の不思議な花をつけるヤマハンノキと言う植物

枝から何かぶら下がってる!

園内は春の雰囲気が漂い始めています。冒険広場ではヤマハンノキと言う木の花が咲いていました。
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この動物のしっぽのような独特な形をしたものがハンノキの仲間の花です。雰囲気としては動物の尻尾のようでしょうか?

見た目がかなり特殊なので、一度目の前で見てしまえばきっと印象に残り続ける花ですね。

身近な公園などでも意外と植えられていたりするので、見る機会自体はある植物かと思います。宮ヶ瀬エリアでも度々見かけますね。
綺麗な色合いのものは上の写真のように鮮やかなのですが、こういった色の物もよく見かけます。
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こちらも同じく花です。しかしじっくりと見てみてください。尻尾のような花ともう1つその付け根に小さな花のようなものが付いていますね。

実はこの仲間は♂の花と♀の花を持つのです。
尻尾のようなものが♂で花粉を飛ばします。そして♀は後々実をつけるわけですね。
ハンノキたちの仲間はこの実も印象的なので見てみましょう。
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先ほどの♀の花が付け根についていたのと同様にこの松ぼっくり状の種も枝の根元付近についていますね。
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場所によってはこんなにたくさんの実が付いています。
今年の花の時期になっても昨年の実が付いたままになっている というのもとても面白いですね。
例えばサクラであれば実となるのはサクランボですが、これは翌年まで残っていませんよね。多くの植物が実を落としてしまうのに対し、このハンノキの仲間は乾燥してカラっカラになっているとはいえ、新鮮な実ができてから半年以上もの間実をつけたままなんですね。

花を見てもピンとこなかった、もしくは初めて見たという方も多いかもしれません。

しかし、このハンノキの仲間はあることで有名なんです。
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それが花粉ですね。 スギヒノキが本格的に飛び始める前に実はハンノキの花粉は飛び始めます。 今年の花粉症は早いなぁと思っていたならば、もしかするとスギヒノキの花粉症ではなくハンノキの花粉症かもしれませんね。

ハコベやノボロギクなど様々な色で賑わう地面

一気に暖かくなったからか、園内の地面の上にはぽつぽつと花が咲き始めたようです。
春の定番の花たちではあるものの、やはり今年一番最初に見たというものにはとても価値があるように思います。
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春の定番中の定番と言えば個人的にはハコベの仲間たちですね。
この仲間は春の七草でも有名ですね。故にネタも定番化してしまうのですが、この仲間は5枚の花弁を持ちます。写真で見ると10枚あるように見えるのですが、よく見ると切れ込みは根元で止まっており、一枚の花弁が深く切れ込むという形であることが分かります。ナデシコ科の一部に見られる特徴なので花に興味のある方は見てみてください。

七草とはいえ食べてもいまいち味がよく分からない葉っぱだった記憶があります。かき揚げにして食べたと思うのですが、まあ衣の味でしたね。
ハコベを天日干ししてすりつぶし、塩と混ぜるハコベ塩はなかなかによかったです。 緑色の塩になるのですが、てんぷらなどと見た目の相性がいいですよ。


春先にしては珍しいお花も咲いていました!
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この咲いているのか蕾なのかいまいちわからない独特の形の花はノボロギクですね。花に加えて葉が固そうでギザギザしているのもポイントです。
4月に入ってもっと気温が上がってから咲く印象が強いのですが、思わぬタイミングで咲いているものですね。一応タンポポの仲間ではあるものの、タンポポのようにパカリと花を広げることもなく、この筒のような姿のまま種になります。

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一枚目に見たハコベにそっくりのオランダミミナグサもいよいよ咲き始めたようです。ハコベほどではないものの、花に切れ込みが入っているのが分かりますね。写真の下の部分に2枚の大きな葉が茎を抱えるように付いていますが、これがなんとなく動物の耳に見えてきませんか?
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これは園内で見つかった死んでしまったアカネズミと思われるネズミの耳の写真なのですが、言われてみるとまあ似ている気がしますね。
生きているときはピンとしているはずですから、もっとそっくりなのでしょう。
ちなみにネズミは園内で度々見つかっており、秋のクルミの実が落ちるシーズンには食べた跡が残っていたりします。

こうして花や生き物が出てきているのを見ると、春はすぐそこまで来ていますね。

卵はあっという間にオタマジャクシに変わりました。

2月28日にこの記事を書いているのですが、つい数日前に形を変えていたカエルの卵が、そこから5日ほどでオタマジャクシに変わっていました。
朝バケツを除いたらもう普通に動いていたのでびっくりです。
そしてこれがまた小さなウーパールーパーっぽくて可愛いのです。

