あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

石小屋ダムでのヤマトシジミの観察

秋といえば蝶の観察が楽しい時期

夏も終わり昆虫の時期も終了。そう思っている方は多いと思います。しかしあいかわ公園ではまだまだたくさんの虫たちを見ることが可能です。

特に石小屋ダムの方面は秋のこの時期には非常にいい蝶の観察ポイントとなっています。虫好きの方は要チェックですよ。

ヤマトシジミの観察


草地の代表種といえばヤマトシジミです。食草がカタバミと身近で発生期間も4月~11月ととても長いまさに観察に適した蝶ですね。

ヤマトシジミはシジミチョウというチョウの仲間で、1㎝程のとても小さなチョウです。

身近ながら♂にはとても美しい金属光沢があり、日光浴をする晴れた日にはきっと美しい色合いを見れるはずです。

今日は雨上がりのどんよりとした曇り空でしたが、美しい色合いを見せてくれました。

青白い光沢は♂のみ見ることができます。

♀は派手な金属光沢こそ持ちませんが、よく見ると緑などの複雑な光沢があります。これはヤマトシジミの鮮度にもよるので、注意深く観察してみましょう。

蝶たちはシソの仲間が好きなようです。園内に生えるメハジキやカワミドリなどのシソ科植物で吸蜜している場面によく出くわしました。紫色のお花を探してみましょう。

その他石小屋ダム方面ではナワシログミが咲いています。このお花は昆虫類に大人気のお花で、秋の僅かな期間だけたくさんの虫をおびき寄せてくれます。

シジミチョウ以外にもタテハチョウの仲間やスズメガの仲間など多数の虫が来ていますので、昆虫好きは必見のお花です。

季節が進み公園内の虫の数も減ってきました。しかし場所をしっかり押さえておけばまだまだ虫たちに遭遇することはできますよ。

あいかわ公園の紅葉情報

ポツポツとはじまる紅葉

10月中旬に差し掛かり昼夜の温度差も大きくなってきました。

園内ではまだまだ序盤ですが一部葉の色が変わり始めている植物が見られます。

この時期は真っ赤や真っ黄色で美しいという感じではありませんが、生き生きとした緑の中に確実に季節の変化を見ることができ楽しいです。

紅葉し始めた気の早い子たち

ツツジ類


ツツジ仲間の一部が色づき始めています。

紅葉でツツジはあまり聞かないかもしれませんが、これから冬にかけて赤、黄色、オレンジ、紫などのグラデーションに変化します。体感花の色に近いような紅葉になる気がします。

こちらはロージーというツツジで、パークセンター付近で目にすることができます。付近ではハナミズキも色づいており、秋の気配を感じられます。

ドウダンツツジ


ドウダンツツジの紅葉にはまだまだ早いですが、一部色が変化しています。

こうした一部の色づきはこれからの紅葉に期待を持たせてくれますね。

園内では入口広場を中心に丸く刈り込まれたドウダンツツジを見ることができます。

今年の色づきはどうでしょうか?紅葉の本番は11月中旬以降になると思います。

ニシキギ


石小屋ダムの方面で紅葉の有名な植物、ニシキギが色づき始めていました。

その色合いの美しさから生け垣などに植えられることもある植物で、赤色の美しさはお墨付きです。

こちらも時期的にはまだまだですがダム放流のついでなどに寄れる位置にあります。
石小屋ダムを見つつ探してみてください。

イロハモミジ


モミジ類の紅葉もまだ早いですが、石小屋ダムの方面の2本のモミジは毎年色づきが速く今年も既にグラデーションを見ることができます。

紅葉には太陽の光と温度が重要です。

剪定により重なる部分がやや多くなっているツツジは、紅葉を引き起こす太陽光の影響の観察にもってこいです。同じモミジの中でどこが色づいているのかよく観察してみてください。

