あいかわ公園自然観察ガイド

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自ら栄養を作らない植物 ヤセウツボ

石小屋ダムの方面では開けた芝生的環境があり、そこには変わった植物が見られます。 植物と言えば皆様はどんな色をイメージするでしょうか?
葉の緑、花の様々な色などありますよね。
しかし、全身真っ白な植物は見たことがありますか? そんな植物があるとすればどうやって栄養を作り出すのでしょうか?

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これがその植物 ヤセウツボです。ウツボと言っても海にいる長くて黄色いあのウツボではありませんよ。
「枯れているだけじゃないか?」と思われた方も多いでしょう。恐らく知らなければ枯れているようにしか見えないはずです。なぜなら植物の葉が緑でないということは光合成で栄養が作れないということですからね。


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ところがこのヤセウツボをよく見てみると、元気に花を咲かせているではありませんか。やはり色は白で、緑色はありません。植物の中には茎の途中で葉が無く、根元にべたりと葉を広げるようなタイプもいます。なのでもしかすると足元に葉が広がっているのかもしれません。
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葉はありますがこれはですね。周りには丸みのある3枚の葉を持つシロツメクサがあります。他にはこの植物の葉らしきものがありません。

つまり、栄養を作る葉を持たない植物なんですね。 ではどのようにして栄養を作り出すのでしょうか?
想像してみてからスクロールしてみてください。




答えはシンプルです。
他の植物から栄養を奪うことで彼らは栄養を得ているのです。

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彼らはシロツメクサアカツメクサなどのマメ科に好んで寄生します。この手の植物は寄生するための根を持っており、そこからはタンパク質を分解する成分を出します。溶けた部分から根を差し込み、栄養を横取りしてしまうんですね。
植物は動けませんから、これを人間で例えるならば「金縛りにあった状態でどこからか伸びてきた根が体を溶かし、自分の栄養を吸い取っていく」といった感じの恐ろしい話になりますね。

植物には悪夢ですがヤセウツボ自体はなかなか美しい花です。外来種なこともあって意外と身近な場所で見つかることもあるので、白い不思議な花を探してみてください。

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aikawa-park.hatenablog.com


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