あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

秋を感じるセセリチョウの仲間はかわいい姿が人気の茶色い蝶たちです。 

秋と言えばセセリチョウの季節

セセリチョウと言う蝶の仲間を知っていますか?独特の姿をした蝶なのですが、街中でも見られる身近な種類です。

私も晴の日には蝶を探しているのですが、やはりこの茶色のセセリチョウを見ると秋だなぁと感じてしまいます。
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蜜を吸っているセセリチョウはかなりおとなしいので簡単に捕まえられますね。

よく蛾に間違われている蝶なのですがなんだか不憫な扱いですね。見た目はかなり可愛い方です。

羽の模様をよく見てみると1の字のように白い点が綺麗に並んでいますね。

これがイチモンジセセリです。

シンプルにかっこいい名前をしています。種類としてはかなり普通なものなので簡単に見つかりますよ。

似た仲間チャバネセセリ

同じく簡単に見つかる種類としてはチャバネセセリがいます。
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見た目はうり二つの兄弟のようですが模様を見てしまえばはっきりと違いが分かります。

イチモンジセセリが1の字のように連続して模様をつけるのに対し、チャバネセセリは小さな白い点が間隔をあけてついていますね。

捕まえなくとも横から見れば種類が特定できるので皆様もぜひ試してみてください。
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チャバネセセリは模様が控えめなので羽を広げていても模様があまり目立ちません。

この仲間は飛ぶのが非常に上手で、バッサバサ飛ぶモンシロチョウや蛾の仲間と比べると羽の形に違いがあります。

羽を広げてみると短い羽が付いていることが分かりますね。この羽で小刻みに素早く飛ぶのです。目が慣れていないと恐らく追えないと思いますよ。

彼らは秋の七草ことススキの葉が好きなので、今の時期には大好きなものがたくさんあって嬉しいでしょうね。


セセリチョウではないものの先日の自然観察イベントでは面白い蝶が見られました。
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あいかわ公園には食草がないアサギマダラです。

蝶のイベント中に偶然発見することができ、お客様も私もとても嬉しい遭遇となりました。

彼らは海を渡って移動する大型の蝶で、数百果ては数千kmもの旅をする蝶です。これから海を越える渡りを始める途中だったのでしょうか。

いずれにしてもとてもラッキーな遭遇でした。捕まえたのもラッキーですし幸運にまみれたイベントでしたね(笑)
蝶にはまり始めた矢先でいい運気が向いているようです。皆様もセセリ、タテハ、シジミなどの蝶を観察してみませんか?

きりたんぽのように咲く紫色の花カワミドリ。色々な虫たちの集まるお花

紫色の穂のようなお花

石小屋ダムの方面は公園内とはさっぱりと景色が違います。特に草原の部分では背丈の大きな植物がバッチリとエリアを覆っており、とにかくにぎやかな印象です。1つは以前紹介したメハジキなのですが
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目を凝らしてみると別の紫色も見えるようです。
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メハジキよりもより細かいこの雰囲気はカワミドリでしょうか。初めて見た植物なのですがこんな身近にあるとは思わなかったので少しびっくりしています。柱のように花が付くのできりたんぽのような雰囲気がありますね。この見た目ですが背丈はとても大きく1mに満たない位の大きさです。今の季節では花も少ないためたくさんの蝶たちがこの花に集まっています。
カワミドリの花には面白い特徴があります。このきりたんぽ状の花の塊に近づいてみましょう。
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紫色の花からなにやら細いものが飛び出しています。これはおしべなのですがこのカワミドリの花はおしべが花よりもずっと長いのです。そしてさらに面白いのがこの花を支えるガクの部分です。花を根元から包み、守るのがガクなのでこの紫色の花の付け根を見てみましょう。するとまるで花のようにも見える紫色の部分が見えますね。
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この部分です。実はここは花ではありません。花が抜け落ちた後にもこのようにしっかりと紫色のガクが残っているため、きりたんぽ状の部分は花が終わった後でもしっかりと紫色に見えるのですね。
花の形とこのガクからカワミドリではないかと判断しました。初めて見ましたがいかにもシソ科と言った雰囲気でいいですね。豪快です。
加えてこのカワミドリにはとても強烈なハーブ臭があります。
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葉を見てみましょう。香りを利用するために栽培もされるこのカワミドリの葉にはたくさんのぶつぶつがあり、この腺点(せんてんは)香りとかかわりがある植物の不思議の一つです。これだけぶつぶつがあるので香りの強さもすごそうなイメージが湧きますよね。私の感想はハッカが近いです。

花も面白い形をしていて香りにも面白い不思議があるカワミドリ。虫もたくさんやってくる自然好きにはたまらない植物ですね!

