あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

高級つまようじの材料 クロモジの春の姿

あいかわ公園や南山を歩いていると、クロモジと言う植物がやたら目に入ります。
甘いようなスパイシーなような独特の香りが楽しめるクスノキ科の仲間で、半日陰のような環境で見られることが多い印象ですね。

彼らは和菓子に使われる高級つまようじの材料として使われ、クロモジ楊枝と言われればピンと来る方もいるのではないでしょうか?
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クロモジの葉は見慣れてくるとピンとくるようになるのですが、初めて見るようであれば恐らくどこにでもある葉に見えると思います。

この仲間は特有のいい香りを持つので、クロモジっぽい葉を見かけたらちぎって香りを嗅いでみるのもおススメですよ。
葉はサーフボードみたいな形をしていますね。
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クロモジ楊枝と言えばあの厚みのある形と、あるだけで高級感の増す樹皮ですよね。これは茎そのままでも名残を見ることができます。

材料なだけあってこのまま先をとがらせるだけでもおしゃれな楊枝が出来上がりそうですね。
クロの名が入るだけあって黒い木の皮を持つのです。 そしてクロモジは低木なのであまり大きくはなりません。私が見かけるものも大抵1.5mくらいですね。

3月には同じクスノキ科のアブラチャンのお花を紹介しました。
aikawa-park.hatenablog.com
(タイトル写真はキブシです)
同じ仲間のクロモジもやはり同じくらいの時期に咲きます。アブラチャンよりは遅いのですが、見つけた時では少し遅い位でしたね。
花が一応残っていたので紹介します。

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ブーケみたいで可愛らしいですね。小さな花が根元から花火のように枝分かれしているんですね。結構小さいのでなかなか気が付けないタイプの花と言えるかもしれません。

植物の花は時期があっという間に過ぎてしまうのでうっかり見過ごしがちです。しかし、皮や枝であれば長い期間見ることができます。華やかさはないですが、今回のクロモジのように特徴があるものも多いので、じっくり見てみてはいかがでしょうか?

あいかわ公園の自然に興味の湧いた方は、下のカテゴリーや月別の記事からたくさんの記事を読むことができるのでぜひ御覧ください。
黒い三角形を押すと色々なジャンル別に読めます。また、リンクからはツツジの図鑑や園内で見ることのできる花をまとめた大ボリュームの図鑑も見ることができます。
インスタグラムでは旬の写真を更新しています。あいかわ公園で検索してみてくださいね。

赤色の新芽を出すカシワみたいな植物 名前はいったい?

植物の名前は見た目のそのままが名付けられることも多く、ある特徴に注目すれば名前が分かってしまったりします。今日は皆様にこの植物の名前を当てていただこうかと思います。
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新芽の時期なので色々な植物が芽を出し始めていますが、新芽が赤いとなると種類はだいぶ絞られるように感じます。つまり、名前を付ける時のヒントとなれるポイントと言えますね。赤色の新芽...皆様なら何と名づけますか?
アカイメ? アカメ? アカノメ?それともアカシンメでしょうか?
そしてもう1つ名付けられやすい特徴があります。それは葉の姿や形、特徴などが似た植物があることです。
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とあるお菓子に使われる葉にまあまあ似ています。5月の連休中に口にする機会がある方も多いあのあんこが入ったもちもちのお菓子です。
食べたことのある方は柏餅の葉の雰囲気が分かりますか? 少しざらつくようなそれでいて少しふわりとするような独特の質感、アレがこの葉にもあります。
これにそっくりなので名付けるなら~~カシワや、~~ガシワ、~~カシワニ(似)、~~カシワモドキ辺りはどうでしょうか?
先ほどの2つの特徴を組み合わせることで植物の名前が出来上がります! ぜひ この子らしい名前をくっつけ合わせてみてください。

私はアカシンメカシワモドキはそれっぽくていいなと思いますね(笑)



正解はアカメガシワ(赤芽柏)でした!

作ってみた名前は合っていましたか?
アカメガシワは開けた土地などによく見られる植物で、あと2月ほどするととても美しい泡のような花を勢い良く咲かせます。
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赤い新芽の時期からは想像できない豪勢なお花ですよね。お花の時期はもちろん印象に残りますが、今回のアカメガシワのように花以外の時期にも特徴を持った植物はたくさんあります。ぜひ花以外の部分にも注目して自然を楽しんでみてください。

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白いキランソウ? 塔のように豪華なシソ科の花ジュウニヒトエ

