徐々に活気づくお花たち
地面の緑が濃くなってきました。日差しの変化を自然は敏感に感じ取り、春に備えて動き始めています。
中には気の早い子達もいます。
毎年この時期になるとタチツボスミレが咲き始めます。
虫に頼る受粉方法を取るのですが時期的に大丈夫でしょうか?
一応ハエやアブの仲間が飛んでいるのは確認しているので、花粉の運搬には問題ないかもしれませんが効率は悪そうですね。
寒さからかかなり小型のタチツボスミレです。
スミレの花はとてもユニークな形をしています。
花の後ろがヤドカリのお尻部分のようにグッと伸びているんですね。用語でいうと"距(きょ)"と呼ばれます。
これは花を深くすることで蜜を舐められる虫を絞り込んでいるとされます。早春の植物にはこうした細長い形の花が目立ちます。
スミレの多くが春に咲きますが、この時期に現れるビロードツリアブと言う口の長いアブに花粉の運搬を頼っているのではないかと思います。
こちらは死骸ですが長いストローが見えますね。
空中にはばたきながら停止するホバリングと言う技を駆使して器用に蜜を舐めます。もう少ししたら林縁を飛び回るはずです。
やや形は違いますが、ヒメオドリコソウなどのシソ科もユニークな形をした花の持ち主です。
こちらも寒さからか花がまだまだ小さいですね。
やや雰囲気の掴みづらい写真ですが、ちょうど鍋をつかむグローブのような姿をしています。
ハンドパペット(手を入れて遊ぶ人形)が分かればイメージしやすいかもしれません。
彼らも花が長くなっており、口の長い昆虫類に花粉の散布を頼っています。
早春の植物は先ほどのビロードツリアブやチョウの仲間たちが花粉を運ぶうえで重要だと知っており、それに合わせて形を変えていったのでしょうね。