あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

動物の痕跡は意外な所に

朝の冷え込みが強い日には園内の木道の上に氷が張っていることがあります。滑りやすくなっているので注意が必要なのですが、滑りやすいのは人間だけではないようです。
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このようにかなり綺麗に日陰の部分に薄い水滴の凍ったようなものがくっつきます。

こういった道沿いの端を見ていくことが動物の痕跡を探す手掛かりになります。これは場所も重要になるのですが、何か動物が通りそうな場所に絞ってみてみるのが効率的ですね。
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木造デッキの上を歩きながらよく目を凝らしてみると写真のような2本の線が綺麗に入っている場所を見つけることができます。これこそ動物が残してくれた跡です。

固い蹄を持ち、夜の公園にやってくる動物と言えばシカさんですね。

山からやってきたシカさんは土の上を歩いてくるのですが、園内の一部の場所を通過するときにはこのデッキの上を通らなければなりません。なのでよく使う場所には木の上に付いた苔などがめくれた後がはっきりと残るのです。
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ここは大人気スポットのようで、かなりの数の足跡が残されています。見たところデッキに乗って横に移動しているわけではなく、そのまま写真左下方向へ進んでいるようですね。帰りは恐らく逆のルートでしょう。
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気になるこの足跡の方向を見てみるとデッキを超えた先に道が続いていることが分かりますね。動物が使う通路なので獣道と言うやつです。藪などではありませんが、こういった視点で眺めてみるとあちこちに痕跡が残されていることが分かりますよ。

冬場に咲く花と言えば青色のオオイヌノフグリ

寒い日が続いています。特に朝の冷え込みは強く、去年は今の時期にぽつぽつと咲いていた花たちも姿を見せてくれません。

そんな中で咲き始めたのがオオイヌノフグリと言う植物です。これは名前は知らなくても誰もが見たことのある花だと思います。
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青色の花と言うのは数が多くないので貴重です。加えてこんな真冬に花を咲かせてくれるという点でもうれしい存在です。

彼らはたまたま今日咲いていたのではなく、ライバルとなる他の花が少ない今の季節に咲く戦略を取っています。
この子たちはじっくり見てみるととても綺麗なので、身近な所で見つけたらルーペなどの道具を利用して拡大してみてください。
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この仲間はクワガタソウの仲間で、雄しべの部分(写真中央)に1対のクワガタの顎のような形があるのが特徴です。
そこも面白い点ですが、今回は花びらの模様に注目していきましょう。

オオイヌノフグリの面白い点は花の色が個体によってかなり違う点にあると私は思います。
これは写真ではそこまで分からないかもしれませんが、青色の濃いものや白が強いものを探すのが面白いのです。
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これは日が当たりすぎて白色がぼけてしまっていますが、青色の濃さが前の2枚の写真(別個体)と比べるとかなり濃いことが分かるかと思います。

自分だけのお気に入りの色を見つけて自分のお気に入りのアングルや色の映えそうなアングルを探してみると、あっという間に時間が過ぎてしまいますね。
オオイヌノフグリの場合はお気に入りの花を見つけても一日で花が終わってしまうため、チャンスはその日にしかありません。
逆に言うと今日と言う日を逃してしまうとお気に入りの子にあえないかもしれないわけですね。

そんな一期一会な出会いをカメラやルーペを持って体感してみてください。

一番大きな霜柱はどれだ?

朝あいかわ公園にやってくると、冷え込みが強かったからか、地面がかなり盛り上がっていました。
霜柱ができていたのですがかなり大きなものが期待できそうであったため、大きさを比較してみることにしました。
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凄い盛り上がり方ですね。山のふもと付近なだけあってか寒気も強く、見たことの内容な霜柱ができています。

霜柱はできても1cm位の印象だったのですが、これはそれを余裕で越えてきそうな雰囲気ですね。
場所によって大きさが違うようなので、いくつか見比べてみましょう。
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適当なものを一つつまんでみました。氷の柱一つがやはりしっかりとしていますね。霜柱をゆっくり見る機会と言うのは意外とないのでじっくり見たのは久々です。結構綺麗な形をしているのですね。
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根こそぎ取ったものをアップで撮ってみました。光をしっかり当てていなくてもなんだかキラキラしているようです。よく見てみると細長く立ち上がる氷の中に縦に入る線のようなものが入っています。恐らくこの荒さがあるからサクサクと崩れるのかもしれませんね。
なんだかしらたきのようですね。

辺りを見ていると一際盛り上がる集団を発見しました。
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こうして氷たちの中にカメラを入れてみると幻想的な雰囲気が広がっていていいですね!

