あいかわ公園自然観察ガイド

嫌われがちな毛虫から大人気のクワガタたち、更には季節の植物まで。たくさんのあいかわ公園の自然を紹介していきます。ネタを見つけたら更新中。画像の無断転載は禁止です。

南山北駐車場ルートの自然 その3

北駐車場ルートではカシノナガキクイムシの被害やつるに巻き付かれて芸術作品のようになった木々が見られていますね。
また道に戻り登っていきます。
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登り始めから針葉樹、広葉樹ときましたが再び針葉樹に戻るようです。針葉樹林のこのうっそうとした感じも冬葉ならいい雰囲気で好きです。

動物が多い場所では特に写真下部に移っているようなササ類やシダ類に気をつけます。あいかわ公園ではあまり聞きませんが、このような場所にマダニが潜伏している可能性があります。可能な限り下草に触れないように頑張っていきます。

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普通の道を進む分にはこのような階段が続いていますね。私の場合今回は調査も兼ねているので写真左のような場所を進んでいます。

すると山の中ではあまり見かけない厚みのある葉を見つけました。
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これは青青しい葉だなぁと思っていると、葉の付け根の部分と幹にあるトゲに気が付きました。葉に付く小さな葉とトゲと言えばミカンの仲間でしたね。

これは恐らく周辺の農地から食べられたミカンの仲間のタネが鳥のお腹に入り、山でうんちとともに落ちて芽生えたのでしょう。辺りにはいくつかミカンの仲間が生えていました。こう見ると植物の移動力と言うのはすごいですね。
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ミカンの仲間はこの部分に注目しましょう。大きさの違いや葉の雰囲気の違いはありますが、ここを見ると種類はともかくミカンの仲間と絞ることができます。

ミカン付近の地表を探っているとイガイガの植物を見つけました。
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これまでもとげとげの植物は記事に出てきましたがこの植物の物はトゲと言うか毛と言うか、さしずめ毛ガニのような雰囲気をしています。

こんな特徴的な植物はなかなかありませんので、これはエビガライチゴでしょう。馴染みのない種類ですがキイチゴの仲間で、毛ガニのような赤っぽい毛とトゲが茎に目立ちます。機会があれば食べてみたいキイチゴの仲間ですね。
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わずかに残っていた葉はこんな雰囲気です。イチゴを育てたことがあると似ているのが分かりますね。

南山北駐車場ルートの自然 その2

先日から北駐車場から繋がる登山ルートを登っています。
このルートでは冬らしい植物を見ることができました。
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この姿はフユノハナワラビ、もしくはオオハナワラビですね。冬場になるとこのような広葉樹の地上にニョキニョキと出てきます。

春終わりごろになると消えてしまう変わった植物です。姿が特徴的なのでとても目につきます。葉っぱも面白いのですが奇妙に思えるのはこの部分ですね。
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葉からさらに立ち上がる茶色のぶつぶつをつけた部分ですが、シダ植物に見られる胞子を飛ばす葉です。触れてみるとかなりゴワゴワしています。

虫がたくさんくっついているみたいで苦手な人はダメそうな見た目ですよね。上まで登ったもののフユノハナワラビは入口付近でしか見つけられませんでした。

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少し上るとブナ科たちのエリアに入ります。やはりコナラが多いようですね。このルートは初めて来たので行けそうな範囲の木たちの周囲を見て回ります。

別ルートのコナラがカシノナガキクイムシにやられているのを見つけたので、こちらにも被害を受けた木があるのではないかとにらんでいます。
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案の定見つかりました。こちらもかなりの大木です。粉を見る限り相当数入っていますね。道から外れたところでも虫たちにはお構いなしなのでチェックするのも大変です。キクイムシ被害の木を見て同じく次の木を見てみると?
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隣の大木もやられていました。これは見つけられていないだけで既に山の木の中には入られているものが多数ありますね。
キクイムシの被害が印象に残りますが、他にも木に被害が及んだあとがありました。
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これはつる植物が木に巻きついた後ですね。木は締め付けられながらも成長するためこのように幹に巻き付いた跡が残ります。
山の中でフジなどのつる植物を見つけると、その太さに驚かされること間違いなしです。 フジは普段見かけるものは細くて頼りない感じですが、山の中にあるものはそれこそぶら下がって体重を預けても大丈夫なものもあります。 いったいこの幹に絡んでいたものはどれほどのツルだったんでしょうかね。