あいかわ公園の花は色々な場所で見られます。中には一般の方が入れないようなエリアでしか見つかっていない植物もあります。
その1種が今回紹介するジュウニヒトエと言う植物ですね。
これまでは道外れの場所にしか見つけていなかったのですが、登山道の入口で発見することができました。灯台下暗しとはまさにこのことですね。
平安時代からの美しい着物の重ねに付けられる十二単の名を持つ植物はいったいどんな姿なのでしょうか?
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見てくださいこの大ボリューム!
まるで揚げ物に付いた衣かと言いたくなるような雰囲気です。先日紹介したウワミズザクラにも通ずる姿がありますよね。この植物は地面から生えているのですが、地面に突然こんな白い塊が現れるので遠目から見ると最初は「アレはいったいなんだ?」と思うこと間違いなしです。
詳しくみてみましょう。
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花を拡大してみました。日ごろこちらのブログを読んでいただいている方には馴染みのある形ですよね。 この花の形が何科の植物だったか覚えていますか? 実はこの形だけで簡単に分かってしまうんです。丁度近くの草地に面白い植物が生えていたので見てみましょう。
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色や花付きはだいぶ違いますが、花の形だけ見てしまうと同じ姿をしていることが分かりますね。この姿のお花を見つけたらシソの仲間だと思ってください。スーパーで並ぶ大葉の仲間です。
こちらはキランソウの中でもちょっと珍しいモモイロキランソウですね。
ジュウニヒトエに戻ります。
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実際の着物のジュウニヒトエは十二と付くので12枚着ているように思われますが、その数は12ではなく数字にぶれがあるようです。
それをもとに考えてみると植物のジュウニヒトエはいったい何層になっているのでしょうか。
だいたい十層ぐらいですかね?
十層もある花なんてなかなかありませんから、このお花がとても印象に残るのも当然ですね。
花の時期も意外と短い植物なので、興味のある方は探してみてください。
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苦いイチゴ? その名もニガイチゴ

春らしく野イチゴの紹介をしたいと思います。最近の記事では黄色い実をつけ、とてもおいしいモミジイチゴを紹介しましたね。
今日紹介するのは種に苦味があるとされているニガイチゴと言う野イチゴです。
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ニガイチゴの花はクサイチゴやモミジイチゴと比べてかなりひょろひょろした印象を受けます。もちろん個体差はあるのですが、花ごとの形の傾向は種類を絞る時の1つの参考になります。
今年は花が咲くのも早く、半分ほどは既に花を落としているような状態でした。
野イチゴシーズンにイチゴを採れるかどうかは、この時期にどれだけポイントを探せるかにかかっています。美味しい実をかけた自然との闘いは既に始まっているんですね。
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花の後にも星形の花っぽいものが残りますが、これはガクと言う部分で花を支えていた部分です。普段イチゴを食べていてヘタとなっている部分がありますよね。あのへたがなぜくっついているのか不思議に思ったことはありませんか?
あの部分が実は花の時に花を支えていた部分なのです。つまりヘタ=ガクなんですね。花の後には果実も支えているのです。
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慣れてくると花がなくとも見分けられるようになってきます。イチゴの仲間らしく幹にトゲが生えているという点も1つのポイントですが、葉にかなり個性が見られます。葉と茎のくっついている部分を見てみると付け根が赤くなっていますね。これが分かりやすいポイントです。
茎に粉っぽいものが付いていればパーフェクトですね。

残念ながら実に関しては今の時期には無いので紹介できません。しかしニガイチゴの名からするとまずそうですよね。 実際には果実は甘いです。
種に苦味があるとされており、その情報を持っていた私は種を噛んだことがないので苦味のレビューはありません!
興味のある方はぜひ!今年ニガイチゴを探して試してみてください。

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自然観察ガイドのブログは基本毎朝8時に更新しています。明日もお楽しみに。

ウワミズザクラの花はサクラと違う?

園内ではウワミズザクラと言う桜の仲間が花を咲かせています。サクラと言えばソメイヨシノに代表されるようにピンクや白の花をたくさんつけ、春には花見を楽しんだりする超有名な植物ですよね。

ところで皆様はウワミズザクラと言う桜で花見をしたことはありますか?
恐らくないと思います。 この花はサクラと名前に付きますが、サクラらしくない花をつけるのです。
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こちらがウワミズザクラの花ですね。花の形を見るとソメイヨシノなどの桜とは形が全然違いますね。最大の特徴はこのきりたんぽのような可愛らしい花です。動物のしっぽらしいとも言えます。

このお花が大量に付くので、ウワミズザクラの花の時期には、まるでクリスマスリースに飾る綿のような美しい光景を見ることができます。
せっかくですから花をじっくり見てみましょう。
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このお花はきりたんぽの部分で1つのお花のように思われがちなのですが、よくよく見てみるとこのきりたんぽ自体が小さな花の集合によってできていることが分かります。f:id:aikawa_park:20210410134410j:plain
白い花にはそれぞれ柄が付いており、ふわりとした印象を与えてくれます。

 花の部分には後ほど実ができますよね。サクラであればさくらんぼがなります。ウワミズザクラの場合にはこの花の形からブドウのような房状に付くという面白い特徴が見られますね。

