ランの仲間は野生で見つけることが非常に難しい種類です。かつては割と生えていたそうなのですが園芸ブームによって自生していたものがどんどん取られて売りさばかれてしまったのです。自然の物は自分の物だという考えの人が減らない以上減少は避けられません。ランの仲間でも最も身近な1種類はこの園芸用のシランではないでしょうか。
あいかわ公園にもたくさん植えてあります。もともとシランは自生種なのですが先ほどの経緯もあって自然下では滅多に見かけることはありません。園芸用でも近くで見られるのはうれしくありますね。
ランの仲間は先日のシャガと同じく花とガクが似た形のタイプで、6枚の花弁を持ちます。外側に5枚中央に1枚をつけるものが多いです。
時計でいうと7時 12時 15時がガクが変化したもので10時 2時と中央が花びらです。園芸用とはいえ見た目は自生の物と同じなのですが、とても美しい造形ですよね。
ランの仲間の多くは写真のように花をつける茎(かけい)が葉の隙間から伸びてきてこのような形の花をつけます。ベースの形が似ていますが、種によって細部が異なってくるため大変面白いのです。さらに言うならば葉の形にも面白いものが多いです。
シランの茎の根元ですこのように茎を抱っこするような形はラン科によく見られるもので、野外で見つけると一瞬でテンションが上がってしまうほどの衝撃を持ちます。外ではなかなか見つかりませんがこのように抱く葉を見つけたら葉の形にも注目してみましょう。
普通の植物の線(脈と呼ぶ)はまるで網目のように葉をめぐるのですが、イネ科やラン科などは彼らよりより進んだ植物であるため葉に対して平行な脈を持ちます。茎を抱いて平行な脈であれば貴重なランの仲間である可能性は高くなります。山の中でそのような葉を探して運命的な出会いをすると癖になりますよ。まるで小さいころに木の種類もわからず偶然カブトムシを見つけてしまったかのような感覚に陥ります(笑)
あいかわ公園では見つかっていませんが、今の季節であればキンラン、ギンラン辺りは山で比較的見つけやすいです。薄暗い林床などで見つけられますよ。
野外で見つけて仮に持ち帰っても残念ながら成長することはありません。なぜならランの仲間は周辺の菌類と共生して栄養をもらっているからです。見つけたらそっと見守ってあげてくださいね。