蜂と言えば針を使って敵を攻撃するという印象があると思います。この針は産卵管が変化したものなので実は蜂の中で針を持つものは♀しかいません。
スズメバチやアシナガバチのように攻撃のための針を持つ印象が強いと思いますが、中には産卵に利用するために驚きの進化を遂げたものがいます。
初夏に現れるので探しているとウマノオバチに出会えました。
よく飛んでしまうので袋の中での撮影です。色合いは黄色と一部が黒で蜂らしい雰囲気を持っていますよね。
顔はコオロギみたいで可愛らしい印象を受ける蜂ですね。
ウマノオバチはいわゆる寄生バチの仲間で、木の中に潜むカミキリムシの幼虫に産卵管を差し込み、幼虫に卵を産み付けます。
写真の左にはなんだか素敵な長さの予感がする自慢の産卵管がちらりと見えていますね。
全体の姿を想像してからスクロールしてみてください。
いかがでしょうか?きっと皆様の想像を軽く上回るほどの長さだったのではないでしょうか?
明らかに体にミスマッチした長い産卵管は、まっすぐ伸ばしてしまうと体の7倍~8倍ほどにもなります。
自然の中で見つけると、思わず二度見してしまうほどのアンバランスさをウマノオバチは持つのです!
大人の人差し指と比較してみるとこんな感じです。
この個体の産卵管は袋の端から端位までだったので14cmちょっとくらいの大きさになりますね。
これだけ長いので、飛んでいると黄色い蜂よりも長くプラプラしている産卵管に目が行きます。
とはいえ彼らは なぜこんなにも長い産卵管を持つのでしょうか?不思議ですよね。
それは彼らの産卵対象にあります。
彼らは寄生バチですから寄生対象がいないと生きていけません。その相手はやはり園内で見られるミヤマカミキリと言う大型カミキリムシの仲間です。
カミキリの幼虫は木の中に侵入し、その中で大きくなります。内側にいるので短い産卵管ではカミキリムシの幼虫がいる部屋までたどり着けないんですね。 しっかりと産卵するためにこれだけ長い産卵管が必要となるのです。
産卵管の先端が分かれていますね。
カミキリムシの幼虫に産み付けられた卵が孵るとその幼虫を食べてウマノオバチは大人になります。
脱出するためには木を破らねばなりませんから歯が必要になりますよね。なので彼らは写真でも見れるような顎を持っています。長い針も鋭い顎も彼らが生活していくために必須の物だったんですね。
そんなウマノオバチは神奈川では絶滅危惧種にも登録されている貴重な種類です。
園内では年に1度見つかるかどうかぐらいの発見率なのですが、今年は捕まえることができてその姿を眺められ、とてもいい経験ができました。
長い産卵管をぶら下げたウマノオバチを見かけたら、見つけただけでラッキーです。皆様も出会えるといいですね。
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