シジミチョウの魅力

どこでも見られる蝶の代表格としてシジミチョウはほとんどの方が知っていることと思います。私も身近な蝶として知っていたのですが調べてみるとなかなかに面白かったので皆様にもその面白さを伝えてみようかと思います。
ところで、身近なシジミチョウと言えばどんな姿を思い浮かべますか?



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恐らくほとんどの方がこの子の姿を思い浮かべたと思います。この蝶はヤマトシジミと言う蝶で、街中でも比較的普通に見られる種類です。真っ白な体に黒いゴマのような点が特徴的ですよね。この模様の配列を気にしたことがあるでしょうか?実は白地に黒い点が入るという点ではこの模様の配列だけでヤマトシジミ、ルリシジミ、シルビアシジミと言う3種類がいます。

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ヤマトシジミの模様を見てみましょう。よく見ると左上の点から半円を描くような模様が綺麗につながっています。?マークの上のフックの所を横に伸ばしたような形ですね。この綺麗な模様がヤマトシジミの特徴です。もう1つは目を見てみましょう。何色をしていますか?


灰色をしていますね! これがルリシジミの場合真っ黒い目をしています。ルリシジミを捕まえられていないので写真はありません。
このヤマトシジミがなぜ街中であれだけ普通に見られるのか皆様は疑問に思ったことがありませんか? それは食草と深いつながりがあります。
ヤマトシジミはなんとカタバミを食べるのです!
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カタバミと言えば3枚の葉をつけ、酸味が特徴の葉でしたね。なのでもしもシジミチョウがこのカタバミに止まっていればヤマトシジミの可能性が高いです。食草から見られる環境を考えてみればこの草は市街地のコンクリートの隙間でも生えることができますので、どこでも見ることができるというわけですね。少し面白い視点だと思いませんか?
さらにシジミチョウの魅力と言えば色は欠かせません!もちろん種類に寄るのですが羽の表側の模様がとても綺麗なのです。虫好きの人の中にはシジミチョウ類を特に好んで集める人もいますからね。
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と、意気込んで表側を撮ってみたものの、やはりカメラではこのラメのような美しい光沢はしっかり映りませんでした。実物ははっきりと青白い光沢があり、太陽に当たるとキラキラと輝いています。しかも個体によって輝きが違うので色の濃いもの、薄いものと捕まえる楽しみがあります。
どうやらかなり奥深い世界のようですね...

私もただいまとてもはまっている秋の蝶々採りの魅力を皆様にもぜひ感じて欲しいので、しばらく土日の自然観察ガイドのテーマとして秋の蝶々採りを入れようかなと思います。興味のある方はぜひ一緒に蝶を採って色の違い、模様の違いを楽しみましょう!

