あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

フユシャクの♀探しに挑戦 イチモジフユナミシャクの♀

昨日は樹皮を見ながら小さなフユシャクの♀を探していました。見つけたのはヤママユと思われるものの卵だけでしたね。
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よくわからない蛾と思われるものの繭も発見しました。すごい擬態ですね。写真を見ても分からない方がいらっしゃるかもしれません。

蛾などの仲間は繭の時にも敵の鳥に襲われてしまうので、このように色を溶け込ませているんですね。少なくとも人間の目には見つからないくらいの腕があるようです。

しかし、コナラやクヌギなどのブナ科に見られるフユシャクの♀は全然見つかりません。ここは諦めて桜の木を好む種類を探すことにしましょう。
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サクラと言えばあいかわ公園ではソメイヨシノです。広場を中心にたくさん植えられていますね。
これを一本一本丁寧に眺めて怪しい虫を見つけ出します。
蛾と聞くと皆様結構顔をしかめがちですが、やはり何か相手を対象に探していると夢中になってしまいますね。予想以上に面白いです。

ところで、実はこの写真にはフユシャクの♀が映っているんですよ。恐らく先ほどの写真を見て気が付いた方はいないのではないかと思います。それくらい木に隠れているんですね。 今回の桜のフユシャクは木の色に擬態はしていません。
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実は桜には地衣類(ちいるい)と言う苔のようなものが張り付いています。(実際は菌類の仲間)

フユシャクの♀達はサクラにこの地衣類が張り付くことを知っているのか、それそっくりな姿をしているのです。改めてみてみましょう。f:id:aikawa_park:20210120114933j:plain
分かりましたか? 写真中央に1匹、そして写真右側にもう1匹いますね。
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この子達でした! 地衣類に色合いがそっくりですよね。しかし独特な形をしているからか、いれば意外と分かります。大きさは7mm位でしょうかね。

ともあれようやく自力でフユシャクの♀を探し出すことができました。
明確な種類は分からないものの、イチモジフユナミシャクの♀が近い気がします。

この仲間は昆虫学芸員の方によれば交尾中を撮影しないと特定が難しいそうです。♂の姿とあとは交尾器が重要だそうです。蛾は蝶と比べると似た姿をしたものが圧倒的に多いので複雑なんですね。
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退化した翅もこう見てみるとマフラーをかけているみたいでなかなかに可愛いですね。昼間でも寒いのか休んでいるのか分かりませんが、あまり動きませんでした。
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しかし手にのせてみると事態は一変。君はそんなスピードで走れたの!?と思ってしまうような華麗なステップで指から手首を縦横無尽に走りまわっていました。やはり木と違う違和感を覚えたのでしょうかね(笑)

自力でフユシャクの♀を見つけるミッションに加え、♀の元気に動き回る姿を見れた素晴らしい時間でした。