南山北駐車場ルートの自然

11月に南山の2つのルートに登る記事を出しました。
aikawa-park.hatenablog.com
紅葉の時期であったこととヤマビルがいなくなってすぐの時期だったので、かなり色々な種類の植物が見られましたね。実はあいかわ公園にはもう1つのルートがあるんです。それが北駐車場から登っていくルートです。他のルートよりも少し距離が長く、針葉樹の中を抜けていきます。
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色が変になっていますが対処法が分からないのでこのままいきます。
あいかわ公園の中でもここに来たことのある方は少ないでしょう。山に登る人の大半が以前紹介した2つのルートから登っていると思います。

服部牧場の近くなので入口に到達するのにも結構上がらないといけません。入口を見てみましょう。
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このルートでは入口が2つあります。右は針葉樹が多めで左は広葉樹が多めです。左の方が自然道と言う雰囲気ですね。

右側はとても整備されている印象です。
入口付近にも植物が生えていました。見てみましょう。
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花でピンと来る方はなかなかにいないと思います。皆様も恐らく毎日口にしているあの飲み物の材料です。

こちらはチャノキの花ですね。緑茶や紅茶の材料となります。チャノキはツバキの仲間なので葉の雰囲気は彼らとそっくりですよ。
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aikawa-park.hatenablog.com
雰囲気としてはツバキの葉を小さくしたような感じですね。葉の中央部分に亀の甲羅のような網目の脈が入る点が目立ちます。
入口付近には結構たくさん生えていましたよ。
では登っていきましょう。
園内では赤い実をつける植物がとても目立ちます。
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最近では園芸植物も庭に植えられるので、そこでできた種が運ばれていたるところで見られるようになりました。

大型のこの植物はマンリョウと言う縁起物の植物ですね。マンションの庭などにもよく植えられています。同じ仲間で自生するものがあるのですが、マンリョウは背丈が大きく、実の付きぶりもいいので簡単にわかります。

明日からどんどん登っていきます。

樹液を出す虫の痕跡を探そう! 虫探しのヒントを紹介

木があればそれを利用する生き物がいます。最近の記事ではその生き物としてカミキリムシを紹介しましたね。
aikawa-park.hatenablog.com
そしてもう1種類今あいかわ公園で見つかったものとしてカシノナガキクイムシと言う生き物も紹介しました。
aikawa-park.hatenablog.com
記事ではそれぞれの虫がフラスと言うものを出す話をしました。フラスとは幼虫のうんちと木くずが混ざったものでしたね。

穴をあける虫は樹液を出すので虫取りをするうえで非常に重要です。 フラスを覚えて虫取りの効率を上げていきましょう。!

ひとえにフラスと言っても実は色々な形があります。

今回紹介するのは園内で見られるシロスジカミキリカシノナガキクイムシ(以下カシナガ)のフラスです。
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写真に写る黒っぽい跡が産卵のために噛んだ場所です。

シロスジカミキリの場合この痕が横にずらりと並ぶため分かりやすいです。なのでこれを目印にしましょう。

冬になった今、ここから中に侵入した幼虫がフラスを出します。一体どんな見た目をしているのでしょう。
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カミキリムシのフラスの場合、このように粒が大きいものが多い印象です。遠目から見てもゴワゴワしていますね。

そして細い小さな楊枝のような形をした繊維のようなものが目立ちますね。
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持ち上げてみると結構カチカチでした。

小麦粉のようなさらさら感ではありません。フラスと聞くと粉っぽい印象がありましたが必ずしもそうではないということですね。

一方カシナガの場合カチカチ感はなく、かなりさらさらとしたフラスをしています。
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これはなかなかにひどいカシナガの被害です。

もともとは白っぽいコナラの樹皮がもはやフラスで黄色っぽくなってしまっていますね。
見てわかるようにシロスジカミキリの物とは粉っぽさが全然違います。

カシナガの方はまさに小麦粉のようなさらさら感なので、触った後にうっかり吸い込まないよう注意が必要ですね。

木をじっくりと見ないことにはなかなか見つけられないフラスですが、この仲間以外にも蛾の仲間やタマムシの仲間など実は色々な生き物が木に入って過ごします。

もしかすると皆様の身近な所でもだれか昆虫が木に侵入している様子を見ることができるかもしれませんよ。

そしてこの痕を見つけられたならばもうクワガタを採ったようなものです。樹液に集まる昆虫の会合場所になっていること間違いありませんよ。

プラナリアの口の位置は?