毒を持つナス科の植物 おいしそうなヒヨドリジョウゴに注意

自然の中では毒を持つ種類がいますが、山の中の方に行かなければ大丈夫! などと思っているとうっかり痛い目にあいかねません。今日はおいしい実のように見えて実は有毒な植物を紹介します。
花自体はとてもかわいい花です。
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ナス科の花は写真のようにバドミントンのシャトルのようになる...というわけではないのですが、このヒヨドリジョウゴと言う花では度々見られます。羽根つきをしたらよく飛びそうな姿をしていますよね。ナス科の仲間は花弁が5枚に分かれ、先端にバナナのようなものが身近では見られます。
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例えばこちらは同じナス科のアメリカイヌホオズキと呼ばれる有毒植物です。バドミントンのシャトルのようなこの花もしっかりと開くとこのような姿をしています。
白い花で5つに分かれた花びらを持ち、バナナのようなものがちゃんとついていますね。この姿の花を見かけたら口にしないように気をつけましょう。
ナスの仲間はしっかりとした茎を持つ草が多いのですがこのヒヨドリジョウゴは違います。
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写真のように草の先端は細く巻くようになっています。このことからもつる植物であることが分かりますね。よく見てみるとこのつるや茎にはかなり細やかな毛が生えていることが分かります。ここは重要なポイントで毛が生えておらず、花が少し紫色に近いマルバノホロシという植物があるのです。見分ける重要なポイントに毛はよく使われるので一つ覚えておいてくださいね!
このヒヨドリジョウゴは葉もなかなかに独特な植物です。
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一概には言えないのですが写真のように葉の付け根が左右に突き出て葉全体が3つに分かれたかのような姿をすることが多いです。もちろん中には左右ではなく右だけに飛び出て2つに分かれたように見えるものなどもあります。この辺の個体差が植物の難しい所ですね~。
そしてナス科の多くに欠かせないものが毒の存在です。このヒヨドリジョウゴは秋の終わりごろからそれはとても美味しそうな実をつけるのです。
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まだ時期ではないものの写真のストックがあったので冬の写真からもってきました。本来はまだ実はなりません。12月頃の写真です。
見ての通りサクランボのようにおいしそうな実をつけます。おいしそうながらも私は毒があることを知ってしまっているので口にしたことがありませんが、話によれば甘い味がするそうです。植物の中には有毒でありながら強い毒を持つ植物がいるので子供が口に入れないように注意する必要があります。
秋から冬にかけて色々とおいしいきのみが自然では見られます。しかし十分な知識なくしてそれらを食べることは叶いませんのでまずはしっかりとポイントを見て種類を見分けられるようになりましょう。

とげとげの種が目立つ植物イノコズチ 日陰でも日向でも見られます。

秋は初夏に咲いた花が実をつけたり、これから冬に向けて花を咲かせたりと植物達としてはめまぐるしく変化していく時期です。

その中でもあいかわ公園では花の後に変形する植物をまさに今見ることができます。

変形と言えばロボット物のアニメなどで子供たちが胸を躍らせるシーンなわけですが果たして今回の植物はどのように変形するのでしょうか?
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こちらが本日の主役イノコズチです。ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチがいますが微々たる差なのでイノコズチとくくってしまいます。
イノコズチはヒユ科という馴染みのない植物の仲間なのですが野菜でおなじみのほうれん草の仲間です。

そのようにとらえてみると葉の雰囲気がほうれん草っぽい気がしませんか?

写真のイノコズチは恐らく花が終わった後だと思われます。辺り一帯では変形が始まっている場所も見られたからです。このイノコズチは花の受粉が終わった後にその形を変えるのです。
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ただいま変形途中の花も見つけました。花を終えて閉じた部分が真横を向くのではなく少しずつ下に角度を変えていくのです。

おおよそ90度ほども角度を変えるわけですからとても不思議ですよね。一枚目と比べると下からどんどん変形していっているようです。

ちなみに各花の後についている細長い針状の物体は付属体というもので、ここにも注目してあげるとこの仲間を見分けやすくなりますよ。
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完全に変形し終えた実がこちら。雰囲気は最初の物と全く別の物になりましたね。

ピシっと張り付いて茎の一部として同化しているようにすら見えます。そして気づいたでしょうか? 先ほど伝えていた付属体が必ず外側を向いているという彼らの戦略に。
植物の中には動物の毛、肌などに張り付いて種を飛ばすものがいます。彼らは変形することで針状の付属体を外に向け、種を他の生き物にくっつける準備をしていたわけですね。そう考えるとこの1手間にもとても大切な意味があるのだと思い知らされます。

このように目に見える自然の変化と言うのには大抵何かしらの意味があります。普段街中を歩きながら不思議に思ったことは、恐らくなにかしらの生き物たちの知恵の結果なのでぜひたくさんの不思議を探してみてください。