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上からでは分かりにくいと思うので虫かごに移して撮ってみました。やはり横から見られると上からでは分からない点も見られていいですよね。
卵の発見から11日ほどでここまでしっかりとした形になるとは驚きです。尻尾がかなりはっきりしていますね。 もう既にこの尾をひらひらと優雅に揺らしながら泳いでいます。足はまだないので、底にいるときには横になって倒れていることが分かりました。
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中にはエラがはっきりとしているものもいました。これは尾の方から撮ったものです。オタマジャクシは最初はエラ呼吸で、後に肺呼吸に変化していきます。正直このサイズのオタマジャクシが一番かわいいのではないかと思っています。

まだそんなに活発ではなく、基本的には枯葉の裏などの暗い場所で静かにしています。しかし、少し振動があったり水が揺れたりすると一斉に動き始めてにぎやかになります。

卵塊から見て下さっている方は恐らく「こんなに多くの数で大丈夫なのだろうか?」と思われているかと思います。もちろんあの卵の数を育ててしまってはいけません。と言うのも今回は狭いバケツやケースでの飼育を想定しているので、オタマジャクシの共食いが起こってしまいます。
なので既に数は調整してあります。

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オタマジャクシ自体は汚れなどには比較的強いとされていますが、こういった飼育内で数が多すぎると色々と問題が発生します。
共食いによる食べ残しから水の汚れに繋がったり、数が多すぎることによる水中の酸素の不足などが特に大きな問題ですね。
水自体の悪化と酸素は、全滅にもつながるので気をつけないといけません。


いまでこそバケツで平気ですが、ゆくゆくは陸地も用意してあげないといけないので数自体はあまり飼えません。なので面倒を見れる分だけ飼育してあげるようにします。
今後の成長がとても楽しみですね。

サワガニのお家作りでテラリウムに挑戦 その3

サワガニのためにお家を作っています。
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今日は昨日決めた苔たちを↑のレイアウトにはめていきます。
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少し進めたところで一枚とってみました。
岩に張り付くタイプの苔は最初は見栄えがかなり悪いです。自然に張り付きもしますが、効率的にやるなら岩と苔をタコ糸などで結び付けてあげるとより付きやすくなります。中央の岩より上に植えてあるのが先日紹介したスナゴケです。乾燥した環境が好きなので、なるべく高い所に配置してこの虫かごの中では一番乾燥している場所に置きました。スナゴケは色も淡くて綺麗ですね!

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一番高い石には這う苔ことハイゴケを置いたのですが、いかんせん適当な感じになってしまいますね。(岩の左側)糸で結ばないとこのような残念な見た目になります。
ぶかぶかな印象のハイゴケの隣には、せっかくなのでホソバオキナゴケ(推定)をそのままの形でおいて見ました。好きなものをもはや好きなようにのせているようにしか見えませんが、そんな感じで個人的にはいいと思っています。

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先ほどのお団子状になっているホソバオキナゴケはばらして植えるとこのように草原っぽくすることができます。
これが非常に便利で、例えば下の砂の色を隠したい時にはとりあえずホソバオキナゴケを一面埋めて、全面緑にしてしまうことができます。
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右の岩地帯には高さを重視するために石に張り付くタイプのシダの仲間を立てかけてみました。(一番奥)中心に濡れた岩場環境を好み、背丈が中くらいのホウオウゴケの仲間と思われるものを置いて、手前には取ったものの何か分からない苔を置きました。張り付くタイプっぽいので何とかなるでしょう。
石の側面にはやっつけな感じのハイゴケを置いてあります。

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なんやかんやでこんな感じになりました!写真ではなんだか立体感がありませんが、実物は満足の出来で、思ったよりワクワクするものができました。早速離していたカニたちを迎え入れましょう!f:id:aikawa_park:20210221150407j:plain
早速いい所を見つけたようですね。初の試みなので不格好なテラリウムではありますが、サワガニが好きなスペースを作ってそこを実際に利用してくれると嬉しいものです。
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苔の隙間は意図していたものではありませんが、なんだかすごくサワガニにフィットした場所を見つけていますね(笑)隠れる空間がたくさんできたので、カニを見つけるのは難しくなりましたが、カニがいなくとも苔に癒される空間ができたので退屈しなさそうです。
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初のテラリウム挑戦でしたがとても面白いものでした。 苔がヒーリングアイテムとして人気なのも頷けます。
お気に入りの苔を単品でじっくり愛でるもよし、複数の苔を植えてその違いを味わうのも良し、皆様もぜひ一度苔を手に取って育ててみてはいかがでしょうか? とても癒されますよ。 私はハマってしまったので各苔を単品で育てようと思います!