紅葉シーズンはまだまだこれからです。どのような色合いになるか楽しみですね。

あいかわ公園旬のお花などの自然情報 糞虫やドングリなどが楽しい時期です。

秋のあいかわ公園の自然情報

紅葉などで自然観察が楽しくなってくる季節ですね。あいかわ公園においても既に早いものでは紅葉が始まっており、黄色や赤の色合いが楽しめます。

今回は紅葉を始め旬の自然情報をお届けします。来園の参考にしてください。

見ごろな園内の植物たち


花壇では色とりどりの花が見られます。種類は多くありませんが写真のペチュニアを始め、秋らしいマリーゴールドやセージ系のお花が咲いています。

マリーゴールドも咲いています。秋らしい植物でよくチョウなどの仲間がやってきています。

花は複雑な形をしており、チョウ類はその長いストロー状の口を生かして蜜を吸っています。

同じく花壇エリアにはメドーセージが咲いています。

こちらもチョウ類に人気の高いお花で、昆虫類に抵抗のない方はじっくり眺めてみてください。

きっとハチドリのような可愛らしいホシホウジャクを見つけられるはずです。

秋を代表する蛾で、毎秒何十回も羽ばたくことで空中に停止することができます。

昆虫界でもかなり飛行の上手い虫なのでぜひじっくりと観察してほしいですね。

常緑ヤマボウシの実が見ごろを迎えています。おいしそうな実ですがまだ完熟していないのか鳥などの生き物に食べられていません。

園内にはヤマボウシと常緑ヤマボウシがあります。同じヤマボウシなのに果実の時期や葉を落とす性質などが違い、植物の持つ多様性を感じさせてくれます。

秋ならではの楽しみ方といえば狂い咲きというものもあります。

気温差の激しくなるこの時期に植物が勘違いして花を咲かせてしまったり、剪定などによりホルモンバランスが崩れることで開花の抑制ができなくなり、咲いてしまうことがあります。

園内ではツツジ類で主に狂い咲きを見ることができます。

ドングリ類は早い者勝ちです。今年は多いように感じます。

よく見ると小さな穴が開いているものばかりで、中にはハイイロチョッキリを始めとするゾウムシの仲間が産卵しています。

ドングリの競争は我々が参加する前に既にゾウムシによって手を付けられてしまっています。運よく穴の開いていないものを見つけられたなら幸運ですね。

アカネ類のトンボも9月に比べると色ついてきました。写真はアキ、ナツ不明ですがどちらかのアカネです。

止まる機会が多く観察に適したトンボです。
水辺の少ないあいかわ公園でも見られる貴重なとんぼですね。以前じゃぶじゃぶ池にヤゴがいるのを発見しました。

せっかくあいかわ公園に来たらこの公園らしい虫も探してみてください。シカのウンチに集まるオオセンチコガネです。

公園周辺ではピンクのものばかりですが、個体により程度が異なります。自分だけのオオセンチコガネを探すのがなかなか楽しいです。

タマムシのような光沢を放つので見た目の印象も素敵ですね。こうした虫たちが自然界の排泄物を土に返してくれています。陰ながら大きな貢献者です。

あいかわ公園も秋の気配がかなり強くなっています。しかしまだまだ生き物観察は楽しめるので、自然目当てに訪れるのはお勧めです。
何か興味のあるものがあれば自然観察ガイドまでお気軽にどうぞ。

ヤマノイモのむかごのお味とは? 

自然薯でおなじみのヤマノイモ

秋は食べ物のシーズンです。自然下においても様々な生き物が厳しい冬を越すための準備として果実を食します。
果実といっても植物の生存戦略は多様であり、ヤマノイモのようにクローンとして作られた部分が食べられるケースもあるのです。

今回は秋の野草でもっとも身近な食べものであるむかごを紹介します。

秋のヤマノイモの茎には写真のように黒っぽい球体の凹凸がある物体が付きます。

雰囲気としてはヤマノイモがなにか病気にでもかかってしまったかのような印象も受けますが、この秋のタイミングでは普通に見られるものです。

ヤマノイモの大きさによって大小あるものの、似た毒のあるものなどもなく比較的安全に食べられる自然の恵みです。

見た目は野菜で例えるならば何に似ているでしょうか?むかごを想像してみてくださいね。




見た目はイモ類に大変似ていますね。

イモが地下にできるのに対し、このむかごは茎に普通についています。

と言うのも、このむかごは新しい芽を出す部分に栄養が蓄えられて球状になったものなのです。
ヤマノイモはこのむかごをぽろぽろと落とすことで自身と全く同一のクローン個体を増やしていきます。もちろん花を利用した別の遺伝子の個体もありますよ。

そんな芋っぽいむかごの中身はどのようになっているのでしょうか?気になりますよね。ということで割ってみました。

むかごはイモっぽい?