それはともかくとしてとても大きな霜柱ですね。一体どれくらいの大きさなんでしょうか。取り出してみましょう。
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大人の人差し指の第二関節位の長さがあることが分かりました。一番大きいものでは4cm程のものがありましたよ。
これが辺りを覆いつくしているわけですから、周辺の高さは不自然なくらい上がっていました。

恐らく皆様のお住いのエリアでも霜柱は見られるのではないかと思います。目線を下ろして足元の氷の背比べをしてみてはいかがでしょうか?
寒いですが冬ならではの楽しみ方ができると思いますよ。

巨大なトゲ植物 カラスザンショウ

葉が落ちる冬の時期であっても特徴のある植物であれば見分けることができます。中でもとげのある植物は数も少ないので葉がなくとも関係なく種類を調べることができます。

トゲのある植物と聞いた時、皆様はどのような姿を思い浮かべるでしょうか?バラが多いですかね。
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カラスザンショウのトゲは身近なバラなどと比べると小さめです。しかしそれは1m2m程の木の場合の話です。この木は成長すると樹高は10mをも超え、その木の根元から枝先にかけてトゲが生えているのです。そしてこれぐらいのサイズになると1cm前後のトゲがやたらめったらに貼り付けたように付いています。近場で見ると存在感抜群です。

こんな大木ですが、ミカンの仲間であるため特有の香りを楽しむことができます。似た植物では山菜で有名なタラノキがあります。

1mや2m程のタラとカラスザンショウは、山菜初心者が間違えやすいものですね。
トゲも印象的なのですが、カラスザンショウ最大の特徴はその実でしょう。かなり特徴的です。
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この小さな粒粒の集合体がカラスザンショウの実です。実にはよく見ると灰色っぽい部分と黒い部分があることが分かりますね。黒い方が種です。

このタネは鳥たちに大人気であり、冬の初めから終わり(枝についていれば)まで小鳥たちが夢中で食べているのを見かけます。
季節的にはかなり落ちてしまっていますが、落ちたものを拾ってみるとスパイスのような面白い香りが楽しめます。
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実から香っているのかそれとも枝などの全体から香っているのかはさすがに今の季節には分かりませんが、いい香りです。

このカラスザンショウは意外と身近な植物です。
先ほども述べたように鳥が種を食べるので、そのまま鳥と一緒に移動して色々な所で芽生えられるからですね。


植物の中には鳥の名前を大きさの物差しとして使うものがいます。例えばスズメノエンドウやカラスノエンドウです。
スズメは小さくカラスの方が大きいですよね。
カラスザンショウと言うのはつまり、サンショウよりもより大きいということを指しています。

一番いい笑顔の植物はどれ?

ブログのカテゴリーを細かく変更しました。
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冬の楽しみ方の一つとして冬芽があります。そしてもう1つの楽しみ方が枝の落ちた後に残る葉痕(ようこん)と言うものです。木毎にかなり個性があり、皆様もぜひ色々な木々が出す顔を探してみてください。
私も風の子橋に顔を見に行ってきました。
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オニグルミと言う美味しく食べられる植物の仲間です。失敗した福笑いのような姿になってしまってますね。

もう少し目の感覚が近ければ人間の顔っぽく見えたのかもしれません。これは顔の姿に似せることで敵を威嚇している ような戦略ではなく、この部分と言うのは葉とつながっていた場所なんですね。

つまり葉に水分や栄養を送っていた血管のようなものの跡だと思ってください。なので植物によって形が決まっています。個性も豊かなので見ていくとなかなか面白いんですよ。
何種類か見比べて一番いい笑顔の植物を見つけ出しましょう!

当然同じ植物の仲間なので似たものと似ていないものがあります。
広場にあるアジサイを見てみましょう。
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葉痕ももちろん個性はあるのですが、これを顔に見立てることによりこの部分の上に付く冬芽が髪の毛のように見えますね。

クルミは強風に打たれている人の髪の毛のようです。アジサイは何でしょうか? たとえに困りますね。烏帽子のような雰囲気位しか思いつきません。

顔は鼻が目立ちますね。クルミと比べるとかなりかっこいい顔立ちをしています。トビなどの目つきの強い鳥に近いものを感じる鋭さがあるように見えますね。

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私の一押しは今のところこのフユザンショウの葉痕です。

サンショウの仲間はトゲを持つのですが、フユザンショウに付く1対のトゲはこれがいい感じに手のように見えるのです。顔の感じもハニワみたいで可愛いですよね。

顔と言われれば納得できなくもない姿です。 加えて顔の上に帽子をかぶっているのもポイントが高いですね。この帽子も冬芽です。

見た目は可愛らしいですがトゲはかなり鋭いので油断しているとズボンやコートに刺さります。気をつけましょう。

今日紹介したのはわずかに3種類だけですが、それでも結構な違いがあることが分かったかと思います。木を見ると見つけられると思うので興味の湧いた方は葉痕とにらめっこしてみるのもいいと思いますよ。