酸味が素敵な山菜 イタドリはスカンポの名で有名

石小屋ダムの方面や冒険広場の上の道路沿いを歩いていると真っ白に染まった綺麗な花を見ることができます。雪景色と言えば過大表現かもしれませんが、花全体がぶわっと白い花で覆われているためとても綺麗なお花なのです。9月と言えばイタドリ、秋のはじめと言えばイタドリ。特に川沿いにお住まいの方にはなじみ深い植物かもしれませんね!
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春にはユキヤナギと言う真っ白に咲く植物がありますがそれに負けないくらいの花盛りですね。こちらが今旬のイタドリです。花よりも山菜として食べられる茎の方を知っている方も多いかと思われますがまずは花を見てみましょう。
イタドリはタデ食う虫も好き好きでおなじみのタデ科の植物で、そのことわざの通り好みが分かれるような強い酸味があります。これは口にしてみると分かりますが酸っぱいねと思わず出るくらいには酸味があります。
昔ながらの言葉でいえばスカンポですね。田舎の子どものおやつだったそうですよ。
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タデ科の花を見てみましょう。長く伸びたような穂に見える花も近くで見てみると1つの花がたくさん集まっているということが分かります。さらにラッパのように筒状の部分が長く伸びて茎についていることもわかりますね。タデの仲間は花弁がすべてくっついている合弁花(ごうべんか)と言う花を持ちます。白い花がこれだけ密集してくっついていると美しいですね。
このイタドリは先ほども述べたように茎の部分を食べることができます。
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茎は節の所で赤くなっており、毒々しい感じですがこの表面の皮をむいて中身の柔らかい部分を食べます。生では正直あまりおいしくありませんが加工することでおいしく食べることができます。イタドリを使ったメニューとしては同じく食材であるルバーブを参考にするといいと思います。私はジャムを作ったことがありますが、独特の酸味が死なずに砂糖の甘みとうまくまじりあい、食べたことのない風味を味わうことができましたよ。茶色のジャムなので色が最悪なのが欠点ですが(笑)
ただしこのイタドリは生で食べすぎるとお腹を壊してしまうので生の食べすぎには注意しましょう。

秋を代表する昔ながらの食材イタドリを探してその味を堪能してみてはいかがでしょうか。

ハチドリのような蛾

パークセンター前の花壇をちらちらと見ながら歩いていると私の真横をとてつもないスピードで通り過ぎ、そのまま花の蜜を飲み始めた虫がいました。探しているとなかなか見つけられないハチドリのような形をした虫は捕まえようとするとなかなかに難しいのですが、運よく捕まえることができました。なので室内でじっくりとその姿を見てみることにします。
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この姿を見た方の多くは飛びやすそうと思ったのではないでしょうか。スマートな体に三角形に張り出した羽は飛行機を下から見た時のような姿に似ています。このホシホウジャクと思われる蛾は、蛾の仲間の中でも特に飛ぶのが上手な蛾で、動体視力の悪い人であれば追いかけることはできません。虫をあまり見ていない人にはすごいスピードで飛ぶハチに見えるかもしれませんね。それくらい早いです。なんせはばたいている羽が速すぎて見えません!
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多くの蛾の仲間は羽を広げてばっさばっさと体が重そうな雰囲気を出しながら飛びますが、この仲間は無駄を省いて必要な要素にだけ絞り込んだのです。なのでこの小さな羽ですごいパワーがあります。指で掴んでも平気で抜けられますし、このはばたいた付近にはミニ扇風機顔負けの風が発生します。涼しくて夏場にはうれしい虫ですね。この形からも分かるように彼らは細やかな羽ばたきを繰り返します。そしてホバリングと言う空中で静止する特技も持っています。空中で止まって花の蜜を吸うのが彼らの食事方法なのです。かっこいいですね!
では傷つけないようにやさしく挟んでお顔を見てみましょう。
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目がかなり大きいのと口であるストローの部分が大きいですね。下から見るとさらに羽の薄さが分かります。写真で見ると持つときに足を閉じていますが実際に飛んだりするときにも無駄をなくすためか足をたたんで飛びます。こう聞いていると飛行機が離陸のためにタイヤを出し入れするような感じにとらえられますね。飛ぶことに力を入れている種類なのです。

ホシホウジャクの体を見てきましたが彼らは意外にも身近に生えるヘクソカズラの葉を食べて育ちます。なので都会であっても見つけられる可能性が十分ある子です。同じ仲間のオオスカシバも園芸のクチナシなどを食べるため身近で見られます。もしも散歩などをしているときにものすごい速度で飛ぶ虫がいたらこの仲間を疑って探してみてくださいね。