あいかわ公園でプラナリアことナミウズムシを発見して飼育もできている状況です。あれから時たま岩をめくりに行き、個体数は10匹に増えました。数が増えるともう可愛くてたまりません!ついつい眺めてしまう不思議な魅力がある彼らなのですが、何日か見ていて気付いた面白い点があるので紹介します。



まず餌に関してなのですが、調べたところによると1~2週間ほどは食べなくても生きていけるそうです。縮むものの1月も大丈夫だとか。切断再生実験が有名ですが、その時にはえさを与えずにしばらく放置させてから切るのがいいようです。特に反応がいいものはレバーらしいのですが、それらは食材として日持ちせず、水の汚れも大きいため、綺麗な水を好む彼らにあげる場合にはすぐに水替えが必要となるため少し手間がかかります。なので昔私が飼育していた魚たちのえさの中で、動物質の粒状のえさを利用することにしました。

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水の中に落としてふやけるとプラナリアが集まり始めます。写真を見て何か気づいたことはありませんか?
そうです。食べているのに三角形の頭の部分を使っていません。
実は彼らの口と言うのはお腹の部分にあるのです。そこで食べたものを全身に張り巡らせた血管のようなもので運びます。なので食後はお腹の辺りが食べたもので黒くなっています。これは面白いですね。
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この大きなプラナリアも写真では顔を突っ込んで食べているようですが、実際にはえさの上に登り、体の中央辺りで食べます。

そしてもう1つ彼らには忍者のような技があるようです。
なんと何もない水面を逆向きで泳ぐことができるという大変ユニークな技があるのです。

これには私も初めて見た時に驚きました。水の表面張力を利用しているそうなのですが、水の上 というより水の中の空気との境目を何事もなく進んでいる様を見ると、水上を走っているように見えるのです。

彼らは綺麗な水辺の岩や枯葉の裏に張り付いて昆虫などを食べているのですが、この技を使って水上にいる獲物を狙うこともあるようです。
私は背泳ぎをして鼻に水が入るのが大嫌いなので、感心してしまいます。


実際に生き物を飼育してみることで見えてくることは実はたくさんあります。プラナリアでいえば振動を感知して体を縮こませる性質や、光を嫌がる性質なども分かりました。同じようにクワガタやカブトなどの昆虫も飼育してみることで分かる個性がありますし、トカゲやヘビなどの爬虫類も触れてみることで分かる性格の違いなどがあります。図鑑などを眺めて得る知識ももちろん役に立ちますが、自然に関しては自分の目で体験することもとても重要だと感じますね。

スイセンと似た葉たちに注意。食中毒の代表種です。

山菜との誤食事故が起こる毒草

スイセンは毎年誤食による食中毒が起きる植物です。これはニラやネギの仲間など自生している植物と葉の姿が似ており、山菜で間違えてしまうケースが1点。畑などで作物とともに植えたスイセンを栽培した野菜と勘違いして取ってしまうケースが考えられます。

ここではネギなどと似た雰囲気を持つ毒草のスイセンとハナニラとそこら中に生えているおいしいネギの仲間、ノビルを用いて比較をしていこうと思います。


スイセンの葉と言われてもパッと思いつくことはなかなかないと思います。誰しもがこんな感じだったかなとそれっぽい姿を想像することはできますよね。そのなんとなく覚えている点が落とし穴になります。

写真のような細長い雰囲気だけを想像していると間違いなくスイセンを取ってしまい、年間の食中毒の一例に仲間入りしてしまいます。

ちなみにこの姿に似ている人気の植物が栽培のニラと自生のネギノビルですね。

こちらが細いですがよく間違われるノビルです。おいしく食べられます。

大型になると葉の雰囲気が非常にそっくりで、間違ってしまうのにも納得がいきます。
ノビルはネギ臭がすることとネギの仲間なので地際から茎を包むような特有の鞘(薄い皮のようなもの)があります。
2点を確認すれば毒草のスイセン、ハナニラと確実に見分けられます。