ミツマタの不思議

マンサクや紅梅に始まる春咲きの花たちの流れを継ぐのはミツマタと言う植物です。

前の2者に比べると知っている方の割合は落ちる印象を受けますが、とても素敵な花なので街中で見かけた際にはミツマタが咲いている!と思っていただけると嬉しいです。
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園内では黄色のミツマタが咲き始めたばかりです。写真に写っている球形のものすべてが蕾なので、これがすべて咲いた時の花の密集具合のすごさは想像できますよね。
ミツマタに関してはこの時期の鉄板のネタなので既にご存じの方も多いかとは思いますが、なぜミツマタと言うかご存じでしょうか?
ヒントは三つ又です。



ヒントと言うよりは答えなのですが、このミツマタは枝が3つに分かれるという大変ユニークな特徴を持っているんですね。
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下から伸びているのは枝の部分ですので、4つに分かれているわけではありませんよ。

伸びた先の枝が基本的には3つに分かれます。剪定などの条件によって、枝の分かれ方が変わるような印象を受けます。
しかし、これだけでは私が意図的に3つに分かれたものを撮った可能性も否定できませんね。
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と言うことで引き気味にとってみました。枝をたどってどのように分かれているのかあみだくじをたどるように探してみてください。

基本的に3つに分かれていることが分かるかと思います。
あいかわ公園ではミツマタがたくさん植えられているのですが、実はあいかわ公園のある地域と言うのは糸や紙で有名な場所なんですね。

ミツマタはその繊維を漉いて紙として利用されてきた側面もあるので、地域の文化と関連付けているんですね。

また、毒のある植物なので鹿に食べられないといういい点もあります。いい植物ですね。

ミツマタの枝分かれを楽しんでいると変なものを発見しました。
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どうやら枝分かれするはずの部分がすべてくっついてしまい、3つ分の蕾が1つの枝先に集まっているようです。その結果爆弾のような姿をしてしまっているんですね。

これはこれで植物的にはよくないのでしょうが見た目のインパクトとしては大きなものがあります。
このまま花が咲くのかどうか見ていきたいところですね。

針葉樹の葉を見てみよう スギ編

2月に入り山の中もかなり茶色く染まってきています。この時期と言えば花粉の時期ですよね。スギ花粉はあまりにも有名ですがスギと言う植物をじっくりと見たことのある人は少ないのではないかと思います。
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丁度スギの葉が落ちていたので拾ってきました。スギの葉はこれまでの2種とは大きく違い、上向きに厚みのある葉が向いています。

先日のヒノキと違い、うろこ状の葉ではありませんね。この特徴からも非常にわかりやすい種類となっています。
昔は植林が盛んにおこなわれていましたが今はそのままにされてしまっています。
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この写真の雰囲気を覚えておきましょう。野山に行けば大抵見つけられると思います。

あらゆる方向にこの少し硬めの葉が伸びているため、乾燥したこれをうっかり踏みつけてしまうと驚くほど痛いです。

山の外れた道を歩いた経験のある方は恐らくちぎれたりしたスギの枯葉が靴の中に入って痛い思いをしたことがあると思います。靴下と靴の隙間にぴったりとハマるんですよね(笑)
スギと言えば数十mにもなる大木の印象が強いかもしれません。しかし、その根元では次から次へと次の世代のスギたちが芽生えてきています。
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あいかわ公園に1度でも来園されたことのある方であれば道沿いにこのような丸いイガイガが落ちているのを見たことがあるかと思います。

これがスギのタネで、松ぼっくりにちなんでスギぼっくりです。 
ところで松ぼっくりをマツのタネだと思っていませんか?
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松ぼっくりは実は種を収納するものです。この写真では見られませんが、この長方形の隙間に本当のタネが入っています。

スギぼっくりも同じで、このイガイガの中に非常に小さな種が入っています。秋ごろになると園内のスギがある道はスギのタネが舞い散る道に変わります。
彼らは風で種を飛ばすタイプなんですね。

これから花粉の本格的な時期に入るスギですが、花粉以外にも少し知ってみると見方が変わるかもしれません。