あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

垂れ下がる花 風鈴のようなキブシたち

冒険広場の道路先と、冒険の森付近の橋からは、優雅に垂れ下がるキブシを見ることができます。
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春にとても人気の植物で、コブシと並んで早めに咲く植物でもあります。
コブシとキブシ...語感がとても似ていますね。キブシはキフジと呼ばれることもありその花の様を5月に咲く紫色のフジに例えたものです。
漢字では木五倍子でキブシと読みますが、この五倍子というのはとある植物の虫こぶ(以前の記事で紹介したようなもの)の事を指します。虫こぶは黒色の塗料として使われるタンニン(苦味渋み成分)を含み、人間活動にも役立てられてきた成分です。そのような有用なものなので名前が付けられているわけですね。

ところでなぜ五倍子なのか気になりませんか? 実際の五倍子はヌルデという植物の虫こぶを指すのですが公園にはヌルデの木が少なくみられていません。
他の虫こぶを例にみてみましょう。
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工芸工房村前のアカシデに付くアカシデメムレマツカサフシを以前紹介しました。写真中央が虫こぶでそれ以外にも背景には本当のアカシデの芽が映っています。虫こぶはこのようにもともとあった芽や葉を数倍にも膨らませてしまうのです。故に五倍子と呼ぶのです。

五倍子の話をしましたが、タンニンが多く含まれるものに代名詞のようにこの五倍子(フシ)が使われることがあります。キブシの実にもタンニンが多く含まれているのですね。

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キブシの花はよく見ると黄色い1つ1つが花になっています。1つの花をしっかり確認してみると、花びらは4枚あり、桜などと違い横には開かずしっかりと立ち上がって筒のようになっているのが分かります。このような筒形の花は、入口を狭めることで虫に入ってもらい効率的に受粉をするものが多いです。以前のベニバナアセビがそうでしたね。このキブシも虫に花粉を運んでもらうタイプの植物です。(虫媒花という)
あいかわ公園では手の届くところで観察するのは難しいですが、今の季節ならではのキブシをゆっくり観察してみてはいかがでしょうか?

キブシから話は変わりますが、あいかわ公園のふれあい広場でソメイヨシノが数輪咲き始めました。
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芽吹きもかなり始まっており、冬に比べるとずいぶんと賑やかな雰囲気になってきています。あいかわ公園で自然散策してみてはいかがでしょうか!