では次に有毒のハナニラを確認します。
その前に補足ですが花が付いたニラ(食べられる)を花ニラとも呼ぶので注意が必要です。

同じじゃないか!という気持ち、よく分かります。

ハナニラの雰囲気はスイセンを始めネギやニラともとても似ています。 先ほどのノビルとも長い葉が似ていますよね。
ハナニラの厄介な点は毒草でありながらニラ臭を持つという点です。畑などに植えると誤食の可能性が生まれます。

ニラ臭を確認してスイセンを除外

スイセンは色が白っぽいこととかなり太くしっかり立ち上がること、そして臭い香りがないことなどから実はポイントを押さえておけば間違えることはありません。

ハナニラの方が有毒でニラ臭もあるので厄介だと思います。

ハナニラとは花の違いを押さえておく

しかしこちらも花を押さえておけば大丈夫です。ニラがないので比較はできませんが、ハナニラは花の姿が全然違います。つまり確実に見極めたい場合には春の時期を待たなければならないというわけですね。

これが春に咲くハナニラの花です。

大きな花で可愛らしいですね。もしかすると写真を見てこの花かぁと気づかれた方もいるかもしれません。春にはそこら中に生えている植物です。

似たような植物を見極める場合には1つのポイントに絞るのではなく、必ず複数のポイントを見比べて種類を特定するようにしましょう。自分が知らないだけでいくつかのポイントが合致してしまう植物というのが存在します。

大切なのは目の前の植物がニラではない可能性を1つずつ消していくことですね。
自生のノビルの場合
1、ネギ臭の確認→スイセンを除外
2.葉の地際部分の鞘を確認→ハナニラを除外 
3.切り口の形を確認→アサツキを除外(アサツキも可食)
というプロセスを踏むことで安全が確認できます。




毒植物に興味のある方はこちらの記事も楽しめるかもしれません。山菜と有毒植物に注目です。
aikawa-park.hatenablog.com
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ポツリとスイセンの花が咲き始めました。

先日よりブログデザインを変更してみました。これまではスマホで見て下さっている方は記事しか読めなかったかと思いますが、記事を読み終わった後にスクロールすることでカテゴリー別に記事を読めたり、月別で記事が読めるようになりました。今後はカテゴリーを「甲虫」など細かく分けて行こうと思います。また、ツツジ山野草の図鑑へも手軽にアクセスできるようになったので、ブログ記事で気になるものがあれば飛んでみてください!

あいかわ公園のパークセンター前ではスイセンが咲き始めました。目に入ると嬉しい植物ですね。
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天気が暗いと花もなんだか寂し気な雰囲気になってしまいます。スイセンヒガンバナ科の植物です。ヒガンバナと言えば9月頃にまとまってたくさん生えているあの植物ですよね。覚えているでしょうか?
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園内では色々な場所に植えてある植物ですね。この植物は有名ですが毒を持っています。つまりその仲間であるスイセンもまた毒を持っていることが予測できますね。ニュースなどを見ていると年に何件かはスイセンを間違えて食べたことによる食中毒事件が起こります。この植物の葉が一部の食べられる植物に似ているためですね。その葉を見ていく前にまずは花を確認しましょう。
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白に黄色と言うとても清涼感のある色合いで綺麗ですね。スイセンの花をじっくりと見たことのある方は意外と少ないのではないでしょうか?ではここで質問です。スイセンの花びらは写真の白い部分を数えてみると6枚あることが分かります。ではその6枚はどのようについているのでしょうか?


裏側を見てみましょう。
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裏側はこのようになっています。茎の部分から6枚すべてがまとまってくっついていることが分かりますね。実はこの付き方と言うのはちょっと珍しい付き方なんです。花の裏側を日々めくってみているというニッチなことをしている方はあまり多くはないと思いますが、多くのお花はこの桜の花のようになっています。
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ソメイヨシノの花の裏には伸びた柄の先にそれを包み込むように赤色の葉っぱのようなものが付いていますね。これが植物用語でたまに聞くガクです。花を支えています。つまり5枚の花びらと5枚のガクを持っているのがこのソメイヨシノですね。花びらとガクが見てすぐわかるように違うことが分かります。一方で先ほどのスイセンのようにガクと花弁が見分けられないものもあります。ガクが花びらと同じ姿をしているのですね。花を見るときには表ばかり目が行きがちですが、それ以外の所も非常に繊細にできています。是非とも目の前の花をじっくり眺めてあげてください。
葉に関しては明日紹介します。