あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

真っ白な翅のシジミチョウ ルリシジミ?ヤマトシジミ?

白い翅の蝶を見つけた!何蝶?

園内では小さな蝶ことシジミチョウの仲間が多数見られます。平地であればヤマトシジミがもっとも馴染みのあるシジミチョウかと思いますが、山側のあいかわ公園ではルリシジミと言う美しい白い蝶がよく見られます。

この写真を見ても普段見ているシジミチョウとの違いが分からない方は多いのではないかと思います。 園内では草地のヤマトシジミ、産地のルリシジミと言ったように生息圏が分かれています。

なじみ深いヤマトシジミは、見た目としてはルリシジミにもそっくりであり、写真を並べて比較してみても分からないという方もいるはずです。

せっかくですから似た2種を並べてみましょう。

どちらがヤマトシジミでどちらがルリシジミでしょうか? 最初の写真と比較しながら答えを出してみてください。

同じ左向き写真で見るとそっくりなことが分かりますよね。






(左ルリシジミ 右ヤマトシジミ

どうでしたか?あっていましたか?

模様に悩まされた方も多いと思います。この2種を見定める簡単な方法は目の色になります。
ちょっと意外ではないでしょうか?

左のルリシジミは目の部分が黒く、右のヤマトシジミは目の部分が灰色です。

この点に注目するだけで似た2種を見分けられるので、白いシジミチョウを見かけた時には目を確認してください。目で判断する場合は捕まえないと分からないのでそこは注意が必要ですよ。

山などを好むルリシジミ

ルリシジミはその名の通り瑠璃色のような美しい翅を持ちます。

シジミの仲間は♂が派手なものが多いのですが、ルリシジミは♀であっても裏翅の薄紫のような輝きが目立ちます。

♂はその模様だけでルリシジミと分かるほど美しいのですが、捕まりませんでした。翅一面が鮮やかに輝くため、飛んでいる段階で分かります。

ここでは光に輝く♀の翅を見てみましょう。

♀の場合には瑠璃色の輝きが翅の中央部に集まる傾向が見られるようです。♂はこの輝きが全面にあります。

この写真と1つ上の写真を比べれば分かるように、光の反射具合で色合いががらりと変わるのが面白いですね。

蝶の仲間に見られるこの輝きは構造色(こうぞうしょく)と呼ばれます。 光が反射する角度で色が変わるので首を動かして色の変化を楽しめます。

紫や緑、水色などなどの色合いは個人的にはシジミチョウの最大の魅力だと思います。こればかりは実物を見ないとよさが伝わらないんですよね。

ルリシジミはみんな大好き枝豆などでおなじみのマメの仲間を好みます。

山側であればフジがかなりたくさん見られるため、ルリシジミは森の縁の場所などを飛んでいることが多いです。

なので木に絡みついている植物がある場所を見るといいですね。簡単に見つかるので探してみてください。

クリの花は昆虫の宝庫! 赤いシジミチョウやハナカミキリを探してみよう!

虫探しをするなら1年に1度の大チャンス

クリの花は特有の匂いから非常に見つけやすいお花です。

香りにつられてかは不明ですが、その花にはとんでもない数の虫たちがやってきます。

希少な虫も見られ、最高のお花です。

クリの花は黄色く線状の花をつけます。非常に目立つので、初心者の方も直ぐに分かるかと思います。 どんな虫が来ているのか見てみましょう。

カミキリムシを狙うのに最高のお花


花でとにかく見つかるのはトゲヒゲトラカミキリと言う1cm程の小型カミキリムシです。


小柄ですばしっこく、手についているとアリのような感触がします。

クリの花では至る所で見られる常連さんであり顔なじみの昆虫です。この子達の数で花の盛況っぷりが分かります。

こうして花を訪れる虫たちは、食事をとりつつ交尾する相手を探しています。

こちらは神奈川県ではレッドデータにも登録されているキイロトラカミキリと言うカミキリムシです。

あいかわ公園では良く見つかる種類で、白いお花で見つかることが多い種類ですね。花に来るカミキリとしてはなかなかに大きい種類です。
山側に位置している公園だからか、こうした珍しい昆虫にふらっと出会えるのが醍醐味ですね。

蝶観察もこの時期の醍醐味!