外側は以外にもしっかりしていますが、一度裂けめが入るとシャキッと割れてしまいました。調理前のジャガイモにそっくりの感覚です。

せっかくなので味わいましょう。むかごは生でも食べられます。

感想としては生で食べるには青臭みが強いかなという印象です。しかしヤマノイモに特有のぬめり感はかなり楽しめ、好きな人な好きかもしれません。

だいたいむかごは加熱して食べるのですが、加熱した場合はおつまみのように食べられます。塩があればいいですね。


意外と悪くありません。

ただしヤマノイモに見られるあのイモ臭さはより凝縮されています。市場にも並ぶ可能性があるので興味のある方は探してみましょう。

秋の味覚むかごは今の時期に食べられる貴重な自然の炭水化物です。

自然の中では果実や葉などのビタミン類、食物繊維、魚や昆虫などからタンパク質は取れても炭水化物はなかなか取れないので、自然の中では貴重な食材ですね。 

むかごはとても見分けやすい山菜ではありますが、見慣れていない方は口に入れることはやめておきましょう。

物によっては食あたりを起こしてしまいますからね。

ミヤマカラスアゲハの夏型。春型が美麗とされるが夏も十分美しい。

レア昆虫ミヤマカラスアゲハ

黒いアゲハには何種類かおり、その中で最大の輝きを持つのがミヤマカラスアゲハです。ミヤマカラスアゲハは山地に生息するアゲハチョウで、平地で姿を見ることは厳しい大変美しい蝶です。
aikawa-park.hatenablog.com

こちらはカラスアゲハの春型です。カラスアゲハの仲間には春型と夏型という季節型があり、一般的には春型が美しいとされています。

夏型は春に比べると輝きは弱くなりますが、美しいことに変わりはありません。

こちらがミヤマカラスアゲハです。先ほどの写真と何が違うかわかるでしょうか?
翅に光沢のある筋が入っていますね。これはミヤマカラスアゲハの明確な特徴です。この線がはっきりとつながっていることからミヤマカラスアゲハの♀であると分かります。 


はっきりと白線はつながっていますね。♂の場合には性標と呼ばれる特有の欠けた部分が現れます。♂のほうが美しいです。

カラスアゲハの春型をもう一度見てみましょう。

春型の姿です。翅の付け根の所にグレーの模様が広くみられているのが分かります。

これが性標で、ミヤマカラスアゲハも同様に見られます。



ミヤマカラスアゲハとカラスアゲハは翅の裏側、それの後ろ側の翅でも判別することが可能です。

カラスアゲハはここに白い線がないのが1つの特徴です。

これは主に春型で顕著に見られ、夏型ではあくまでその傾向にあるという話です。

この個体は翅が既にボロボロになっており、白線は不鮮明になっていました。そのため後翅では判別ができません。こうした見分けには複数のポイントを見ていくのがコツですね。


ちなみにこれだけ美しいカラスアゲハ類も飛んでいるときはクロアゲハに見えます。

飛んでいるときには特有の美しい光沢も分かりにくく、捕まえてみたらカラスアゲハだったということもあります。 

怪しいアゲハチョウを見かけたらその姿を追いかけて捕まえてみましょう!

そして美しいその色合いに驚いて欲しいものです。 

黒い体と黄色い毛を持つ毛虫モンクロシャチホコ。毒のありそうな虫には毒がある?

晩夏に現れる黒い毛虫の正体は?

8月下旬ころから公園など桜のある所で黒や赤色の毛虫が見られることがあります。

若い時には赤っぽい姿をしている幼虫で、大きくなるにつれて黒味が強くなってきます。

見た目がこれこそ毛虫と言う雰囲気なので嫌われがちです。

今回は蛹になる場所を探していたと思われる終齢幼虫のモンクロシャチホコと言う毛虫を見ていきましょう。

モンクロシャチホコはどんな虫?

