あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

灰色と黄色の巨大カミキリ シロスジカミキリの大きさとは?

あまりに大きすぎるカミキリムシ

夏の樹液は多くの昆虫たちのオアシスとなります。

一方でその樹液は誰が出してくれているかというのはあまり知られていません。樹液を理解していくうえで木を傷つける虫やその流出メカニズムを知ることは、生態系の面白さを知ることにつながるうえカブクワなどの人気昆虫との遭遇機会も高めてくれます。



こちらが樹液を出してくれるシロスジカミキリです。

かつては普通種でしたが雑木林の減少や乾燥化などの影響か、最近はほとんど見かけなくなってしまいました。超大型のカミキリで、6~7㎝近くあります。虫に慣れていない人はちょっと怖いかもしれません。


特にグレーの色合いに白や黄色が入る大型のカミキリムシはシロスジカミキリくらいなのでとても分かりやすい昆虫です。

カミキリの大きさはどれくらい?


サイズの比較として大人の指を試してみましょう。遠近法で指を大きく見せたりしているわけではありません。

このシロスジカミキリは日本のカミキリの中でも最大クラスの大きさで、同じく園内で見られるクワカミキリミヤマカミキリと並ぶ巨大種なのです。
aikawa-park.hatenablog.com
aikawa-park.hatenablog.com


カミキリの仲間は木を齧り産卵するのですが、その際に顎を利用して木を削ります。その顎はとても強力で、人の指ですら噛まれると血が出ます。この点は扱いに注意が必要ですね。

また、彼らの持つ複眼は非常に大きく、人の気配などに敏感に反応します。小型種は特にこの傾向が強いように感じます。

顎の向きも重要

鋭い顎が特徴のカミキリですが、その顎が前に出るものと下を向くものがいます。これは食性などが関係していると思われますが、成虫のカミキリは葉の一部や木の皮、幹などを齧って食べます。シロスジカミキリは顎が下を向くタイプです。

こちらのミヤマカミキリは顎が前を向くタイプですね。基本的には下向きの種類が多いのですが、1つ見分けの参考に使えるポイントとして紹介しておきます。


そして最初に伝えた通りこのシロスジカミキリは虫取りをする上では欠かせない樹液を流してくれる貴重な存在です。

このカミキリのかじった痕はかなり特徴的なので覚えておくと虫取りに役立つでしょう。

このように横一列に噛みながら木に産卵します。ふれあい広場では今年もこのかじった痕があり、幼虫が孵化すると木の中に潜り込みます。すると樹液が出てくるというわけです。

そして開いた穴から樹液がにじみ、そこをハチやカナブンなどが広げることで樹液に集まる虫たちが集まります。このカミキリが多数穿孔するとクヌギやコナラは樹液を出すにとどまらず枯れてしまい、そしてカブクワやカミキリ、タマムシなどの発生木となるのです。

このような痕を見つけた時にはぜひともシロスジカミキリの存在を感じ取ってみてください。クワガタなどもいるはずですよ。