おや?蝶も来ていますね。実は蝶たちにも大人気のお花なんです。写真のテングチョウを始め、初夏にだけ現れる木の上を好むシジミチョウの仲間もやってきます。

今年は既にアカシジミが発生していました。 赤とオレンジを混ぜたようなとても美しい蝶で、5月~6月の僅かな期間だけ見られます。コナラなどの高い木の上で見つかるのですが、この時期は栗のおかげでかなり見やすいです。

アカシジミの仲間には美しい種類がとても多く、毎年その姿を見るのが楽しみなものです。 日が傾いたころにクリの花を訪れてみればきっと出会えるはずです。

ただいまのあいかわ公園は昆虫観察に最高のタイミングです。興味のある方は是非とも探してみてくださいね。

あいかわ公園の植物、昆虫情報 5/24日

あいかわ公園の今をお届け。

初夏らしい雰囲気が漂い、昆虫も植物も賑わいを見せています。園内を回って見つけた昆虫、植物を紹介していきます。

パークセンターの壁にてチョウが羽化をしていました。

数日前にタテハチョウの仲間の幼虫が多数みられており、運よく蝶になる瞬間に遭遇することができました。

幼虫の世界は過酷で大人の蝶になれるのはほんのわずかな蝶のみなのです。

幼虫はとてもトゲトゲしています。

今年は合計10匹近くの幼虫を見ましたが、成虫になれたのはこの子だけのようです。

ヒオドシチョウは意外と見かけない美しい蝶なんですよ。

元気に育ってほしいものです。食草はエノキでパークセンターの近くにあります。

その他出会った昆虫達


花の斜面の薄暗いエリアにてヒカゲチョウがお休みしていました。樹液や糞などの汁を吸いに来ることが多い蝶で、薄暗い環境が好きな蝶です。

汗にも寄ってくるようで人の周りを飛び回ることもあります。翅には目玉模様があり、眼の位置をごまかすことで鳥に頭部の位置を錯覚させ、致命傷を避けることがあります。この子もボロボロですね。

翅を持たないキラキラの虫、ヒメツチハンミョウにもたまに遭遇します。翅が退化しており飛べませんが、強力な毒を分泌する防御手段を持つ昆虫です。

腹部がとても大きい虫を見つけたら触らないように注意しましょう。 ハナバチの仲間に寄生するという面白い生態を持つ昆虫です。

地面に耳を傾ければ枯葉を分ける音が聞こえることがあります。

青緑の綺麗なアオオサムシが地面を徘徊しているかもしれません。ミミズや死んだ生物を食べる森のお掃除やさんで、元気に活動してくれています。ヒメツチハンミョウと同じく飛ぶ翅を持ちません。