モンクロシャチホコは金色の毛、黒い体、多少の赤みと種の特定がとても簡単な種類です。

毛虫で気になるのはやはりその毛虫が毒を持つかどうかという点ですよね。

毛虫に触れるとなると初見のものでは勇気が必要ですが、モンクロシャチホコに毒はありません。


なのでこの通り手にのせても問題はありません。

細くやわらかい毛がくすぐったい幼虫ですね。毛の感じとしては絨毯が近いでしょうか。きめ細かいです。

シャチホコガの仲間は幼虫がシャチホコの様に反り返るという見事な技を持ちます。

この子は弱っているため残念ながらその動きは見られませんでした。


モンクロシャチホコは大量発生する毛虫です。

対象の木はサクラなので街路樹や公園などの人目に付きやすい場所で大発生する可能性があります。
上から毛虫が落ちてくるのは嫌ですよね?

実は木の上を見なくても彼らがいるかもしれないと分かるポイントがあります。

サインは地面の色


分かりやすいサインとしては彼らのフンには桜の成分が含まれているため、赤い物質がにじみ出ます。

そのため、道路やコンクリの上に赤い染みのようなものができるので分かりやすいです。

数が多ければ多い程赤茶色のレンガ色に地面が染まるので、注意してみてくださいね。

既にうんちが雨などで流れていても染みのように痕が残されていることもありますからね。

もちろんサクラに付く毛虫は多いのでこの跡があるからと言ってモンクロがいるとは言えませんけれどね。



群れる毛虫と言うことで人に嫌われる要素が盛りだくさんのモンクロシャチホコですが、毒がないと分かり、触れてしまえばとてもかわいい昆虫に変わってしまいます。 

ドクガの仲間と違って幼虫の見分けも簡単なので興味のある人は探してみてくださいね。

毛虫に興味のある方はこの辺の記事もおススメです。
aikawa-park.hatenablog.com
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毛虫ではないですが大きな幼虫もおススメです↓
aikawa-park.hatenablog.com
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ここ数日で見られた昆虫たち

季節は確実に秋

残暑が続きますが自然は秋に移行しつつあります。

園内の芝生ではショウリョウバッタを始めとする大型バッタ類が出現し始めています。バッタ採りをするにはいい季節になりましたね。
主にふれあい広場、冒険広場で遭遇することができます。もう少し暑さが落ち着いた頃合いがいいタイミングでしょうか。

広場の樹液は衰え始めましたがまだ出ています。

チャイロスズメバチが今年は優勢なようで、数か所で姿を見ています。
このハチは珍しい種類なのですが、今年になって急に個体数を見るようになりました。たまたまでしょうか?


オオスズメバチは見かける機会が減りましたね。樹液に来ているのはキイロスズメバチが多いです。

季節的にも狂暴になってくる時期なので、広場で遊ぶ場合には帽子や長袖長ズボンなどでしっかりと対策をしましょう。

大変遠い所なのですが、アカボシゴマダラを発見しました。

いまやそこら中で当たり前のように見られるようになりましたが、もともとこの辺では見られなかった蝶です。

よく樹液にやってきているので、この見つけやすい蝶を目印にすると樹液のありかが分かったりします。

外来種ですが赤い模様のある夏型はかっこいいですよね。

ウラギンシジミはまだまだ10月終わりごろまで見られるシジミチョウです。

この時期はクズというマメの仲間のお花周辺でよく見つかります。

♂はオレンジ色♀は黒色をしているなかなかに綺麗な蝶で、よく人の汗を吸いにやってきます。人懐っこいように見えるので可愛いんですよね。


夏の幼虫といえばヤブガラシにつくスズメガの仲間たちです。

3種類ほどこの植物につくのですが、どれもお尻の部分がアンテナのようにとがっている特徴があります。

屋外のスズメガに関しては何度か育ててみたのですが、現状寄生バチなどの寄生率が100%で自然界の厳しさを感じます。

この時期の代表的な幼虫がセスジスズメですね。毎年出会うのが楽しみないい虫です。

毒はないので幼虫にチャレンジしたい人にはとてもおすすめの1種です。

この時期は暑いので丁寧に見ていかないと虫には出会えませんが、地味ながらも魅力的な虫たちが多いです。ぜひ足元の自然を観察してみてください。