あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

梅の花の咲く時期が到来。1月2月は花だけでなく、枝の剪定にもいい時期です。

赤色の梅が咲き始めています


花の無い時期の静寂を打ち破り、いよいよ美しい紅梅の花が見え始めました。

この時期の梅から公園の花の一年が始まります。梅→ロウバイ→マンサク→ミツマタというように毎年寒い季節の中で春に向けて進む季節のさまを感じることができます。今回は咲き始めのフレッシュな梅の様子を見ていきましょう。

梅の花じっくりみたことある?


梅の花はいわゆるバラ科の仲間の植物であり、市場にも並ぶイチゴやリンゴ、モモといった人気の果物からソメイヨシノに代表される桜の仲間まで幅広い種類の植物が含まれます。バラの仲間はだいたい5枚の花弁を持ち、中心におしべを沢山つけます。
同じバラ科の別種であるヤマブキやクサイチゴの花、ソメイヨシノの花を見比べてみましょう。

色は違えども花びらの数と中心の雰囲気ともに似ていることが分かりますね。

梅の花付きにも注目

上記の点から梅や桜は一見すると似ており、図鑑上だけで見ると区別に困るかもしれません。しかし咲く時期が違ったり花の付き方が違ったりと細かな違いが見られます。
まずは梅の花付きを観察してみましょう。

見やすいように見上げてみました。梅はどのようについていますか?

見ての通り枝に張り付くようについていますね。そして点線を引いたかのようにある程度感覚をつけて咲いています。

一方で桜はどうでしょうか? 

花の密度が非常に高く、そして花に緑色の柄がついていますね。(写真右下参照)花だけ見ると似通っていますが、細部を見るとずいぶん違うことが分かります。
似た仲間であっても違うポイントがありますので注意して観察してみましょう。

梅の枝と花付きの秘密

続いて開く前の芽に注目してみます。木の全体を見ると長々と伸びる枝から細い枝まで様々です。枝つきごとに比較してみましょう。

太い幹から分かれた小さな弱い枝に丸いふくらみがたくさんついていることが分かります。こちらの長い枝はどうでしょうか?

立派な枝なのに花芽がついていませんね。

梅は小枝に花をつけやすい植物なのです。そして毎年出るぐんぐん伸びる枝にはつきにくいのです。

なので小枝をどのようにして増やすかを意識して剪定してあげると花を増やすことができます。

分かりやすいものは剪定位置の調整ですね。枝先をチョンと切ってあげると切り口の下からいくつかの芽が出ます。先端に近い場所を切るほど短い枝が出て、根元に近いほど長く伸びる枝が出てきます。うまくコントロールすることで花芽の付く小枝を増やせるのです。

また、落葉樹である梅はこの時期が剪定に適した時期でもあります。美しい花を見つつ幹に目を向けてあげるとその木が持つ樹形に目が向くはずです。
冬以外の時期は葉が茂っており、なかなか幹の流れを見ることはできません。この時期に枝を切ることは花の付いた枝を切ることになってしまいますが、形を整えたい方にとっては絶好のチャンスですよ。

そして枝に手を付け始めると気が付くはずです。梅の木のあまりの硬さに。

樹木の持つ生命力を感じたい方は素手で作業しても構いませんが、基本的には厚手のグローブなどを着用することをお勧めします。堅い樹皮でかなりケガをします(泣)

梅と生き物

最後に梅と生き物の話です。
寒い時期に花を咲かせる梅ですが、いろいろな生き物と関りのある重要な植物です。
まず蜜が大好きな鳥たちに大人気です。ヒヨドリやメジロといった鳥が花によくやってきます。

真冬に花を咲かせることでライバルが少なく、効率的に花粉を運んでもらう戦略なのでしょう。赤色をしているお花は鳥に見つけてもらいやすいようです。

ツバキやサザンカと同じように梅は花粉運搬の一部を鳥たちに頼っており、よくご飯を食べに来ていますが赤いですよね。

そして鳥の訪花により彼らがウンチをすると、それが自然界の肥料として植物に吸収され、葉や枝の成長を助けています。 訪花性の鳥と植物の関係はとても重要なものなのです。

またもう少し時期が進むと昆虫たちも梅の花にやってきます。よく見かけるのはやはり果物の受粉でおなじみのミツバチの仲間やハナアブの仲間です。
しかし中にはチョウの仲間などもおり、あいかわ公園の3月には貴重なコツバメの姿も見ることができます。

コツバメはツツジの仲間を食べるチョウであり、ツツジが多いあいかわ公園だからこそ実現した早春のコラボレーションなのです。お花好きや昆虫好きにはぜひ見てほしいですね。

その他梅などバラ科の幹に潜入する蛾の仲間や梅の葉を食べるウメチビタマムシなど梅の木は一年を通して様々な生き物が利用する植物なんですね。
梅は花に注目が集まりがちですが、ぜひとも様々な面に目を向けて観察してみてください。