お花たちもずらりと紹介


昆虫たちに人気のウツギの仲間たちです。そろそろ終わりを迎えそうですね。小型のカミキリムシの仲間がよく来ています。

背丈の高い草たちの中でひっそりとニガナが花を咲かせていました。

薄暗い場所で見かけることが多いキク科の植物ですね。
キク科は春菊のように苦味を持ちます。ニガナも苦い菜と言うことですね。

こちらはキウイフルーツの原種サルナシと言う植物のお花です。

他の植物に絡みつくつる植物と言う種類で、本来だと木の高い所で見られることが多いお花です。園内では高い橋の上からちょうどいい高さで見ることができます。

初夏の園内では意識を向けると至る所に昆虫を見つけることができます。足元の自然に目を向けて歩いてみてください。

芝生で絨毯のように生える白い花、ニワゼキショウとラベンダー

** 白くて美しいニワゼキショウ

初夏の芝生を彩ってくれるのはこちらのニワゼキショウと言うお花です。

非常に小さな植物なのですが、生えている数が非常に多いことから芝生を白に染め上げてくれます。

繊細な感じがとてもいい花ですね。

芝生に目を凝らしてみるとたくさんのお花が生えていることに気が付けるはずです。

中には黄色いお花や紫色のお花が混じっています。彼らは皆日当たりのいい開けた環境が好きな植物達です。黄色いこちらはカタバミです。

ニワゼキショウはほとんどがシロバナなのですが、ぽつりぽつりと紫色のお花が混じっています。

種類が違うわけではなくて同じ種類なのにはちょっと驚いてしまいますね。

同じ株からは同じ色が出るのか不明ですが、紫のお花が見つかるとまとまって生えているようです。

園内ではそこかしこで見られるので探してみるのがおススメですよ。


パークセンター付近ではラベンダーがいい頃合いです。

ご存じの方も多いかもしれませんが蜂たちに大人気の植物です。

多数の毒々しい色を持つ植物と言うのはあまり多くはありません。

なので花壇付近ではひときわ目立つ存在ですね。

特にハナバチの仲間がやってきており、足に花粉団子をつけている場面によく遭遇します。

ミツバチっぽい昆虫がいたので撮影してみました。

翅を見事に開いたタイミングだったので、枚数が数えられますね。

2枚の羽を持っているのでハチではなくハナアブの仲間だったようです。
ハチは4枚、アブは2枚の翅を持つことは有名ですね。

花粉は彼ら自身の食事としてはもちろん、子供たちへの食事にもなるので集めやすいこの時期には必死になって集めているんでしょうね。

あいかわ公園では色々なお花が観察できるので、興味のある方はお散歩しに来てみてはいかがでしょうか?

ハクウンボクの真っ白な花と花に集まるエゴシギゾウムシやハナカミキリなどの甲虫たち。

昆虫たちにも大人気の真っ白いお花

ハクウンボクと言う植物を知っていますか?名の通り白い雲が流れるような美しく豪勢な花をつけます。

街中でも目にするエゴノキと同じ仲間の植物です。こういった花を木全体に付け、花からはやや臭いような香りを放ちます。

花が下を向いていますね。これは足の強い昆虫に花粉を運んでもらう植物の戦略です。花期が短い植物なので恐らく今週末までが見頃でしょう。
限られた時期の虫取りチャンスです。

虫がうじゃうじゃハクウンボク


日当たりのいい場所のお花でも、ぱっと見昆虫たちはいなさそうに見えます。

しかし、花の中や葉の上までくまなく探すと次々に昆虫が見つかります。

早速蕾に来ていたゾウムシの仲間を発見しました。

黒と灰色のマーブル模様でエゴノキ科に来るゾウムシはエゴシギゾウムシです。

この時期では面白いほど簡単に見つかるおススメの種類です。

花から葉までそこら中にいます。

動物の象の鼻をモチーフに名づけられたゾウムシですが、シギゾウムシの仲間たちは特に象らしい長い口を持ちます。
鳥の中にシギの仲間と言う口が長い種類がおり、シギゾウムシは鳥と象から名前をもらっているわけですね。

この口で花の後にできる丸い実に穴をあけて産卵します。 可愛らしいですね。 

光沢のある虫も発見!

同じく花や葉の上には緑色の光沢を放つ昆虫が結構見つかります。

どうやらアオハムシダマシと言う昆虫のようで、光沢を持つものがいるゴミムシダマシの仲間のようです。

ざらざら感のある肌とぎらぎらの光沢でとても印象的です。印象としては超小型タマムシのような雰囲気ですね。

網で下から花を叩くと上記の甲虫たちには簡単に出会えます。

ハクウンボクを見つつクロアゲハも探そう。


素敵なことにハクウンボクの隣にはツツジが植えられています。日の当たる時間帯であれば多数のアゲハチョウが勝手にやってきます。
白い花で甲虫探しをしつつチョウ類も狙える絶好の昆虫観察スポットです。

ここには稀にウスバシロチョウと言うこの時期にだけしか現れないアゲハの仲間がやってきます。
翅が透けるような美しい蝶なのでぜひ探してみて欲しいですね。 虫探しがとても楽しい時期が来ましたね。

aikawa-park-mushizukan.hatenablog.com
合せて花図鑑も更新
aikawa-park-sanyasou.hatenablog.jp

輝くカラスアゲハやクロアゲハの仲間は赤系のツツジで待ち伏せして捕まえよう!

身近だけどなかなか捕まえられないアゲハチョウ

アゲハチョウの仲間と言うのは非常に飛ぶ速度が速く、見かけてもなかなか捕まえることができない難しい蝶です。

こちらは特に人気の高いカラスアゲハの春型です。青と緑、そして青の光沢が驚くほどきれいです。

人気も高い種類ですが、見かける機会すらない という方も多いはずです。そんな方にいいお知らせです。 

この時期のあいかわ公園ではアゲハの仲間が格別に見つけやすい時期なのです。

アゲハチョウを探す方法を伝授


ツツジで有名なあいかわ公園。5月頃に咲くオオムラサキツツジのような赤系の花にアゲハチョウは寄ってきます。


皆様が普段する虫取りと異なる点は花の近くで蝶がやってくるのを待つ という点です。待ち伏せ型の虫取りですね。

花の多い場所ならではの作戦です。オオムラサキツツジが咲いているわずかな間だけボーナスチャンスのように次々とアゲハチョウがやってきます。

噂をすればやってきましたよ。主に黒系のアゲハチョウがやってきます。


飛んでいると姿が分からない場合が多いので、追いかけて頑張って捕まえましょう。

園内ではクロアゲハ、ジャコウアゲハ、ナガサキアゲハ、モンキアゲハ、オナガアゲハ、カラスアゲハ、ミヤマカラスアゲハと言った黒系のアゲハがいます。この子は誰でしょうか?