私はこの実を食べたことはないのですが、見た目は美味しそうなんですよね。 
美味しそうな実が実は渋かったり日当たりによって甘さが違ったりするので、野生の実を食べるのはなかなか手が出ないのですが、試しに実がなったら口にしてみるのもいいのかなと思います。
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このスカスカの海ブドウのようなものがです。花が咲く前の蕾は一部の地域で食べられていたりするので、場所によっては馴染みのある植物なのかもしれません。
園内のパークセンター付近でただいま見ごろを迎えているので、来園される方は覗いてみて行ってくださいね。

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春の山菜 こごみの芽生えが可愛らしい

日本には昔から食べられている植物たちがいます。山菜は今はあまりなじみがないものとなったかもしれませんが身近に生えているものなのです。
春の訪れとともに賑やかな芽を出し、山の中でその植物との出会いを楽しみにする。これも1つの四季の楽しみ方ですよね。

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こごみはあるところには生えており、一つ見つけると辺り一面を覆いつくすぐらい見つかることがあります。
園内ではぽつぽつと見つかるくらいなのですが、斜面に生えておりぎりぎり写真が撮れるエリアです。
こごみは山菜としての名前であり、本来はシダ植物の仲間のクサソテツと言います。独特の葉の開き方から、シダの中では種類を絞り込みやすい種類であると思われます。
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シダ全般が根元から写真のように開いていきます。こごみも同様に開いていくのですが、葉を見てください。上げられた凧のようにぴしりと立ち上がっていますよね。根元を支える部分は弱弱しく、実際に触ってみると柔らかいのですが、この弱そうでありながらしっかりと立ち上がるのがこごみの個人的な特徴だと思います。それから色ですね。 こごみはかなり鮮やかな緑をしています。同じように出てくるシダの仲間は多いのですが、
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見るからに固そうなものや毛がゴワゴワしているものが多いので、意外と似た種類と言うのがいません。
こちらはイノデの仲間ではないかと思うのですが、記事1枚目や2枚目の写真と比べると立ち上がり方も自重からか倒れ気味ですよね。雰囲気で当たりをつけることも大事なのです。そうすると林道を歩いているときなどにこごみセンサーが反応し、見つけることができます。それくらい独特な立ち上がり方をするんですね。
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葉の雰囲気を伝えていませんでしたね。立ち上がった葉は船のマストとして張れば風を受けて進んでくれそうな見た目をしています。

自然下で山菜を取るとなると毒草や、食べられるものか分からないといった不安もあると思います。その点こごみであれば今の時期にスーパーに並ぶこともあるので、興味の湧いた方は探してみてはいかがでしょうか? 個人的には癖のない山菜なのでおすすめできます。

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モミジイチゴの花とオトシブミの仲間

5月6月頃に果実をつける野イチゴの仲間は、実がその時期になるわけですから花はそれよりも前、つまり今頃見ることができます。
園内ではヘビイチゴ、クサイチゴ、モミジイチゴ、ナワシロイチゴ、ニガイチゴ、エビガライチゴと言った多数のイチゴの花を見ることができるのです。
今日はとてもおいしいモミジイチゴの花を見てみましょう。
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モミジイチゴの花は少し変わっており、下向きに花を咲かせます。そのため、花がとても見つけにくいんですね。
白く目立つ花ですら隠れてしまうわけですから、実の時期になると知らない人は実を見つけられないくらい分かりにくいです。イチゴの仲間はバラ科なのでトゲを持ちます。このモミジイチゴもなかなかに強烈なトゲを持っているので注意が必要ですよ。f:id:aikawa_park:20210407094641j:plain
3~4mm程のトゲですが、モミジイチゴが2m以下程の低木でかなりしなだれていることもあり、林の中を歩いていたりするととても厄介な植物です。私のように果実を取りに来る生き物への攻撃と言うわけですね。実の時期は果実の根元をつまむようにして取るため、うっかり引っ掛けやすいのです。
続いて葉を見てみましょう。モミジイチゴは葉も特徴的です。手のひらを広げたような形で、しわが多いんですよね。
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すると葉の上に何か虫がいることに気が付きました。この姿はオトシブミの仲間っぽい姿ですね。
園菜ではエゴツルクビオトシブミと言うオトシブミの仲間があと1月もするとたくさん見られるようになります。
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(エゴノキの葉の上にいるエゴツルクビオトシブミ)
エゴツルクビは結構首が長いんですが、こちらは首が短いのとバラ科の葉の上にいたので、姿が似ていて首の短いヒメクロオトシブミなのではないかと思います。
オトシブミの仲間はエゴツルクビ以外は狙って出会えないので、園内では貴重なんですよね。綺麗な花を見ていたら変わった虫にも出会えて一石二鳥です。
このように、花を見ていると目線が普段よりも自然に近くなるのでたくさんの発見をすることができます。普段は見ない発見ができること間違いなしなので、皆様も気になる花などを見かけたらグッと近づいて普段とは違う世界を覗いてみましょう!

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