翅に光沢はありませんね。カラスアゲハ系ではないです。クロ、ジャコウ、オナガのどれかですね。

この日はクロアゲハ、カラスアゲハ、オナガアゲハが来ていました。エリアで立っているだけで最大3匹ものアゲハが来ましたよ。

横から撮影したところ翅の突起が非常に長いことが分かりました。この子は恐らくオナガアゲハですね。

尾が長いのでオナガアゲハと言います。

オナガアゲハはやや数が少ない種類で、最もよく来るアゲハはカラスアゲハなんです。 


一年で最も簡単にカラスアゲハに出会えるチャンスですから、興味のある方はオオムラサキツツジを中心に探してみましょう。



花を訪れる可愛らしいハナバチの仲間 ニッポンヒゲナガハナバチ。花に来るハチはミツバチだけではありません。

ツツジの花は昆虫観察のベストスポット

大型のヒラドツツジで賑わい始めたあいかわ公園ですが、ツツジ付近を歩いていると大きな羽音にびっくりしてしまいます。花にやってくるハナバチの仲間たちが花粉を求めてやってきています。

特に可愛らしいニッポンヒゲナガハナバチに注目してみましょう。どうです?可愛いでしょう?

ハナバチの仲間はハチですから刺激したりすると刺し返してくる可能性があります。

しかし服の中に入るなど事故が無ければまず刺されません。

正面から見比べるとミツバチに見えるかもしれませんが全体を見ると結構違います。 

どうでしょうか? ミツバチにしか見えませんか? 

であればハチの頭部にある触覚に注目してみましょう。この子は♀なので短いですが、それでもミツバチよりずっと長い触覚を持っています。

♂の場合さらに長く、名の由来の通りヒゲナガです。ミツバチよりもやや大きく、丸っこいため姿を捕らえられれば見分けられるはずです。

ニッポンヒゲナガハナバチは非常にマイペースな虫で、日向ぼっこをしているのか花や枝に止まってボケっとしていることがあります。

眺めていると写真のようにお手入れを始めたりもします。人間ぽいしぐさが現れると親近感がわきますよね。

ハチと植物

ハチは一般的には嫌われ者の印象が強いかもしれません。例の如く人への被害が多いスズメバチアシナガバチの影響ですね。

皆様から恐れられるスズメバチも実際には幼虫などの昆虫類を捕食し、抑制する重要な虫です。

ではハナバチの仲間はどうでしょうか? 彼らもかなり重要な存在です。

花の中には昆虫や鳥に花粉の運搬を頼っているものがかなりいます。

モミジの下向きの花は花にしがみつける虫に運搬を頼むための技です。その他にもこの時期に目立つイチゴの仲間の花などを始め、多くの果物などの受粉に貢献しています。

こちらのニガイチゴはイチゴの仲間ですが、花粉を運搬してくれるものがいなければ美味しい実をつけることができません。

実がなくなれば園内のサルやアナグマと言った動物たちの餌の減少になりますし、甘い果汁を吸いに来る蝶などの生き物へも影響が出ます。 こうして考えるだけでも農業~生態系に大きく貢献してくれることが分かりますね。

蜜と花粉を得るハチと花粉を運んでもらう植物の関係


ハナバチの仲間は蜜を舐めたり幼虫のお世話のために花粉でお団子を作り持ち帰ったりします。

植物の多くは花の根元部分に蜜を貯めるので、根元まで入るか長い口を持つ必要があります。ニッポンヒゲナガハナバチは非常に長い口を持つようです。
分かるでしょうか?

私も最初理解できなかったのですが、セミを思い出すかのような非常に長い口を持っているようです。

今回はそのお手入れをしている場面に出くわすことができました。見たところ固そうな口の先からはブラシのようなものが出るのでしょうか? 甲虫のように蜜を舐めやすい形になっているのかもしれませんね。

ハナバチの仲間は農薬や薬剤の影響で数を減らしている種類です。ゆっくり観察しやすい虫なので遠目から癒されてみてはいかがでしょうか?
もちろんミツバチも同じ仲間なのでこの機会に観察してみてください。